ジュニアは野辺地町にある「馬門スキー場」(まかどすきーじょう)に行きましたが、みぞれが降ってるんでコンディションは最悪でしょう。
大丈夫かなあ・・・私は今日、「市連P」の総会があるんで行けないんです。
前走者が2位の選手に追いつかれたかどうか・・・・・吉田先生がハンディトーキーで林の中に待機している二年生に連絡をとった。
雪が降り始めたので電波の状況は悪い。
「今抜かれたそうだ・・・・・」
報告を聞き、先生の顔が曇ったのでそうではないかと思ったが、
「大丈夫ですよ・・・先生・・・毎日、相手が前にいることを想定して練習しましたから。」
そうは言ったものの、正直なところ相手が想定した選手ではなかったので自信はない。
当初は、ライバル視していた地元中学が二番手に一番早い選手を持って来たので、斉藤を二番手に持って来たのだが、現在一位を走っている中学が、二番手に一番速い選手を持って来たとは限らない。
確かに、斉藤のとき差を縮められたのだが、もしかしたらアンカーの選手がより速いのかもしれない。
「大山君・・・・練習どおりやでーー」
応援席で真由美の声がした。
真由美は追いかける予定の選手が違う事を知らない。
毎日追いかけられる選手の代わりにやってくれたんだもの・・負けるわけにはいかない・・・・
もう度胸を決めて、相手を追いかけるしかしょうがない。
そう思ったとき、川畑が新しいスキーを持って来た。
「雪質バッチリ!、これで負けないぞ」
さっき、林の中で追いつかれたことを知らない川畑はそう言って私にスキーを手渡した。
今まだワックスを丁寧に塗ってくれたのだ・・・・
「ありがとう・・・がんばるよ」
スキーをはき、2~3度前後させて雪になじませる。
林の中から一位の選手が出てくる。
それからおくれること10メートル・・・・あえぎながらうちの選手が滑り降りてくる。
10メートルの差が大きいのか小さいのか、相手のレベルがわからない以上、悩む余裕はなかった。
バトンタッチされたら、あとは死ぬ気で走るだけなのだ。
タッチのゾーンに相手の選手と一緒に立つ。
背が高く、がっしりとした体格で私のほうを見てにやりと笑う。
よほど自信があるのだろうか?
斉藤がそばに来て
「あいつ今笑っただろ?・・・逆に自信がない証拠だ・・・きっとコーチからお前に圧力をかけるために笑えって言ってるんだ」
それは私を落ち着かせるために言ったという事はわかっている。
しかし、私は大きくうなづき返して、ニコリと笑って見せた。
相手の選手がタッチし、まもなく私もバトンを受け継いだ。
平坦なコースで追いつくのは難しいだろうが、相手に圧力をかけるためにすぐ後ろにピッタリマークすることはできる。
その後の上り坂には自信がある・・・・・斉藤や川畑と走っていても、上り坂で追いつくことができる。
あいつらだって、すごい選手だ・・・・相手がもっと速い選手だったとしても、それなりの練習をつんだのだから、負けるはずがない。
ピッタリ近づき、彼のすぐ後ろでわたしはわざと息を荒げて聞かせてやった。
おっと、息子がスキー終わったって。。。。
迎えに行ってこなきゃ・・・ゴメン・・・続く
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