型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2021.11.13
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テーマ: 芸術(12)
カテゴリ: 今だから
日本人が美徳だと思っているのは相手の立場を推しはかり、
争う前に忖度して丸く収めることだと言うことなのかもしれません。
しかし、推しはかっている要素は肩書きなど外面的なことであって、
後で中身を知るとがっかりすることも多いのではないでしょうか。

新たな芸術が生まれる時は優劣が紙一重で決まることがよくあります。
人やモノそのものが優れていても周りにいる人が気づかなければ埋もれることもあり、
誰が逸材を発掘するのか、真価を認めることができるのかどうかが疑わしく、
あまりにも優れているものは孤高の域に達し、周りが気づかないこともあります。


最近はあまり見なくなりましたが、​ 「なんぼや」のテレビCMについて
前にも書いたかもしれませんが、25年前にパリに住んでいた時、
初対面の人が優しい口調で話しかけてくることがありませんでした。
意志が明確で毅然とした態度で話すイメージです。

日本語がわかったり、勉強しているという人ですら、
日本語で話しかけられたことはありませんでした。
商売目的で観光地でカタコトを言う人はいましたが。
空港でJALが飛び立つ時にアナウンスされるフランス人の日本語も拙いものでした。

そんな中で、パリ髙島屋で見るようにフランス人が流暢な日本語で話しかけたり、
街中でいきなり優しく、可愛い口調で話されることにいちいち感動しました。
その後は日本アニメや文化が広まり、それまで見られなかった「可愛い」表情が、
それまでの「美しい」ことを美徳とする文化を少し変えたかもしれません。


フランス語っぽい発音ではなく日本語の実に雄弁な表情を見せています。
もちろん日本語がペラペラなのだと思いますが、普通はなかなかこうはいかず、
ここではフランス語っぽさがまるでないところに面白さと感動があると思います。

今は流暢に日本語を話す外国人は当たり前のようにたくさんいますが、
それはテレビなどで慣らされているだけであって現実ではそうではありません。

CMの狙いや会社の印象を伝えることが見事に成功していると思うのです。
(30秒ヴァージョンもとてもよくできているCMだと思います。


フィギュアスケートのシーズンになりました。
曲目について毎年注目しています。中でもクラシックのアレンジやカットは、
今の時代を反映していて、クラシックの見られ方や使われ方がわかります。
それは新たな時代を開くものかもしれませんが、音楽の冒涜かもしれません。

ロシアの選手は概してクラシック、それも母国の曲を原曲に近い状態で使いますが、
そのほかでは知名度として主旋律のみを使い、中身は全く変える傾向があります。
河辺愛菜さんのヴィヴァルディ「四季」より「冬」第1楽章はどちらでもなく、
原曲に若干の変質を与え、編曲と言うより改造して、大胆な構成が光りました。


最初の1分間は風を表す効果音しかなく、その間にジャンプを3本、スピンを1回、
「冬」が始まるタイミングで振りを合わせますが、難しいのではないか気になります。
テンポもかなり早めで途中から本来の4/4拍子から16分の7+7拍子に変えて、
疾走感が高まり最後の20秒は原曲にはない美しい終わりを演出しています。

実に気を衒った構成ですが、原曲と似ていることから編曲と言うよりデフォルメです。
バロックやクラシックの古典的な良さから逸脱し、時代様式から外れています。
伏線として冒頭の1分間があることはわかりますが、間違い探しのようにも感じます。
最初はそのような違和感がありましたが、何度も聴き直すと徐々に耳が慣れてきます。

1度聴いた印象ではやりたい放題にしか聴こえず呆れたのですが、
新たな表現法として見た時にたいへんよく考えられているように感じました。
ヴィヴァルディファンや弦楽器奏者からすれば冒涜を受けたと思うかもしれません。
それでも現代音楽でも受け入れらにくいこの表現は、現代に合っている気がしました。


「ミキプルーン」のCMは平原綾香作曲の「キミへ」が使われているそうです。
「忘れないで 忘れないで いつもきみの味方だ」と言う詞は彼女らしいです。
ただ、気になるのはこの節です。曲の一部だとしてもなぜこの部分なのか疑問です。
声楽的ではなく器楽的な節で、彼女の声の特徴を捉えていないと感じます。

多くの人がこれくらいだったら自分でも作れるよと感じたでしょう。
一流の料理人が誰でも作れるものをメニューで出さないのと同様で、
売れれば何でも歌うのでなく、名手であればあるほど曲は厳選するはずです。
孤高は他の人の理解を超えていますが、助言は聴いた方がいいと思います。


音楽大学で学ぶことは音楽の優劣を学ぶことです。
学んだことは一部の人だけが活かせることではなく皆が活かせることです。
しかし、学んだ美学を活かせずに心にもない音楽しかできないのでは困ります。
新たな美学や表現は変わるべきことですが、正しい方向性は絶えず必要です。





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最終更新日  2021.11.13 19:59:00
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