りらっくママの日々

りらっくママの日々

2010年01月20日
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今日の日記




「ある女の話:カリナ79(側にいて2)」



ガラス越しに。

「惹かれる…ね。
誰かそういう人がいるの?」

マッシーの言葉に、
私がイシタニくんのことを話そうかどうしようか迷っていると、
お店の女性が近付いてきて、
皿を下げた。

「タッチャンと付き合ってた時も、
いい男だな…って思う人は、いたなぁ。
でも、付き合ってる時は理性で止まる。
って言うか、止めてた。
失くしたくないから。」

「そんなことあったんだ?」

「タッチャンは止められなかったみたいだけどね…。」

マッシーは笑ってお水を飲んだ。

「失くすかもしれなくても、
それでも止められなかったら仕方ないのかな…って思う。
止められたら、そこまでの思いだったんだろうし、
止められなかったら、もうそういう運命だったんでしょ。」

マッシーの言葉にため息をつきそうになった。

「マッシーは、そう思うの?」

「うん。
何があっても、ホントに自分にとって大事だったら、
本物だったら…
戻るし、許せるものだと思うんだけどね。
…いやどうなんだろ?
わかんないな。」

デザートが運ばれてきた。

「美味しそう!」

マッシーは言ったことを消すかのように、
嬉しそうな声を出した。

「ホントだぁ~!」

私も合わせて言った。
美味しいねって、
お互い幸せな顔になる。

「私は…
マッシーが言うみたいに許せるかわからないよ。
だから、
自分がフラフラした気持ちになったら、
許してもらえないって思うのかもしれない。」

私は紅茶を冷まそうと息を吹きかけて続けた。

「結婚ってさ…
そこまでの自信が無いから…
だから、怖いんだよ。
その…
本物かどうかって、わからないから、
だから結婚とか、
していいのかな?って思うんだよ。」

一口すすっても、
まだ紅茶は熱かった。
マッシーは何も言わなくて、
言葉を探してるように見えた。
私は更に思ったことを言った。

「私ね、自分に自信が無いの。
青山くんが私のどこがいいのかな?
って気持ちになることあるし、
ずっと同じ気持ちでいられるのかな…って…」

イシタニくんに心をかきまわされて、
グラグラになってるような自分を見てしまった…

もしも、そんなことがなかったら、
私は青山くんとの結婚に、
こんなに迷ってないと思う。
あんなに言い訳をしてなかったと思う。

B子とイシタニくんのメールを見てなかったら、
もっとイシタニくんに惹かれてたかもしれない…
そう思うと怖い。

B子の彼だって知ってたら、
惹かれたりしなかったって、
否定したい自分がいた。
それ位、嫌だった。

でも、
もう惹かれてたんだと思う。
だから相手がB子ってことで、
尚更、裏切られたみたいで悔しかった。

自分にも青山くんがいるくせに。

そんな自分が怖かった。

「これから先、もっとお互いイイ人が出てくるかも…って、
最近思ったりすることもあって…」

こんな私よりも…。

青山くんといっしょに笑っていた女の子。
あの時の青山くんの笑顔。

あんな顔、
私は最近、青山くんにさせてあげてたっけ?

やっぱり私は自分で、いっぱいいっぱいなのかもしれない。

青山くんが言うように、
結婚すれば、
解決するのかな…

いっしょに生活を共にするようになれば、
もっと、お互いを見るようになるのかな…

マッシーはコーヒーを飲んで、
カップを眺めていた。
何か考えてるみたいだった。

私は外の波を見た。


店を出てマッシーの車に乗った。

「今日の夕飯、家で鍋にでもしよ~か?」

「いいね!賛成~!」

マッシーと二人であれこれ食材を見て、
何鍋がいい?
キムチ鍋にする?
あっさりポン酢?
とかって、スーパーの中を散策した。

「あ、コレ新作だ。食べたい~!」

私が今だけ限定とかってチョコスナックを入れる。

「カリナ、コレ好きだよね?
ワイン飲んでいい?」

マッシーが慣れたようにビールやらワインやら杏露酒を入れていく。
チーズに生ハムにサラミに枝豆に…

マッシーは、かなり飲むようになったかもしれないな。
なんて、それを見て思った。

それにちゃんと自炊してるみたいで、
食材の安さとか、ちゃんといろいろ考えて買ってるみたいだった。
何だか母親と買物に来てる子供みたいな気持ちになった。
変な安心感。

後でワリカンにするべ~って、
沢山買った。
マッシーが車で良かった。って言った。

マッシーの家はちょっと広い1LDKで、
この辺は家賃が安いから~って言ってた。
かなりこざっぱりとしていた。

鍋は土鍋が無いから、
ホントの鍋だった。
カレーとか作るような。

「へぇ~、
マッシー上手だね~」

マッシーの食材を切る手際に感心する。

「しょっちゅう作ってるからね~。
でも、ほとんど手抜き。」

「そうだよね、一人だと何だか作る気なくなっちゃうもんね。」

「カリナ魚触れるんだね?
私苦手なんだよね、ヌルヌルした感じが…」

「うん。お父さんとよく釣りに行ったりしたからね。
慣れちゃった。
最近は青山くんともね~。
こないだは赤木くんもいっしょだったよ。」

「へぇ~、赤木くん元気?」

「うん。もう女の子連れてこないよ。
何だかね~。
でもちょっと怪しかった。」

「何?怪しいって?」

「何か、好きになっちゃいけない人を好きだったみたいな~」

「え?そうなの?」

「ううん、よくわかんない。
話、逃げられた。」

マッシーはアクを取りながら笑った。

「いろいろありそうだよね~、彼は。」

「そうだよね~、彼は。」

二人でクスクスと笑った。

鍋敷きに鍋を置いて、
ポン酢を用意して、
即席鍋が完成した。
マッシーがビール、私が杏露酒のロックを持って乾杯する。

「結婚のことならさ~、ユウに聞くのがイイんじゃない?
それかユウカちゃんは?
妹だと聞きにくい?」

「あ~、ユウね。
うん、前会った時に公園に慣れないって言ってたよ。
子供連れて行くと、そこが社会みたいな。
いろんなお母さんいるみたい。
馴染めなくて、会社辞めなきゃ良かったよ~、なんて。
保育園って、仕事続けてるんじゃないと入るの大変みたいでさ。
そんなに慌てて結婚しなくても良かったかなぁ~、
とかって言ってたよ。
ユウカは、甥っ子がヤンチャで大変みたい。
同棲してデキちゃった結婚だから迷いとか聞いたこと無いけど、
言えないのかな。
まあ実家にも、あんまり来れる距離じゃないし。
でも、どっちも、やっぱ生活って感じだなぁ~。」

フーフー冷ましながら、豆腐を頬張る。

「結婚って現実だね~」

マッシーがしみじみ言った。

「そうだね、現実なんだよね~。」

「なんかさぁ、
もう結婚したら、恋のモヤモヤって言うか、
もう他に誰かを好きになったりとかして、
悩んだりしなくて済む気がしない?
帰りたくない!
って思っても、ずっと離れなくていいよね。
自分だけのものって言うか。
それにアオヤンって浮気しなそうだよね。」

マッシーは魚をポン酢につけて、頬張る。

「ん~、私もそう思ってたよ。
でも、結構、意外と、何してるか、わかんないものじゃない?」

私はニラとキャベツと鶏肉を取って、ポン酢につけた。

「え~、何で?」

「だって、女の子とイチャイチャしながら会社から出てきたんだもん。」

私は杏露酒をゴクリと飲む。
体がホカホカしてきた。
舌も、かなり滑らか。

「うそっ?!アオヤンが?!」

「そーだよ~、肩なんか叩かれちゃったりなんかして、
喜んでニヤニヤしてたんだから。」

「うわ~、想像つかないね。」

「でも、会社の同僚と、ちょっとふざけてただけみたいなんだけど。
本人もそう言ってたし。
そしたら、私がそれ見て怒ってるんだと思って、
結婚しようとかって言い出すし。」

「え?その流れなんだ?!
プロポーズ、その流れなんだ?」

あはははは!ってマッシーが爆笑しだした。
私も何だか可笑しくなってきて笑った。

「そーだよぉ~、色気も素っ気も無い~。
このままだと疲れちゃうから、
いっしょに暮らしてくれって。
同棲できなきゃ結婚しようってさ~。
つまんない~!
現実過ぎて、つまんない~!」

マッシーはオナカを抑えて笑い転げた。
アオヤンって、そんなプロポーズなんだ?!
何、疲れるからって?
意味不明~!
で、女は?
何ソレ?スゴイ誤魔化し方~!

あはは、あは、あははーっ!!!
とかって。
目には涙まで浮かんでた。

何だか自分が悩んでることがバカらしくなってきた。

そうだよ~。
現実ってこんなもんなのよ~。
わかってたけど、
だってさ。
ちぇーっ、
…なんて言いつつ、何だか可笑しい。
こうしてマッシーが笑っていると、
私の悩みは、ホントに幸せな悩みなんだな…って思った。

「いいじゃん、いいじゃん、
ドラマチックじゃないかもしれないけど、
アオヤンって感じで~。
いやでも、何かスゴイね!
女の子と誤解されたのが嫌だから結婚とか言い出したのかなぁ?」

「えー?そうなのかなぁ?
何かトンチンカンだと思ったよ。
何いきなり言い出すの~?って。
こっちが怒ってるのに、逆ギレっぽかったし。
こっちはアオヤンなんか嫌いだって言ったのにさぁ」

マッシーは残ってたビールを一気飲みしてしまった。
そして冷蔵庫からワインを持ってくる。

「はいはい。ごちそーさま。
あ、残ったら、これで明日お味噌汁にしちゃおう。
美味しいよ~!
なんかも~、オナカいっぱいなのに、何かつまみたいなぁ~。
サラミ切ってこようかなぁ~。
チーズはさんで~。
お菓子も食べようかなぁ~。
太っちゃうなぁ~。」

「何よ、マッシー、聞いてよぉ~!」

「聞いてるよ~。
ったく、幸せなノロケ話じゃん。
まったくねぇ。
結婚しちゃえば?
ゴチャゴチャ考えて無いで。
言われてるうちが花だよ~。」

「だって~。
えー、そうかなぁ?
やっぱ、ゴチャゴチャ考えてる?考え過ぎ?
私、結婚しちゃっていいのかなぁ~?」

イシタニくんのことを打ち明けちゃおうかと思った。
真面目に。

マッシーなら、何か答えてくれるような気がした。

そして、
何でも無いことだって、
笑い飛ばしてくれる…。

その時、
電話の音が部屋に響いた。




前の話を読む

続きはまた明日

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最終更新日  2010年01月20日 18時51分58秒
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