りらっくママの日々

りらっくママの日々

2013年10月19日
XML
カテゴリ: ある女の話:サキ




さっき、宝飾品の写真を何枚か見せられ、「カトサキちゃんなら、どれがイイと思う?」

何て言っていた仕事の顔とは違う、男たちのイタズラっ子のような顔。

「じゃ。男は男の行くところへ行くんで。オツカレ!」
場を〆るようにキジタツさんが言って、楽しそうなオジサンたち+若手男性社員は去って行った。

「はい、お疲れ様でした~」

女性社員たちは、「はいはい、どうぞ~」って顔をしていて、
息子を見送る母みたい。

バイトしてた時には、こうした光景は見れなかったなぁ~と思う。


上の人たちとは常に別行動だった。

「コレが大人になるってことなのかなぁ~」

私は帰り道にポツリとつぶやいた。

「え?何が?」

帰り道が同じ方面なので、他のフロアーで働いている、私と同じ歳のオガワちゃんが言う。

今日初めて話したのに、なぜか妙に打ち解けてしまった。

「子供の頃ってさ~、大人になるってことは立派な人になるってことだと思ってたんだよね。
何て言うか、感情とかも呑みこんでさ、動じないって言うか、
頼りになる理想の人間っていうか?
けど、実際、成人式過ぎて、大人って言われる歳になってくるとさ~
なんかこう、、、

悪いことを許しちゃうのが大人って言うか。。」

多分、キジタツさんたちは、ホステスと呼ばれるオネーチャンたちのいる店にでも行ったのだろう。

或いは、もっとウハウハとかって男性たちが言うような場所。

女は行ってもウハウハじゃないとこ。

私の言ったことを聞いたオガワちゃんは、ちょっと考えて、、、

「う~ん。。。あたし、そういうの、わかんないやぁ~」
と、のんびりしたように言った。

オガワちゃんの言葉は、言葉尻を上げて延ばす。
そこが故郷の言葉なのか、とてもおっとりしていて心が和む。

そう言われると、何だか、自分が思ったことをつい言ってしまったことが、
ただ思った言葉を口に出して説明しただけなのに、
何だか深く考えてるみたいで、
つまんないことに悩んだり迷ったりしてる人間みたいで、
考え過ぎみたいな人間みたいに思えてきて、
ちょっと恥ずかしいような、何とも行き場の無い気持ちになってしまった。

けど、オガワちゃんの言い方が、本当に本当にノンビリしていたので、
私は、そんなオガワちゃんに大人を感じてしまったんだと思う。

母が持つ、何かを感じたのかもしれない。

こんなことをつぶやく自分が凄く子供に思えて、
「そうだね~、変なこと言っちゃったよ。あはは」って言ってしまった。

「サキちゃん、やっぱり頭イイんだね。私高卒だからさぁ~」

そんなことをサラリと言うオガワちゃんに、ますます大人を感じてしまった。
言われて納得で、オガワちゃんは化粧もし慣れてる感じで、
しゃべらなければ、とても垢抜けて見えた。

寒い地方の人らしく、色も白くてキメが細かい肌をしていて、大柄。
豊満なボディとでも言うんだろうか、
オジサンたちには、人気なんだなぁ~って、今日の飲み会でとてもよくわかった。
同じ歳だと言ったら、結構周りに驚かれた。

「いや、、、オガワちゃんはオトナなんだと思う~
漢字の大人じゃない、大きな人って書かない、カタカナのオトナのオンナって感じ」

そう私が言うと、オガワちゃんは何となく褒められてるとわかったらしい。
「やっだ~ぁ、もう、サキちゃんは!そんなこと言われて嬉しいよぅ」って、バンバン私の肩を嬉しそうに柔らかく叩く。
けど、そんな仕草も親しくなったようで楽しい。
お互い酔いを差し引いても好意を感じた。

「サキちゃんさぁ~、キジタツさんと仲良し~?」

「え?いや、ただの仕事いっしょにしてる人だけど。。」

聞いたものの、私の言ってることは、どうでもイイとばかりにオガワちゃんが続ける。

「あの人さぁ~、バツイチなんだよねぇ~
サキちゃん、気をつけなぁ~、べっぴんさんだしさぁ~」

「え?!何言ってんの?」

私は自分がべっぴんさんと言われたことにもキジタツさんがバツイチなことにも驚いて、
一体何を返事してイイのか、わからなくなった。
柔らかな顔立ちの母や姉がルックスで褒められたことはあっても、
キツい顔をした私が褒められることなんて早々無かったからだ。

お酌も、どう接してイイのかわからない。
何を話してイイのかわからない。
いつもどこにいたらイイのかわからない。
嘘で笑顔を作って、人当りがイイふりをして、
いつも一人でいる気がする。私。

だから、似た空気を感じたシンちゃんに惹かれた。

私の心境も知らず、オガワちゃんが続ける。

「アタシさぁ~、今の彼氏と結婚したいんだよねぇ~。
一人の部屋に帰ると淋しい~。
けどさぁ~、アイツさぁ~、仕事忙しいとか言って、
勝手な時に来て、やることだけやったり、勝手な時に帰ったり呼び出したりしてさぁ~
アタシもアイツの部屋に行って、掃除して洗濯して料理作ってさぁ~
こんなのがずっと続くかと思うと、結婚したいけど、結婚したくないんだよねぇ~」

おいおい、やることだけやるって。。。
私はオガワちゃんのアケスケな言動に、ついツッコミを入れつつ笑ってしまう。

「でさぁ~
働きながら子供生まれたら仕事とか嫌だしさぁ~
けどキジタツさんみたいに離婚でもしたら、
また仕事とか子供いながら働いたりするの大変だろうしさぁ~
彼氏、稼ぎがアタシより少ないからさぁ~」

ああ、べっぴんさんは、話の流れのお世辞だったのね。
ちょっとホッとしつつ聞いていたオガワちゃんの言葉は、
何だか、かなり共感できる。

「うちも、おねーちゃん離婚しちゃってさぁ~
姪っ子と家帰ってきちゃったよ。
親が姪っ子のめんどうみててさ~
パートみたいなことしてるって感じ。
家をね、ホントは別にした方がイイって、世帯主がどうこうで税金の問題があるらしいんだけど、
おねーちゃん、娘預けるのが楽みたいで家を出なくて、税金も親に頼ってるんだってさ~
今、彼氏っぽいのができたらしくてさ~
親、からの電話は愚痴ばかりさぁ~」

私もオガワちゃんの言葉遣いがうつって似たように言う。

オガワちゃんは、ウンウンって頷いて、
「どこも大変だよねぇ~」
と、遠くを見て、他人事では無いとばかりに言った。

「ホント、大変だよねぇ~」
その様子を見て、私は、つい笑って言った。

オガワちゃんも私の様子につられたように笑った。

「けど、何とかなるもんだよねぇ~?」

オガワちゃんはノンビリとそう言った。

そうかもしれない。と、私は言った。

コレが「大人」ではなく「オトナ」になるってことかもしれないなぁと思いながら。


続く

前の話を読む

サキ1:目次





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013年10月19日 20時20分50秒
コメント(6) | コメントを書く
[ある女の話:サキ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

りらっくままハッシー!^o^

りらっくままハッシー!^o^

カレンダー

コメント新着

りらっくままハッシー!^o^ @ Re[2]:アカデミー賞授賞式(03/11) ゆうけんのままさんへ 一年ぶりになってし…

バックナンバー

2026年06月

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: