りらっくママの日々

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2009年06月01日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとオレ39」




聞こえなかったのか?
結構覚悟決めて言ったんだけどな…。
体を離して、タカダさんの顔を見る。

「聞こえなかったよ。もう一回言って。」

オレは恥ずかしくなってしまって、下を見る。

「意地悪ぃ~な、タカダさん。」

タカダさんが抱き締め返してきた。
驚いて固まってしまう。

「ごめんね。ウソ。
聞こえた。
カッコ良すぎ…。」

「え…そう?」

「うん…。
そんなこと言うの反則だよ…」

オレも抱き締める。
参った。
このまま、帰りたくなくなる。
離したくなくなる。

オレの心臓の音?
タカダさんの音?
聞こえてくる。

言ったことは本心だ。
だから、理性でブレーキをかける。

「明日、昼頃迎えに来るから…
嫌ならやめていいから。」

「うん…」

それでも抑えられなくて、
タカダさんにキスをする。

離れたくない。
このまま時が止まればいい。

怖かった。

本当は、欲しくて欲しくてたまらないのに、
明日になったら、
消えてしまう魔法かもしれないのに。
オレは、
本当の何かが欲しかった。


抱き締めた手をゆっくりお互い離して、
後ろ手でドアを閉めて、
タカダさんの家を後にする。

もう電車が無くて、また駅でタクシーを拾うと、
ため息が出た。

この前は手だった。
だけど、
今度は彼女の体のぬくもりが残る。
そして唇。

胸が締めつけられる。

こんなはずじゃなかったと思うのに、
ずっとこうしたかったんだとも思う。

酔ってるのかもしれない。
引き返すなら今だ。
彼女も同じ気持ちでいるんだろうと思った。
オレよりも深い罪悪感を持っているかもしれない。

明日は来ないかもしれないな…。

オレは、最悪、その覚悟だけをしておいた。

寮に帰って、水をガブガブ飲む。
シャワーを浴びて、
ベッドに横になった。

さっきの残像ばかりが頭に浮かんで、
グルグルとオレの気持ちをかき回した。

来て欲しい。
どうしても会いたい。

帰るべきじゃなかった。
どこかに連れて行ってしまえば良かった。
酔ってても良かった。

軽い後悔が残る。
帰ってきちゃったんだから仕方ないのに。

もう自分の腕の中にタカダさんを抱く事は無いかもしれないな…

淋しさとやりきれなさばかりが残った。
でも、もういい。
今日のことは今日のこと。
明日ダメならその時嘆こう。


目覚ましの音で目が覚めた。
セーブしながら飲んでいたせいか、
酒は残ってないようだ。
でも、ぼんやりと薄く眠った感じだったので、
ちょっと疲れが残っている。
なのに、気持ちだけは妙に高ぶっているようだ。

どうする?
行くのか?

自分に聞いてみる。

もしかしたら、もう向こうの魔法は覚めているかもしれない。

でもオレは…。

車をゆっくり運転した。
来てくれるかわからない相手を迎えに行くなんて、
オレはどうかしているんだろうな。

タカダさんの家の近くに車を止めて電話を入れる。
心臓がバクバク音を立てていた。

コール音が3回。

「はい。」

「オレです…。」

「うん。」

「来ますか?」

しばらく返事が無かった。
沈黙が長く感じる。

「今どこ?」

「タカダさんちの脇の道。」

また沈黙があった。
帰るべきかもしれない。

「もう少し先、駅と反対方向にコンビニがあるの。
わかる?」

「うん。」

「そこで待っててもらっていい?
あと30分かかってもいい?」

「うん。」

電話を切った。
もう多分、
自分を止められない。




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最終更新日  2010年03月27日 17時20分12秒
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