型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2019.09.11
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カテゴリ: 芸術
表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、
精神的・感覚的な変動を得ようとする活動。
インターネットで「芸術」を調べるとこんな説明が載っています。
「芸術」は言葉にはできなくても多くの人と共感できているもの、
そう思っていたのですが、人によってかなり異なるという結論です。
自分なりにより易しい言葉で説明すると次のようになります。
「芸術」とは、
高度に鍛錬したものと高度に鍛錬したものが精神性と共に合わさった時、
それが1+1=2ではなく1+1=100くらいの、
通常では考えられない想定以上の別のものに到達する現象、
それは奇跡やイリュージョンのようなことで、
そこに立ち会った聴衆や観衆に必ず驚きを与える。
ちょっとした瞬間から、
そのものの細部全てが芸術性に満ちたものまでさまざまある。
​例えば、音階をゆっくり奏すれば楽器のウォーミングアップを思い起こさせますが、
とても速く奏すればそれはグリッサンドという効果を持つ素材になります。
前半のテンポは♩=48、それを後半は♩=1000にしています。
今では当たり前のことですが、グリッサンドが現れた時は驚かれたに違いありません。




初演であまりに驚かれてブーイングされたエピソードのある曲は多いですが、
今では普通に聴かれていても名曲が登場する時には常に驚きがあったと思います。
これから後のことは文献に書いてあることではなく長年音楽に関わり感じたことです。

いつの時代も人気の高いチャイコフスキーはごく普通に聴かれていますが、
あの弦楽セレナードも驚きのチャイコフスキー和声が感じられるのです。
まず、この曲はハ長調でありながらⅥの短三和音から始まりますが、
これも意表を突いたチャイコフスキーの特徴とは言えます。
しかし、チャイコフスキーの抒情性やロマンを表したのはその次の和音です。
最初のⅥから3番目のⅣの和音の極々シンプルな古典的な進行の間に、
それをソプラノとバスが経過音で繋いだ偶成和音は長7和音です。
通常であればsi音に♭が付きへ長調の属7和音になるはずが、
2番目の和音でsiとdoが長7度でぶつかる、
当時として聴かれることが稀な長7和音が美しいと感じられた瞬間です。



ドビュッシーやラヴェルもそれまでの和声法の真反対を行った意味で極めて斬新、
不協和音程による付加音、解決しない第7音、第9音、また連続5度、8度の連続使用など、
それまでの音楽史の流れとは一線を画していました。
その後1900年に入り、ストラヴィンスキー、バルトーク、プロコフィエフなどが、
その斬新さゆえ驚きやブーイングがあったわけで、
それはジョリヴェなど1960年くらいまでは続いたと思われます。
しかし、同時に12音技法を発展させた作風の作曲家がいたわけですが、
その作品は驚きやブーイングを超えてしまった、
つまりそれまでの聴衆が聴いて着いていけるものではなくなったと言えます。

数学的、構造的な音楽、またコンセプト(イデー)と楽譜(ノーテーション)の一致が、
極めて論理的ではありますが、1+1=2にしてしまいそれまでの音楽史の流れと隔絶してしまう、
それだけの音楽になることは避けなければならないと思うのです。





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最終更新日  2019.09.11 01:18:15
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