Laub🍃

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2011.09.09
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カテゴリ: .1次メモ
 ルシットが「私がこれを選んだ」と嬉しげに言うのを見て、そしてブラヴインがそれを微笑んでみているのを見て、私は自分の行動の成功を確信した。……だが、私は決定的に失敗していることに、数刻後には気付いた。

 時間の使い方。
 これの失敗をしてしまったせいで、私は独りになった。……数年前、望んで孤独になった癖に、独りが怖くて泣いていた自分を彷彿とする失敗だった。

 朝から現場の手伝いをしてみたのは初めてのことではない。
 だが、本格的な時間のかかるそれをしたのは初めてのことだった。

 私の誤算はいくつかあるが、そのうち大きなものを挙げてみたい。

1つ。私達の役割は町の人々の快指数を上げる事。だがそれをするために当の人々を放って、街の建物の整備をしているのでは意味がない。だから、本当はやるなら夜中にでもやっておくべきだった。
2つ。……そんな状態の人間には、街の人々は何か他に困ったことがあっても声をかけづらい。
 故に、私ではない人に、……この場合は私の上司に、頼む。



 一人。私が手から道具を手放す頃には私の手を求める人などどこにも居なかった。

 前日、やっと話を出来るようになった時に私の活動時間に制限がかかってしまったneiguに、会えば戦いを挑んでくる団長に、愛想を尽かされた初めの娘に、その理由にもなった娘。…彼女らは皆、数日ほど姿を見せていない。仕事が忙しいのだろうか。
 自分から作り出した孤独は、そうでない孤独よりも遥かに系統立っていて、ゆえに当の私にも、周囲のーとりわけ”優しい”人々にも、崩せないものだった。

 ……けれど、茫洋とする私に一人求めてくれる人が居た。
 フォム。

 彼女は空気を読むのか、読まないのか未だに私には分からない。
 だが、きっと彼女は良い年の取り方をするだろうと思った。いつか、良い意味での”空気を読まない””ということが不自然でない”行動で、誰かを救うだろうと思う。

 彼女の我儘が、彼女の叱咤が、彼女の気遣いが、彼女の触れる手が、私を癒してくれた。

 私は役立たずではないと思えた、彼女に逆に気を遣わせてしまってはいたが。

 一人と、一人。
 独りを知る人は、独りを放っておけない。私がそうだった。フォムに対して、そうしていた。



 今きっと、彼女の我儘を受け容れるルシットや彼女を抱き締めるブラヴインや、彼女以上に我儘だが律は守ってみせるスピーネや、束縛を嫌って見せるが人懐こさも併せ持つムキエスや……他にもさまざまな存在が彼女の判断に加わり出しているのだろう。
 そこに私の存在も在れば嬉しいと、そう思った。

 だが、一番彼女の成長を支えているのは……彼女の土壌が、彼女の折れても立ち直ろうとする強さが、彼女の真っ直ぐさが、それらを引き寄せている、それなのだろう。





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最終更新日  2015.09.09 02:53:14
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