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2013.03.20
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カテゴリ: 【数学】
(初めに)

和算研究者から見れば間違いなく専門性に欠けます。
その辺を踏まえてお読みください。




自分の本業は物理屋ですが、数学の講義も受け持っています。
数学を教えていると、必ず耳にする文句があります。

  「数学なんか学んで、何の役に立つの?」

小学生ならともかく、大人である大学生が口にするのです。


4次元ホモトピー球面なんかは耳にすることすら絶対にありません。

では、音楽は生きて行くのに必要でしょうか。
芸術やスポーツは生存に必需でしょうか。

それは「必要がない」だけであり「意味がない」のとは大いに違います。
それらは人生に潤いをもたらすという、大きな「意味がある」のです。

では何故、数学が避けられているのか。
それは音楽・芸術・スポーツ等と違い、数学は義務教育で強制的に学ばされるからです。
(『学ばされる』 という響きはとても嫌いなのですが、話がそれるので割愛します)

それなら、数学が強制的でなければ 『趣味』 として扱われることはあるのでしょうか?

それに対する答えとしては、『ある』 です。
正確に言うと 『あった』 ですが。



それは江戸時代のことです。
受験や試験がないならば 決して学ぶ必要のない 『数学』が、
江戸時代は 『趣味』 として大流行しました。

庶民が楽しむ趣味の範囲にしては、その数学レベルは異常に( 信じられない程に
現在の数学科4年生でも解けないであろう問題はざらでした。

そんな超難問の数学は当時 『和算』 と呼ばれており、
それを庶民が解いていた嘘のような時代が、江戸時代なのです。




そんな和算独特の文化に 『算額』 というものがあります。

それは 『算術の扁額』 のことであり、神社仏閣に掲げる額に
数学の問題(ときに答え)が書かれているものです。

例えば、図1のようなものです。

埼玉県深谷市稲荷社(1817).gif


想像してみてください。
あなたが神社仏閣に参拝した後、ふと社殿を見上げるとそこには、
数学が書かれた額がかかっていた。
さて、どう感じるでしょうか?

それを奇異に感じないほどに、当時は数学(つまり和算)は身近なものであったのです。

では何故、算額なんかを奉納するのでしょうか。

それは、難問を解く力を授けてくれた神仏の加護に感謝し、奉納したのです。
(そこで薬師如来ならぬ算術如来が生まれなかったのは残念ですが)

次に算額を人目に触れるところに置くことにより、問題文が広まるようにしたのです。
『解けるものなら解いて見ろ』 といった挑発的算額が庶民を刺激し、
8次方程式(後日掲載)を解かせるまでに庶民の数学力は向上したのです。

(つづく)


【おまけ】

図1は算額では簡単な方ですが、実際問題として解くのは難しいです。
使う知識は、相似と三平方の定理だけですが、だからこそ難しいのです。
高等な数式を使うだけが数学ではないことを『和算』は教えてくれます。







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Last updated  2013.03.20 02:12:52
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