むらきぃの司法試験受験勉強記

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2019.03.15
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カテゴリ: 過去問の教材

平成24年短答式試験問題[民事系科目]〔第55問〕

 AがBを受取人として振り出した約束手形を,Bは,白地式裏書によってCに譲渡し,Cは,この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは,記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは,この手形を取得する際,Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは,この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は,Fである。この手形の裏書欄の状況を簡略化して示したものが【図】である。
 この手形に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
   【図】
    第1裏書  B → (白地)
    第2裏書  D →  E
    第3裏書  E →  F
ア. (略)
イ. (略)
ウ. (略)
エ. (略)
オ.判例によれば,Dは,この手形について遡求義務を負うことはない。

【解説】

ウ 誤っている

本問において、Eは、Dから裏書を受ける際に、Dが権利者であると重過失なく信じている。そして、上記アの解説記載のとおり、本問では裏書の連続が認められる。よって、D [原文ママ] には、手形の善意取得が認められる(手16条2項)。 (以下,略)

オ 誤っている

上記ウの解説記載のとおり、本問では、Eに善意取得が認められる。そして、手形法7条は、手形行為独立の原則を規定しており、かかる規定は、裏書にも適用される。よって、本問においても、DからEへの裏書には手形行為独立の原則が適用され、DE間の裏書は、前提となるCD間の譲渡無効の影響を受けない。よって、DはEに対して遡求義務を負う。


肢オについての上記解説の内容は,何ら誤っていません。

しかしながら,肢オには「判例によれば」という条件が付されているので,判例に従って正誤の判断をしなければなりません。

この点,​ 最判昭和33・3・20民集12巻4号583頁

「原審の認定した事実関係の下においては、上告人は本件手形の真正な裏書人であるというのであるから、被上告人が所論のように本件手形振出人の代表者名義が真実に反することを知つていたとしても、上告人の裏書人としての手形上の責任は何ら消長を来たさないものというべきである。」

と判示して,上告人に当該手形についての遡求義務を認めています。

したがって,上記解説は,肢オの正誤の判断は判例によることが明示されているにもかかわらず,かつ,正誤の根拠となる判例があるにもかかわらず,それを示していないという意味において,解説の仕方に誤りがあると言えるのではないでしょうか。


司法試験・予備試験の短答式試験において判例による解答が求められた場合に当該判例を知らなくても正解できればよいという結果論は,あくまでも受験生にのみ通用する話です。

なぜなら,受験生にとっては短答式試験で何点取れるかが1番の問題なのであって,どの判例を知っていてどの判例を知らないかはマークシート上には表れないからです。

一方,短答式試験問題の解説は受験生の勉強に資するためのものですから,現役の法科大学院の実務家教員が解説するのであれば,選択肢の正誤の判断において判例によることが明示されている場合には,的確に当該判例を指摘すべきだと思います。

ましてや,それが判例百選に掲載されている判例ならば,なおさらのことでしょう(神田秀樹・神作裕之 編『手形小切手判例百選』[第7版](有斐閣,2014)94頁)。

なお,上記​ 昭和33年判決 ​は,もちろん本問出題時における最新版の判例百選にも収録されていました(落合誠一・神田秀樹 編『手形小切手判例百選』[第六版](有斐閣,2004)96頁)。


それでは。





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Last updated  2019.03.15 08:00:10
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