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Feb 2, 2011
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 何だかちょっと、情けなくなってしまった。

笹が、こんなに人を傷つける武器になってしまうなんて、知らなかった。

お寿司やお団子なんかを、包んでいたりする葉っぱだとは思っていたけど。

 そう言えば昔、おばあちゃんが、笹は食べ物を腐り難くするんだよって、言ってたことがあった。

お寿司やお団子を笹で包んでいたのは、そういう理由からだったんだ。

ぼくはあの時、ふ~んとただ聞いていたけど、今になって、やっと理解した。

おすしやお団子は、何故笹の葉に包まれていたのかっていうことを。

頭で分かることと、実際に分かることとの間には大きな隔たりがあるんだ。実際に分かることの方

がはるかに面白い。



ろう。覚えていない。

ほんとにやさしい、おばあちゃんだった。

 あの頃の、楽しかった日々。

リセットはできないけど、あんなに輝いていた日々を、ぼくは思い出として持っている。

いつだって、時間を越えて取り出して、ぼくの頭の中のスクリーンに映し出せる。ぼくは、それを

やっと、とても嬉しいことだと思えるようになったのだ。



 ぼくは、ここまで、学校の裏から何キロ歩いてきたのだろう。そして、今度は、学校からの下流

も見なければ、どれぐらいの距離を綺麗にすることになるのかは、分からない。

 一人でやることを想定して、どれぐらいで終えられるのだろう。今年の夏、蛍を飛ばすことは、

不可能に近いかもしれない。

 来年、ぼくは中学生になってしまうのだ。そんなことを考えていたら焦ってしまった。



でも、例え、忙しくなっても、最後までやり遂げたい。ぼくの気持ちは、しっかり固まった。

 これから、川を綺麗にしてからだって、やることはたくさんある。

蛍の幼虫を、どこで手に入れたらいいのだろう。売ってる専門店なんてあるのだろうか。

幼虫の餌はどうすればいいのだろう。カワニナも売っているのだろうか。

 調べなければいけないことも、たくさんあるのだ。



ぼくだけじゃなく、みんなに、光る糸を引くように飛ぶ、蛍の愛おしい姿を見てほしいのだ。

夜の深い美しさの中で。 

 ふと、野島さんがいてくれたら、真っ先に応援してくれたかもしれないと思った。そう思った時、

ぼくは何だか、胸がじーんとした。

懐かしかった。

会いたいと思った。

ぼくは、野島さんが心の中にいたことにびっくりした!

ぼくは、

野島さんのことが、

好きになっていたのだろうか。

 ああ、あの時、野島さんは、ぼくを庇っていじめにあったのだ!

ぼくは、庇ってほしいなんて思っていなかったから、戸惑ってしまっていた。

ぼくは、野島さんがどんなに苦しかったかなんて一度も考えたことがなかった。

野島さんは、引っ越してしまったけど今、どうしているのだろう。

 心の奥から、野島さんに謝りたいと、はじめて思った。

鼻の奥がつーんと痛くなって、涙が溢れてきた。

止めようとしても、止まらなかった。

誰にも、見られたくなかった!

 ぼくは、土手まで戻ってから、そこから低い草はらの方におりた。

 涙の中で、考えた。 

気づかないうちに、人を好きになっていることを。

野島さんは、もう転校してしまった。

ぼくは、どこに行ったのかさえ知らない。

ぼくは、謝りたい。気がつくのが遅すぎたけど。

 はきはきと物を言い、しっかりしていて、よく笑っていた。

そんな野島さんは、いじめに遭い、ひっそりと越していってしまった。

会うことは、もうできないのだろうか。無理なのだろうか。

もう、過去の思い出になってしまったのかも、しれない。

 その時、思い出を引き裂くような怒声が、ぼくの耳に飛び込んできた。 

さっきまで、誰もいなかった道路の方から、泣き喚く声がした。

「母さんなんか、くそばばァだ!死んじまえ!バカやろう!」

 自転車が一台、スピードをあげて通り過ぎていった。

聞き覚えのある声だった。

ぼくは、急いで道路に引き返した。

北くんの、怒りで膨らんだ背中が、ひらひらと風に揺れ、林の一本道に消えていった。

「バカやろう!バカやろう!」

 何があったのだろう。ぼくは、呆然と立ちすくんでいた。

 野島さんを、執拗にいじめた、北くんの驚くような姿だった。

                                  つづく














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Last updated  Feb 2, 2011 04:38:58 PM
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