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春だなぁ…
大阪では、次の火曜日から
造幣局で「桜の通り抜け」が始まる
また、ご機嫌な花見客で賑わうんだろうな…
けどな、まだ夜は案外寒い
桜に惹かれて、うろちょろしてると
人間も、猫も風邪ひくからな
みんな、気をつけろ
まあ、そんなことより…
最近、ちょっとモヤモヤするというか…
ホントは、ダメなんだけどな
なんだか、イラッとしたりするんだ
原因は アイツ
ボクの昔からのライバル
あのハチワレ猫だ
アイツは、とにかく愛想がいい
あの風貌と天然キャラで
誰からも好かれる
まあ、人望…
あ、猫だから猫望か
その猫望は、ボス猫であるボクが
断然、上だけどな
いかんせん、凛々しい黒猫であるボクは
見た目、アイツほど
温和そうな印象を持たれない
ふん、ちょっと悔しいぞ
愛想のいいところは
ボクだって、負けてないのにな
まあ、それも
この際、置いとくとして…
ボクのライバルで
同じ部屋で暮らす フク
は
週に3回、特別室で暮らす
モデル
と一緒に外へ出かける
出かけるといっても
花見なんかじゃないぞ
病院へ行ってるんだ
病院の先生は、すごく優しいし
看護師さんは、優しいお姉さんばかりで
しかも、全員きれいだ
すごいだろ
あれが病院じゃなきゃ
ボクだって、デレデレしてるとこだ
けどな、あそこは病院なんだ…
ボクたちは全員、病院が嫌いだし
やっぱり、怖いんだ
優しい先生と、きれいな看護師さんが
遊んでくれるならいいけど
いつも、注射とかするんだぞ
あんなの好きなヤツいるのか
針だぞ、尖ってるぞ
チクっとして、血も出たりするんだぞ
だから、フクもやっぱり嫌がる
その気持ち、非常にわかる…
ものすごく、わかるぞ
だから、優しいボクは
たまに、毛づくろいしてやったり
こっそり、一緒に寝てやったりしてたんだ
これは、前代未聞の大スクープだぞ
この写真もホントなら
門外不出レベルの貴重品だぞ
「 くーちゃん
、優しいじゃないですか」
「やるねぇ、このボス猫」
そんな時、秘書たちは喜んで
ボクのことを、ものすごく褒めるんだ
二人して、頭とかグリグリする
それが強すぎて
ちょっと、フラフラする時もあるけど…
ふふん、ちょっと気分はいい
んっ、なんだ
だったら、なんでモヤモヤするのかって
そうだった、脱線し過ぎたぞ
その話だったな
問題は、その後の話だ
病院から帰ってきたフクは
これでもかってくらいに
いつも、甘えまくってる
朝から、隠れて寝てばかりの日も
帰ってきたら、いつもの甘えん坊で
愛想のいいフクになるんだ
それは、ボクだって嬉しいんだぞ
ヤツには、やっぱり
ずっと、元気なオバカでいてほしいし
なんといっても、ヤツとの付き合いは長い
ヤツは、ボクのライバルだからな
元気がないと…困るんだ
だから、秘書たちが喜ぶ気持ちはわかる
アイツらは、いつでもボクたちに
元気でいてほしいそうだ
だから、頑張ったヤツを全力で褒める
いつだって、そうだからな
フクも、褒められるのが好きだから
膝に乗って、撫でられて…
ふん、幸せそうな顔してやがる…
フクが、ご機嫌だと
シャムちゃんは、もちろんご機嫌だ
ルナとかも、なんとなくご機嫌だし
みんなも、なんとなくご機嫌みたいだし…
「あれ くーちゃん、どした」
「おや もしかして、アンタ…」
ち、ちがうぞ
少しは、ボクにも構ってくれとか
特別扱いしてほしいとか
甘えさせろとか…じゃないぞ
断じて、スネてなんかないからな
「・・・・・」
「・・・・・」
ああっ、もうっ
フク、早く元気になれー
ご飯、いっぱい食えるようになれ
いつものお前に戻ってくれ
とにかく、早く元気になってほしいぞー
先週から、何だか少し調子が悪い
通院組のフクちゃんとモデルちゃん。
モデルちゃんは、少し数値が上がってしまったため、
明日まで、病院お泊まりで点滴治療中
フクちゃんは、数値が下がったけれど
お口の中にトラブル発生
大好きなご飯が少しずつしか食べられず…
くーちゃんはじめ、仲間たちも大騒ぎです
二匹が、早く元気になりますように
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