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ど、どうしよう。攻撃が出来ないのなら、彼に対抗する手段はないということに・・・。
彼は座ったまま俯いて顔に手をやった。一見無防備に見えるが、こちらは攻撃ができないので余裕の行動とも取れる。
「くくく・・・。
どうした?臆したのか?」
ここで攻め込まれたら!思わず体が強張る。
古代ヴァンパイアは顔を上げ、口の端だけでニタリと笑った。暗い紫の髪で半分隠れた顔は青白く、生気というものが全くなかった。
これほどまでに美しく、おぞましいモンスターを見たことがない。恐怖のためなのか、それとも魅了されてしまったのか、彼から視線をはずす事が出来なかった。
「プッチニア、行こう!」
連理が叫ぶ。
早くここから離れなきゃ! しかし、膝ががくがくして身じろぎもままならない。こんなときに動けなくなるなんて・・・。彼から視線をはずせば呪縛から解き放たれるような気がしたが、眼の動きさえも自由にはならなかった。
彼はふいに長い腕をこちらにゆっくりと伸ばしてきた。
殺られる!思わず目を閉じた。
「持ってゆけ。」
「っ・・・え?・・・」
恐る恐る目を開けると、彼の大きな手のひらに何かを握っていた。小指から順番に指が開かれると、そこにはキラキラと輝く球体があった。古代ヴァンパイアの眼球!
「・・・!」
「何を迷っておる。これを手に入れるために、お前はここに来たのであろう?」
「どうして・・・。何故・・・!」
「まあ、自分にも分からないようなことをすることはあるものじゃ。」
先程まで無表情だった彼が照れたような、困ったような、複雑な顔をして言った。
「でも、目がないとあなただって困るでしょう。」
「ん?しかし、元々わしを殺して奪うつもりだったのであろう?」
「・・・。」
確かにそうだ。生きているものから奪うのも、殺して奪うのも罪は同じはず。
「気が変わらぬうちに、早く取れ。」
しゃがんで、彼から眼を受け取った。血に濡れた、藤色の水晶体。モンスターの瞳、グロテスクであるはずのそれは思いのほか綺麗だった。
「お前は甘い。そんなことではこの先が思いやられるわ。」
言葉とは裏腹に、何故か楽しそうに言った。
「気にすることはない。わしは不死だと言ったであろう。必要な臓器はちゃんと復活するようになっておる。」
「え?」
「体力が完全に無くなるとわしはこの身を霧に変える。そして復活するときに体の全ては元通りになるのじゃ。」
なるほど。そういう能力がなければ長く不死でいることは難しいだろう。
「この目を欲しがる人間は後を絶たない。それこそ徒党を組んで襲って来る輩もたくさんいる。大抵の冒険者は蹴散らしてくれるのだが、たまにはこのわしに勝つ者もいる。そのたびに目を盗られるのじゃ。そうでなければ、とっくの昔に盲いておるわ。」
皮肉なことだ。復活するたびに、また別の人間が彼の目を狙って倒しに来る。不死であるがゆえに、彼の苦しみは永遠に続くのだ。なんという不幸なのだろう。悠久の時を手にしながら、彼はその間ずっと血にまみれていなくてはならない。
「そんな顔をするでない。まったくお前は甘いの。」
また困ったような顔をして、それから口の端を持ち上げて笑顔を作った。何故だろう、最初はこの笑みがとても恐ろしく感じたのに、今は何故か温かく感じる。
「体だけは大きくなったようじゃが、お前の中身はまだあの時と同じ、赤子のままじゃな。」
「・・・え?」
彼に会うのは初めてのはず・・・。あの時って・・・?
「あの・・・。」
急に古代ヴァンパイアは立ち上がって、出口のある方向を指差した。
「早く去ねい。」
「で、でも・・・ちょっと・・・。」
「もう何も語ることはない。早く行かぬと、殺すぞ。」
そう言い残すと彼の体はさあっと白い霧になって消え、残っているのは私の手の中の眼球のみとなってしまった。
急いでそれを用意していた小さな壺に収め、その場を立ち去ることにした。彼の復活を待ったとしても、さっき質問しようとしたことには答えてはくれないだろう。
忘れよう。忘れなきゃいけない。何故かそういう気がした。
コジの元に戻る前に少し寄り道をした。
「物好きなやつだよな。」
さすがに疲れている比翼が、迷惑そうに呟いた。
「ごめん。すぐに出来るから、ちょっとだけ待ってて。」
ソゴム山脈のふもとに生えている薬草を摘み、乳鉢で細かく磨り潰して精油と混ぜ、褐色の瓶に入れた。昔、何度もママが作ってくれた薬だ。このツンとした臭い、懐かしいな。
ママ・・・。一番の難所を乗り切ったはずなのに、なんだか胸騒ぎがするの。どうしてなのかな?
ブリッジヘッドのコジのところへ行き、ブラウンベアーの血液が入った瓶と古代ヴァンパイアの目が入った壺、そして先程作った薬の褐色瓶を差し出した。
「ケホ・・・よくご無事で戻られました。」
「あの、これ、寝るときに胸に塗ってください。風邪のときすごく楽になるの。」
「・・・!・・・こんなものは頼んでいませんよ。」
気のせいか、彼の目に涙が浮かんでいるように見えた。彼は褐色瓶を懐に大事そうにしまった後、薬を調合する道具を並べ始めた。
古代ヴァンパイアの藤色の眼球は細かく刻まれ、丁寧に磨り潰された。沸騰させないぎりぎりの温度に温めたブラウンベアーの血液の中にそれを入れると、薄いピンク色のゼリー状の物質に変わった。
「さあ、この薬をこうやって目に塗ってしばらく待ってください。如何ですか?今は解らないかも知れませんが、能力が上がったと感じられますよ。」
「ありがとうございます。」
「ケホケホ・・・お見事です。あなたは慈悲深く、お強い方ですね。・・・これからのご武運をお祈りしておりますよ。」
⇒
つづき
やっとその四・・・(;´Д`)ハァハァ
古代ヴァンパイアはヴィジュアルが私好みだったので、プッチニアの出生の秘密を知る、ちょっとした重要登場人物にしちゃいました(・∀・)
コジに渡した薬は勿論、 ヴイックス ヴェポラッブ
~ v( ̄Д ̄)v イエーイ
ヴイックス ヴェポラッブとは・・・
・吸入作用:ヴイックス ヴェポラッブの有効成分が体温で温められて蒸気となり、鼻や口から吸入されて、呼吸をスースー楽にします。
・ 湿布作用:ヴイックス ヴェポラッブの有効成分が血行を良くし、体を温めて、鼻づまり、くしゃみなどのかぜに伴う諸症状を緩和します。
お子さまや高齢者にとって、薬をのみ下すのは、なかなか大変です。また、別の病気の治療のため、いくつかの薬を服用していることから、さらに風邪薬をのむのが不安という高齢者もいらっしゃるでしょう。ヴイックス ヴェポラッブは外用のかぜ治療薬なので、薬嫌いのお子さまから、薬をのむのが気になる高齢者まで、幅広くお使いいただけます。
大正製薬の回し者では○ございませんw。
ネタがないから小説第七弾~翼の行方編そ… August 21, 2009
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