「ところが?」
順風満帆だったと言われたところに、なんとなく雲行きが怪しくなるような発言。
「武士の商法といわれれば・・・お恥ずかしい話なんですが・・・・あるとき”自分は鬼の一族だが・・・・こうして自分たちでも商売できるということがわかった・・・ついては独立して商売を始めたいが・・・資金を貸してくれないか”という話しが出てきたんです。」
聞いているだけで詐欺事件の匂いがプンプンします。
「姿形を見ていると完全に鬼の格好・・・・それが目をキラキラ輝かせてきたものですから、私は自分で頑張ろうという鬼も出てきたんだなと・・・喜んで手形を貸してやったんですよ。」
「それで?」
「そしたらその手形・・・いつの間にか狸の手元に渡っていました。」
「狸?」
「そうなんですよ・・・・狸に完全に騙されていたんです。・・・・鬼の一族は人数が少ないし・・・・わざわざ鬼に化けてくる奴もいないだろうと・・・・甘く考えていたんですよ。」
「かなりの金額ですか?」
「ア・・・いや・・・・・この詐欺事件はうまく解決ができて・・・・被害額も少なかったんですが・・・・私は引責辞任をすることにしました。」
「それで社長を辞められたんですね?」
「皆さんから留められて・・・・・社長は続けていたんですが・・・役員も育ってきておりましたから、私は仕事をみんなに任せて・・・・田舎のほうへ、鬼ヶ島に一緒に行った犬だけを連れ・・・・移住いたしました。」
「会社を任せても大丈夫だったんですね?」
「猿は機転も利いて・・・・社長代理としては優秀でしたし・・・・雉のほうは”鬼ヶ島レジャーランド”の管理者をさせていましたから・・・・・私に忠実な犬だけを連れて田舎に引っ込んだんですが・・・隣に住む老人がおりましてな・・・・実はこの老人・・・・あの狸だったということは後からわかったんですが・・・・」
「ほう・・・・詐欺事件を起こしてそちらのほうに隠れ住んでいたんですか。」
「そうなんです・・・・私も隣づきあいはうまくやろうと挨拶に行ったのですが・・・まさかあの狸が化けていようとは思わなかったんです。」
「詐欺事件に失敗して・・・・ということは逆恨みというか・・・かなり意地悪されましたね?」
「ところがそうじゃない・・・・ばれないようにしていたのか・・・・最初はうまくやっていたんですよ。」
「ほう・・・・相手もいつばれるか心配で・・・・おとなしくしていたんですかね?」
「そうかもしれません・・・・まあしばらくは普通にしておりましたが・・・・あるとき一緒に連れてった犬・・・・ずっと金の加工場に勤めていたせいか・・・・・お宝の匂いをかぎつけましてね。・・・あるとき畑の真ん中を掘ってみろって言うんですよ・・・”ここ掘れワンワン”ってね」
「そこからは普通に”花さかじじぃ”のお話になるんだ」
「ご存知ですか?」
「もちろん・・・・・だけど・・・・ところどころ変わっていそうだな?」
「花さかじじぃ」の話しは誰でも知っているのですが・・・・どうやら桃太郎伝説と一緒で、少し内容が違うようです。
「ジョンが”ここ掘れワンワン”と騒ぐので、私はその畑の真ん中を掘ってみたんです。・・・・・」
「ジョンって・・・・誰ですか?」
「私と一緒に鬼ヶ島に行った犬ですよ。」
「エッ!・・・ジョンっていう名前なんですか?」
「ええ・・・これからは国際的に通用する名前にしなければと思い・・・私がつけたんですが何か?」
「だって・・・・花さか爺さんの童謡では・・・♪裏の畑でポチがなく~・・♪って」
「そりゃおかしい・・・ポチって言うのはそれこそ誰のことですか?・・・・うちではジョンと呼んでました」
「そういえば・・・・私が読んだ童話では”シロ”っていう名前だったなあ」
「まあ、犬の名前はなんだってよろしい・・・・でその畑を掘ったら・・・誰が埋めたものなのか・・・金銀珊瑚の宝物がどっさり・・・・でも私には必要なかった。」
「それをどうしたんですか?」
「拾得物としてお上に届けました。・・・・その話しを隣のおじいさんに話しましたら・・・そりゃ惜しいことをした・・・もしかしてその犬にお宝を見つける才能があるなら・・・うちの畑でもお宝が出てくるかもしれない・・貸してくれないか・・・とこういわれたんです。」
「この辺までは普通の花さか爺さんだなあ・・・・」
「ところがねえ・・・・彼の畑を掘っても何も出てこない・・・それはそれで彼もあきらめたらしいんだけど・・・・うちへジョンを返しに来るとき・・・・またうちの畑でジョンが”ここ掘れワンワン”と鳴いたらしいのです。」
「ほうあなたの畑でねえ・・・・」
「掘ってみたら・・・またお宝が出てきたんですが・・・・隣のおじいさん・・・・自分の畑から出てきたようにごまかそうと思ったらしいんですが・・・・それを隣村のあるおばあさんに見つかったらしいんですよ」
「え?花さか爺さんにそんなおばあさんが出てきましたっけ?」
「このおばあさんが・・・・実はウサギを可愛がってましてね・・・・」
「ウサギ?」
マタマタ話しがややこしくなりそうです。
ということで・・・・・つづく
HirokochanさんCalendar
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