むらきぃの司法試験受験勉強記

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2019.04.06
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カテゴリ: 過去問の教材

平成26年短答式試験問題[民事系科目]〔第15問〕

法定地上権に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らして正しいものはどれか。

1. (略)
2. (略)
3. (略)
4.Aが所有する甲土地上に,A所有の乙建物が建てられ,その後,甲土地と乙建物にBのための第一順位の共同抵当権がそれぞれ設定され,さらに,乙建物が取り壊されて甲土地上にA所有の丙建物が建てられた場合,その後,丙建物にBのために第一順位の共同抵当権が設定され,甲土地の抵当権が実行された結果,Cが甲土地の所有者になったときであっても,甲土地に丙建物のための法定地上権は成立しない。

【解説】

4 誤っている

土地と建物の双方に共同抵当権を設定した場合でも、土地又は建物の一方だけが競売された結果、土地と建物の所有者を異にするに至った場合は法定地上権が成立する。本記述のように、最初の建物が滅失し、その後に別の建物が建築された場合において、新築建物に同順位の抵当権が設定されれば、従前と利益状況は異ならないので、土地又は建物の一方だけが競売されて、土地と建物の所有者を異にする至った場合は、法定地上権が成立する。抵当権者が法定地上権の成立を欲しない場合は、土地と建物を一括して競売すればよいのである。


民法388条は,

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

と規定しています。

そして,ここにいう抵当権には共同抵当権も含まれると解されており(通説),土地と建物の一方だけに抵当権が設定された場合だけでなく,土地と建物の両方に共同抵当権が設定され,競売の結果土地と建物が別々の人に競落された場合にも本条の適用があります(大判明治38・9・22民録11輯1197頁,最判昭和37・9・4民集16巻9号1854頁)(我妻榮・有泉亨・清水誠・田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権』[第2版](日本評論社,2008)611頁参照)。

したがって,上記解説の「土地と建物の双方に共同抵当権を設定した場合でも、土地又は建物の一方だけが競売された結果、土地と建物の所有者を異にするに至った場合は法定地上権が成立する。」という記述の内容は正しいことになります。

また,上記解説の「最初の建物が滅失し、その後に別の建物が建築された場合において、新築建物に同順位の抵当権が設定されれば、従前と利益状況は異ならないので、土地又は建物の一方だけが競売されて、土地と建物の所有者を異にする至った場合は、法定地上権が成立する。」という記述の内容にも誤りはありません。



この点,​ 最判平成9・2・14民集51巻2号375頁 ​は,

「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、 新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、 新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」

と判示しています。

これを本肢についてみると,本肢では,所有者Aが甲土地および乙建物にBのために第一順位の共同抵当権を設定した後,乙建物が取り壊され,甲土地上に新たに丙建物が建てられていますが, 丙建物の所有者と甲土地の所有者はいずれもAで同一であり,かつ,丙建物が建築された時点での甲土地の抵当権者Bが丙建物について甲土地の共同抵当権と同順位である第一順位の共同抵当権の設定を受けるという特段の事情 が認められます。

したがって,上記​ 平成9年判決 ​のいう特段の事情が認められる結果,本肢では甲土地に丙建物のための法定地上権が成立することになるので,判例の趣旨に照らして本肢の記述の内容は誤っていることになります。

このように,本肢の正誤は判例の趣旨に照らして判断することが明示されているにもかかわらず,かつ,本肢には正誤の根拠となる判例があるにもかかわらず,それを示していないという意味において,上記解説には解説の仕方に誤りがあると思います。


本問が判例の趣旨に照らして解答することが求められている設問であることからすると,本肢の出題趣旨は,上記​ 平成9年判決

それにもかかわらず,その解説において一切判例を指摘していない上記解説は,司法試験の短答式試験問題の解説として極めて不適切なのではないでしょうか。


それでは。





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Last updated  2019.04.06 08:00:14
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