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それは、裁判官に任官後、20年が経過し、地方裁判所の刑事部総括判事(裁判長)になったベテラン判事が主人公の架空のお話でございます。
彼(裁判長)は、定年退官までに、高等裁判所の刑事部総括判事(裁判長)と地方裁判所の所長に栄達し、退官後は月収200~300万円の公証人になりたいという夢を叶えるために、何とかして、最高裁判所事務総局と、国、法務大臣の機嫌を損ねない様に無難に立ち回ろうとします。
その架空のお話でございます。
ちょっとでも立ち回りを誤ると、高裁裁判長や地裁所長、公証人のポストはパーになります。(公証人の任命権は法相にあります)
彼は長い裁判官人生で、ちょっとしたミスで栄達を阻まれた先輩たちを数多く見てきました。
任官から25年過ぎても地裁裁判長になることなく右陪席判事のままで泣く泣く退職届を出した裁判官もいました。
裁判官が不遇となる大方の原因は、体制側に不利となる判決を書いたこと、つまり最高裁と国、法務省、検察、自民党幹部と若干ながらでも対立したことでありました。
これまでの裁判官人生の中で彼が何度も痛感してきたことです。
『権力から睨まれるとまずい!』
だから、裁判長の職業人としての最優先事項は被告人に適した刑罰を与えることや冤罪の防止なんかではありません。
そう、国・検察と真っ向から対立することを避けることです。
本音を言えば、難しい事件は担当したくない。
しかし事件は選べません。
たまたま「決定的な証拠がない、被疑者の自供もない、やっかいな事件」の担当となりました。人が2人殺され、家屋が放火された事件です。
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