ヘッドハンターのひとり言。

ヘッドハンターのひとり言。

Mar 10, 2005
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カテゴリ: ひとりごと
どうにか日本に生還した私は、成田についた瞬間、また海外に出かけたくなっていた。あんなに帰国を望んでいた私は何処に・・・。私は、2年ぶりの日本を眺めた。自分の人生で、ぽっかりと空いた二年間。総理大臣が何人も代わっていた事は、大使館に寄った時みる日本の新聞で知っていたが、日本でおこっていた事は殆ど知らない期間だった。最近、過去のヒットソングとかを年代別に紹介する番組を見たとき、凄く流行った曲だと紹介されたが自分の記憶にない歌が何曲かあった。その時、改めて、自分が日本にいなかった数年が甦ってきた。しかたなく、実家の屋根裏部屋で生活することになった。この部屋は、私が生まれる前(昭和30年代)で時間が止まっていた。舟木和夫が学生服で表紙を飾っている明星が無造作に転がっていた。今ならお宝鑑定団に持ち込んでいくらかの値がつくか知りたいものばかりが埃をかぶって置かれている部屋で私はこれからの人生をどうしようかと考えていた。予定通り、ニュージーランドに行って牧場で働こうか・・。そんな時、偶然大学校時代の友人から電話が入った。「久しぶり・・幸喜。日本に戻ってきたんだって?今、何しているの?無職でプラプラしているんだよね??いいバイトあるから俺と一緒にしようよ。」。「相変わらずお前はいきなり、自分の事だけ言うね・・。」この台詞は、普段私自身が言われる事が多い台詞なんだが、こいつを含めて数人私にしゃべらす隙を与えない友がいる。「で、どんなバイトなんだよ・・。」、「帰国したばかりで住む場所もないお前にぴったりのバイトだよ。その会社は、船のスタッフを探しているんだ。」、「船の仕事?俺、船操縦できないよ、4級小型の免許は持っているけど・・。」、「豪華客船の船の中で働く仕事だよ・・。船に乗り続ければ金も貯まるし宿もいらないだろ。お前にぴったりだろ。」、「ああ、そうだな・・で、お前もそのバイトするの??」、「赤坂のTBSホールで何日かに分けて、説明会があるから先ずはそれに参加するんだよ。勿論、俺も行くよ。」、「そうなんだ・・じゃあ、その話にのるよ。で、いつ行けばいいの?」、「今、売っているフロムエーに載っているからそれをみて行ける日を決めようよ。」、「わかった。」、「ところで、お前、スーツとか持っているの??後、写真付の履歴書とかいるよ。」、「そうなんだ・・。今、俺、金ないんだよね。」、「親にでも借りてスーツぐらい買えよ。直ぐにバイト代で返せるって言えば貸してくれるだろ??」、「お前、そんな事言ったって、二年間も遊びほうけた息子に帰国早々ほいほい金かしてくれる訳じゃない。」私は、彼のアドバイスに従って生まれて初めてスーツを買い(成人式には、大学校の制服で参加したのでスーツを持っていなかった。)、写真屋さんで履歴書用の写真を撮った。説明会当日、私が赤坂につくと待ち合わせ時間になっても友人は現れなかった。私は、彼の実家に電話した。彼の母親が電話に出た。「○○さんのお宅ですか?△△君いますか?大学校時代同期だった、幸喜です。」、「ああ、幸喜君。懐かしいわね・・昔、何度か遊びに来てくれて。」、「△△いますか?」、「ええ、いるわよ。ちょっと待ってね。△△呼んでくるから・・。あ、そうそう、うちの△△、4月から行く予定だった会社から直ぐにでも来てくれって言われちゃったのよ。」、「え、あ。そうですか・・おめでとうございます。よかったですね。」、「本当によかったわよ・・。ちょっと待っててね・・。」。私は、彼の母親との会話で彼の状況がわかった事を悟った。彼が電話口に出た。「おお、幸喜。うちの母親から聞いた?昨日の夜、内定もらった会社から電話あってさ、俺は新卒扱いで今度の四月から入社だと思っていたんだけど直ぐに来れるなら来てよて話になっちゃつたんだよ。ごめん、なわけで説明会行かなかったんだ。結構、時間も遅かったしお前に言えなかったんだよ。」、「そうなんだ、まあ、仕方ないね。おめでとう。俺は、スーツも買って履歴書も作ったから説明会に参加してくるよ。」、「幸喜は、お金貯まったらまた海外に行くんだろ?お前にはピッタリのバイトだと思うよ。」、「そうだな、頑張って受かるように行って来るよ。ありがとう、いいバイト先紹介してくれて。」私は、一人熱気で溢れかえるTBSホールの中に飲み込まれた。説明会は、20回ぐらい行なわれて常に満杯。会場に来ている99%が正社員希望。バイト希望の私は、場違いな雰囲気だった。当時は、既にバブルがはじけた後だったが、日本中がその事を認められないでこれからの日本人は今まで働きすぎだった分を取り返そうと余暇を楽しむ時代になると多くの人が信じていた。女性の大半は、嘗てスチュワーデスに憧れ、JALやANAを受けたが合格できなかった人だった。熱気に包まれた説明会が終わりに近づいた時、司会の男性が「この後、短い時間ですが個別面談に入ります。」と告げた。説明会場の外にでるといくつもの長いテーブルに面接官が並んで座っていた。面接官ごとに長い列ができ、やっと自分の番がまわってきた。昔、受験の時、以来の面接に緊張していた。そんな私をよそに、前のおじさんは、「正社員希望ですか?それともアルバイト希望ですか?」と質問してきた。私は、「アルバイト希望です。」と答えた。「アルバイト希望者は、こちらの箱に履歴書を入れて帰っていいですよ。」、「???」。履歴書を箱に入れて帰っていい・・・。なんなんだよ・・。私は、数秒立ちすくんでいた。やっとの想いで「面接とかしないんですか?」と聞き返した。「アルバイト希望は、全員合格だと思いますよ。後から電話連絡あると思うんで連絡まっていてください。」と言われた。「たったそれだけかい・・。」私は、赤坂を後にした。





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Last updated  Mar 10, 2005 11:49:47 AM コメント(9) | コメントを書く
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幸喜3319

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乗らない騎手@ ちょっとは木馬隠せw あのー、三 角 木 馬が家にあるってどん…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
開放感@ 最近の大学生は凄いんですね。。 竿も玉もア○ルも全部隅々まで見られてガ…
地蔵@ 驚きのショックプライスw コウちゃんがこないだ教えてくれたやつ、…
バーサーカー@ ヌォォオオ!!!!!! http://bite.bnpnstore.com/gsgo-pw/ お…

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