型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2022.09.18
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カテゴリ: 作曲家
小学生の頃、どうしてもオーケストラコンサートを聴きたくて、
ひとりで30分電車に乗ってコンサートに行った大冒険の記憶があります。
地方に住んでいたので、何を聴きたいなどという希望は許されず、
有名外来オーケストラが来たらとにかくそれに行くというわけです。

それがクルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団でした。
メインプログラムはR.コルサコフのシェエラザードでした。
それまで聴いたこともなかった曲目でしたがじゅうぶん衝撃を受けました。
映画音楽のように映像を感じた印象を今でもよく憶えています。

中でも印象的だったのはヴァイオリンのソロでその音色は新鮮でした。

また、当時はまだ東ドイツのオーケストラだったこともあり、
何か華やかだけではない異文化の音を子供ながらに興味深く感じました。


日本人の多くは米英的な明るいサウンドが好きなイメージの根底にあり、
深い響きを特徴とする旧共産圏の渋い音色を想定していません。
吹奏楽や金管バンドの多くの人が求めるサウンドがまさに明るい音で、
フランス近代にあるような複雑な色の変化や一時的な不協和は、
識者の意見に同調することはあっても感覚的に好んでいないと感じます。

ラヴェルで言えば、「ボレロ」「ダフニスとクロエ」は受け入れても、
「古風なメヌエット」のような不協和音程は好まれない傾向です。
クラシック音楽は識者の意見や課題曲であれば一時的に受け入れられても、
元来の芸術性に造詣を深める人は残念ながらまだ少ないと思われます。


一般的に音楽的な深さを説く感想は殆ど聞かれないと言っていいと思います。
最近は音楽評論家であっても旧態依然の文献を集めたかのような評論か、
アマチュアや若者向けの当たり前のことが大袈裟に書かれているかです。


元来楽曲分析は一言一句に拘る研究論文としての重みがありました。
そこで既知の大作曲家の名曲の秘密を解き明かすべく加熱しました。

嘗ては天才の異名を持つ作曲家は全ての言動が気高いとみなされました。

名曲解説全集では、モーツァルトが単に冗談で書いた音楽にも、
当時はまだなかった近代の作曲技法によって説明されていたり、
ハイドンの交響曲第94番「驚愕」の第2楽章での突然の驚愕音は、
近年は居眠りをする聴衆を驚かすためと言われていますが、
同書では当時の写譜屋さんの問題であるかのような解説が見られました。

天才芸術家に見られるエキセントリックな一面を作曲家も持つことも多く、
奇行や恋愛遍歴、死因に至るまで人としてさまざまな点において特別な存在です。
聴衆や演奏家は、作曲家の音楽のみを理論づけるのではなく、
ロマン派の作曲家に見られるような人生と音の密接な関連、
なぜその曲をそのような音で作ったのかということに興味があります。

しかし、音楽の理論の部分だけで近代から現代への橋渡しがなされ、
周辺の人たちは理論は理解できても音には好みとして着いていけなくなりました。
教育機関などのアカデミー、音楽に助成する団体によって研究は続けられますが、
音楽である以上、真に支持され音楽を好む聴衆や演奏家を獲得できるかが問われ、
何を目的としていて影響が何をもたらすのか見えなくなっているかもしれません。

結果、演奏や聴くことに楽曲分析が何かをもたらす気配はどんどん薄れてしまい、
楽譜から何を読み取るかすらも自由だという世相に変わりつつあります。
高尚であった筈のクラシック音楽は、今やその作曲意図とは関係なく、
原曲から変えられた形でさまざまなシーンのBGMに使われています。

これらは長年、音大生が選曲するコンサートプログラムとその楽曲解説、
また大学院生の研究論文における楽曲分析への関心度から感じることです。
現代音楽や楽曲分析への関心は知的好奇心から起きることが主で、
他の多くの音楽への関心や共感とは程遠いものとなってしまいました。





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最終更新日  2022.09.18 22:49:41
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