にしわき眼科クリニック。

にしわき眼科クリニック。

2012.02.09
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カテゴリ: 手術全般
 さて先月名古屋で開催された「第35回日本眼科手術学会」参戦記の続きですが、ようやく本題に入ります。最初に参加したのは、

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 原発閉塞隅角緑内障(げんぱつへいそくぐうかくりょくないしょう)の治療戦略という教育セミナーでした。これは目の中の水の出口(隅角)が何らかの理由で閉塞し、眼圧(目の血圧)が上昇することによって視神経の損傷が起こる病気です。

 治療法はその病態によって色々なのですが、

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 治療法の一つにレーザー虹彩切開術(LI)というものがあります。この治療法は外来で施行可能であると言う大きなメリットがあるのですが、その反面、正確な機序・頻度は不明なものの、術後に角膜(黒目)の透明性を維持する細胞である角膜内皮細胞が減少してしまい、角膜移植をしなくてはならなくなることもあります。

 なので、我々眼科専門医にとってはこのレーザー虹彩切開術というのは「悩みの種」の治療法なのです。本来原発閉塞隅角緑内障の治療と言うのは白内障手術をすることが根本的な解決策なのですが、まだ白内障がほとんど進行していなくて手術には早いと判断される場合や、逆に全身状態が悪くてとりあえずその場をしのぎたいなど、色々な事情でどうしてもレーザー虹彩切開術を選択しなければならないこともあります。

 このセミナーでは、この治療法を少しでも副作用を減らして施行するコツが詳しく解説されました。

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 その最大のコツは「無理して目の隅っこにレーザーをしないこと」です。術後の見た目は隅っこの方が良いのですが、最周辺部にレーザーを打つのは視認性が悪くて総エネルギー量が上がりやすくなり、また大切な角膜内皮細胞に近いので目に障害を与えやすいからです。

 これは非常に大切なことで私も普段から意識を徹底していますが、今回しっかりと復習できて大変勉強になりました。(続く)






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最終更新日  2012.02.09 09:09:34


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