りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年06月21日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとオレ49」



誰か友達と来ているのだろうか?
それとも、ダンナがいっしょだろうか?
オレは飲みながら観察する。

側には、男が来たり、女が来たりしているが、
サキとずっといっしょにいるワケではない。

どうする?
声をかけてみようか、どうしようか。
でも、どのタイミングで…。
今を逃したら、もう話すことも無いかもしれない…。

迷っていたら、ハラが痛くなってきた。
とりあえず、トイレに行くことにした。

トイレを出てすぐ、顔を上げるとサキがこっちに歩いてくるところだった。
視線が合う。

「シンちゃん…」

「よう…」

オレは手を上げて、挨拶をした。
何ともマヌケな再会だ。
あんなに探しまくった相手に、
こんな偶然にバッタリ会えてしまうなんて、
拍子抜けもいいところだ。

「どうしたんだよ。新婦の知り合い?」

とりあえず、無難な言葉をひねり出した。

「そうよ。幼馴染なの。
シンちゃんは?」

「オレは、会社の先輩…」

「って、聞くこともなかったかな。知ってたの。
同じ会社だってこと。
でも、シンちゃんとこの会社大きいし、
もしかしたらと思ったけど、
まさか会えるとは…ね」

オレはどうしていいのかわからずに、軽く額を掻いた。

「シンちゃん、あまり変わってないね。」

「オマエも変わらないな…。」

ホントにそう思ったので、そう言った。

「そう?そんなことないよ。太っちゃった。
口が上手いのね。」

「脱がなきゃわかんないよ。きっと。」

バカじゃないの!と、サキが笑う。
相変わらずのやり取りで、
まるで昔みたいだ…と思った。

こんなやり取りができるのも、
きっと時間が経ったんだな。

「ここは?誰かと来てるのか?」

「ううん。一人よ。
だから、彼女の兄妹が気を遣っちゃってね。
さっきから、来てくれるの。
まあ、子供の頃からの付き合いだから…」

「じゃあ、オレと行動する?」

サキがオレの顔を意外な感じで見る。

「でも、会社の人沢山いるでしょ?」

「別に構わないよ。
オレ独身だし、女といたって何てことないよ。
それに、オレの部署男ばっかだし、女が来たら喜ぶよ。」

「でも、オバちゃんが来たってねぇ…」

「同じ歳じゃん。それならオレだってオヤジだよ。」

「結婚してるし…ね。」

「知ってる…」

サキが黙った。
オレは左手の薬指につい目が行く。

「あの後、腸閉塞になってすぐ入院しちゃったんだ。
退院してから、バカみたいに探しまくっちゃってさ。
ほら、フリーターの山口いただろ?
アイツがさ、アネゴにバッタリ会ったとかって言って教えてくれたんだよ。
オマエ仲良かったじゃん。」

「探したって…私のこと?」

「うん…。」

「そう…、そうだったんだ…。」

サキが下を向いて黙ってしまった。
オレは次の言葉を探す。

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるから。
先に行っていいよ。」

サキはトイレに入ってしまった。

あ~タイミング悪い。
待ってようか、先に行ってようか迷う。

悪いかと思ったけど、待ってることにした。
このまま、会場で声をかけられないと、
もう会えないような気がしてしまった。

オレは思い立って名刺を取り出す。
裏に携帯の番号を書いた。
でも、渡したところでどうなんだろう?
かけてくる保障は無い。

「あれ?まだいたの?」
サキが出てきた。

「オマエ、こっち来ないつもりだっただろ?」

「よくわかるね。」

サキがクスクス笑った。

「終わったら、どっか飲みに行けるか?」

「難しい…かな。」

「そうか…。」

サキがまた黙り込んだ。
オレは、名刺を渡す。

「ここに、連絡くれる?」

サキが受け取る。

「連絡しないかもよ。できないかも。」

思った通りのことを言う。

「そしたら、ここから、腕ひっぱって、どっか連れてく。
後つける。
ストーカーする。」

サキが軽く笑ってため息をつく。

「連絡するって約束したらいいわけ?」

「やっぱり、それじゃあ嫌だな。
アテにならない。
終わるまでしか時間が無いなら、今すぐ出られないのか?」

「そうは、行かないわよ…」

「そっか…。」

コレはもう諦めるしかないと思った。
どうしても、このまま別れたくはなかったけど。
神様がそう言ってるらしい。

会場では、ビンゴを始めるとかで、配ったカードを出すよう指示があった。
オレは、何となくサキの隣にいた。

サキが小声で言う。
「いいわよ、友達のとこ戻って。」

オレも小声で言う。
「嫌だね。戻らない。
別にいいだろ、ここにいたって。」

「相変わらず、ワガママね。子供みたい。」

「オマエだって、相変わらず素直じゃないな。
人の厚意は黙って受けてりゃいいだろ。」

お互いが相変わらずなことが何だか可笑しくて、
顔を見合わせて笑った。
ビンゴで景品をもらって戻ってくると、
サキが言った。

「いいよ。」

「え?何が?」

「終わったら、飲みに行きたいんでしょ?
どこに行く?」


オレたちはとりあえず駅近くの居酒屋に適当に入っていた。
でも、連れてきたものの、何から話していいんだか…。
オレもサキも酒をグイグイ飲んだ。

「相変わらず強引よね、シンちゃんは。」

「相変わらず、気が強そうだな、オマエは。」

そしてオレの嫌な部分を引っ張り出す。
と、オレは思った。

「オレだからいいけど、その調子じゃ、誤解されるんじゃないか?」

「よくわかるわね。
お陰様で、幼稚園のお母さんたちにつまはじきよ。」

子供?子供がいるのか?

「え?子供いるのか?何歳?」

「5歳」

「5歳…」

結婚してすぐに生まれたってことか?
え…?

「シンちゃんの子供。男の子よ。
最後、避妊しなかったでしょ。」

いきなり思いがけないことを言われたので、オレは固まってしまった。
サキがその様子を見てクックと笑い出す。

「ウソよ。冗談。4歳よ。」

「オマエ…やめろよな~。」

オレは大きく安堵の息を吐く。
サキが可笑しそうに笑う。
そしてため息を大きくついた。

「オマエ、人相で損するって自分で言ってたじゃないか。
学んでないのか?」

「うん、学んだはずなんだけどね、やっぱりね。
親の付き合いはもうめんどくさいから、子供は幼稚園に預けっぱなしよ。
延長保育。
いっそ、仕事続けて保育園に入れれば良かった。」

「仕事辞めたのか…?」

あんなに頑張ってたのに…。
それが顔に出ていたらしく、サキが言う。

「うん。子供できちゃったら、つわりとか重くてね。
とてもじゃないけど、産休を取れるまで、いられなくなっちゃったの。
で、今は働こうとしても、保育園の受け入れ先もなければ、
雇ってくれるところも、幼稚園だと時間が合わなくて無いのよ。
まあ、仕事選ばなきゃいいから、
今はようやくパートで働いてるわ。」

「そうか…。」

本当に皮肉な話だ。
そんなことなら、どうしてオレと結婚しなかったんだよ…って気持ちになる。

「オマエ、誤解されやすいんだから、気をつけろよ。
強がりだし。」

「うん…。」

長い間がある。
サキは何を考えている?

「あの頃に戻れたら…」

サキの言葉にオレが顔を上げる。

「あの時に戻れたら、
もっと早く、シンちゃんと結婚したいって言ってれば、
何か違ったかしらね?
あの時子供ができてれば、結婚してたのかな…」

トロンとした目でサキが言った。
その質問には何て答えたらいいのかわからない。





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最終更新日  2010年03月27日 17時34分28秒
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