昨日、クラブのママさんが、「炭火焼」のお店を開店したんで、開店祝いを持って行ってきました。
なかなかいい雰囲気ではありましたが、朝早く、朝食から食べさせるって言うんですけど、実際、朝から炭火焼って・・・・食べる人がいるのかなあ?
今回のクロスカントリーリレーは、A、B2チームが出場することになった。
Aチームは斉藤、川畑、私・・・そして前回6位入賞した同じ2年生・・・・2年生だけで編成した。
Bチームは、一年生の上位4名で編成・・・・・
まあ・・・Bチームは来年の様子を見るという程度だから、優勝を狙うのはあくまでもAチームだった。
ライバルは開催地地元の中学で、毎年この大会は優勝をしているのだが、前回の個人のクロスカントリーでは私たちが上位独占したおかげで、かなりその後の練習に力が入っているという噂だった。
出走の順番を決める。
第一走者は川畑・・・・第二走者はもう一人の2年生、私が第3走者で、アンカーが斉藤という順番にしたのだが、そのライバル校が、その順番を想定して第2走者に、一番早い選手を貼り付けたという情報がはいってきた。
吉田先生が、順番の入れ替えを検討し始める。
「川畑の次に斉藤を入れるか・・・・この2人で引き離し第3走者で詰められても、アンカーに大山がいれば大丈夫だろう」
私は反対した。
うちの第3走者だって六位入賞・・・・ライバル校のいちばん速い選手にだって勝っているのだ。
それも、彼は足場の悪くなった荒れたコースを走っての6位・・・・実力は私たちとなんら変わらないはずだったから、元のように戻すことを吉田先生にお願いした。
しかし、
「お前はキャプテンとして、ここまでの成績を残してくれた。・・・いざとなれば川畑や斉藤にも負けないはず・・・・この前だって川畑に追いつこうとしてがんばっての2位だったんだから、あの時お前の前に斉藤が走ってれば、お前は1位だったかもしれないんだぞ」
もし第3走者で抜かれたとしても、目の前をライバルの選手が走っていれば追いつけるという話をされた。
川畑たちもその意見に賛成をし、私はアンカーになった。
翌朝、いつものように真由美の家までマラソンに向かった。
いつもと違うのは、いつも迎えに行ってから出てくるのを待った真由美が、今日は赤いウインドブレーカースーツを着て、準備体操をしていたことだ。
「聞いたよ・・・・アンカーになったんやてな・・・今日からうち、100メートルぐらい先を走るわ・・・あと追いかけてきて、追い詰める練習せな・・・」
そう言うと先を走り始める。
すぐに追いかけようとしたのだが、真由美は振り返り私を制した。
「あたし、あのガソリンスタンドのとこまで先に行くわ・・・・合図したら追いかけてきて・・・」
真由美が走る姿を後ろからじっと見ていた。
新学期が始まったころ、「正月休みで肥えたから、マラソンせな・・・」と言って一緒に走り始めたのだが、そのころも太っていたわけではなく、あれから一ヶ月、更に無駄な肉が取れて均整の取れた体つきになってきたように思える。
「俺って、いやらしいなあ」
独り言をつぶやきながら真由美の合図を待った。
ガソリンスタンドに到着し、ここからもよく見えるのに、真由美は両手を大きく振って合図をした。
真由美を追いかける。
獲物を追い詰めていくハンターのような行動・・・・これは私にとってワクワクさせられるものだった。
したがって、スピードも思う以上に上がり、あっという間に真由美を追い詰めてしまったのである。
一緒に並んで走ると
「こんな短い距離だとあかんなあ・・・今度は時間をおいて走るわ・・・・あんたが来る5分前にスタートするわ・・・それを追いかけてみ」
楽しそうに話をする真由美に、私は今まで聞けなかったことを聞いた。
「あのね・・・真由美ちゃん・・・・この前のチョコの話なんだけど・・・・・」
「アア、あれな・・・ありがと・・・でも可愛くて食べられへんわ・・・・上手にできてるから・・・・」
あの手紙の返事を・・・・と聞きたかったのだが、それ以上の話はできなかった。
次の日の朝からは、真由美が5分前にスタートしているからなかなか追いつくことはできなかったので、話しもなかなか出来なかった。
「ガソリンスタンドスタートのときは、姿が見えてよかったのにな」
そう思ったのだが、口に出してはいえなかった。
そうしているうちのクロスカントリーリレーの大会当日になった。
その日は、なぜかおなかが痛くなっていた。
緊張していたのかもしれない・・・・何か悪いものを食べたわけでもないのだがキリキリするように痛む。
レース会場に到着して、吉田先生に訴えたのだが、時間になるまで様子を見ようという返事だった。
今日は隣町だから、応援の数は少ない・・・・
真由美ちゃん来てくれないかなあ・・・・
前回彼女の声で発奮し、川畑に勝てたように感じていたから、今日もできれば応援に来て欲しかったが・・・・私の母と斉藤の母が、一台の車に分乗して応援にきただけだった。
私はみなが準備運動をしているとき、吉田先生の車の中でシートを倒し、横になっていた。
「大山・・・・大丈夫か?・・・補欠の準備しておこうか?」
吉田先生が様子を見に来たが、私は大丈夫だと答えた。
きっと、気持ちの問題だろうと思っていた。
号砲一発!
第一走者の一斉スタート・・・・
川畑が集団に飲み込まれまいと必死に前に出る。
うまくいった。
先頭に立って2位との差は、3メートル・・・・・・
そのままの状態で林の中にはいっていく。
第2走者斉藤にタッチするまで、もっと差は開いているだろう。
今日も勝てると思った。
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