目をつぶってじっとしている猫・・・・・これも不気味なものでした。
そこにはネズミたちが恐怖に震えながら、その猫の一挙手一投足を見守っているのです。
「神様」はもう一度聞きました。
「お前・・・・いったい誰なんだ?」
その時その猫はギロッとした目で「神様」を睨んだのです。
「俺か?・・・・俺は猫だ・・・猫の中の猫なんだ」
このとき「神様」に何かぴんと来るものがあったようです。
「うーんそうか・・・そうだったのか・・・・・お前がそうだったんだな?」
「神様」はひとつ唸って、独り言のようにいいました。
「誰なんですか、こいつ?・・・・ここは天国・・・それなりの功績のあるものじゃなきゃ来れないはずなのに・・・・正体不明のこいつ!・・・神様・・・わかったんでしょ?」
長老ネズミが警戒したまま「神様」に尋ねました。
「アア・・・たった今わかった・・・・こいつの正体がな・・・・・」
「誰なんですか?・・・・・有名な猫じゃなきゃ天国に来れるはずもないのに・・・・わしたちが八方手をつくしても名前ひとつわからないなんて・・・」
「名前から調べようとしたから悪いんだ・・・・だからわからなかったんだよ」
長老ネズミばかりではなく、他のネズミも・・・「孔雀」でさえ「神様」の言ってる意味がわかりませんでした。
「こいつには名前がないんだよ・・・・だから誰も正体をつかめなかったんだ」
「名前のない猫で有名なんですか?」
「ああ・・・日本ではかなり有名な猫だ・・・・・夏目漱石の猫だよ」
その時長老ネズミは、以前図書館に住み着いていたとき読んだ本を思い出しました。
「吾輩は猫である・・・・名前はまだない・・・なるほど。。。」
「名前がないから混乱したんじゃ・・・たいした奴じゃない・・・・マロはまた・・・鍋島の化け猫でも出るかと思ったのじゃが・・・・それなら霊力があって一筋縄ではいかんが・・・・こやつはただの飼い猫じゃ・・・・そんな恐ろしい奴でもない・・・どういうわけか世の中を斜めに見るところがあるが・・・おそらく飼い主のせいであろう」
「俺は飼い猫じゃねえ」
その猫が突然怒り出しました。
「俺があいつを食わせてやったんだ・・・・俺のことを勝手に書きやがって・・・そもそも俺を飼いたがったのはあいつの家族だ・・・・俺は飼ってくれと頼んだ覚えはねぇよ」
最初はかっとなって怒鳴ったようでしたが・・・最後は穏やかになってまた目をつぶりじっとしてしまいました。
「こいつも、ここに来れない様に結界の外に出しておいてやろう」
「神様」がそう言うと・・・夏目漱石家の猫は・・・・
「どうせなら漱石のところに連れてってくれ。・・・・あいつをからかってやるのも面白い・・・どうせならこんなネズミをからかうより・・・あいつをからかってたほうが面白いからな・・」
いきがって言ってますが・・・どうやら夏目漱石のところに行きたがっているようです。
「そりゃ困ったなあ・・・マロたちは忙しいんじゃ・・・これからお釈迦様と桃太郎を見つけねばならんからな・・・夏目漱石まで探している余裕はないんじゃが・・・どうだ・・・ここのネズミたちに探してもらったら?」
そう言うと長老ネズミがあわてだしました。
「ブルブル・・・・そんなこととんでもない!・・・猫と旅するなんて真っ平お断りでございます。・・・・どうせこれからご案内するお釈迦様の近くに、森鴎外の屋敷があって・・・確か毎日夏目漱石が行ってるようです。・・・どうぞ一緒にお連れなすっておくんなさい」
こうしてネズミの案内を受け・・・「神様」たちはお釈迦様の居場所を探して旅を続けるのです。
そういえば、桃太郎を見つけたと行っていた「藤吉郎」たちはどうしているのでしょう?
実はこちらでも大騒ぎしていたのです。
という事で続く
HirokochanさんCalendar
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