型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2022.09.24
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カテゴリ: 芸術
学生の頃、作曲をするための理論、また現代音楽について勉強、
そして、それらを振り返って30-40年経った今の状況を考えた時、
確かなものを学んだ自負、大きく変わった時代の価値観、
さらに同じルーツのことを学んだはずが人によって全然異なる表現、
それらは混沌としていますが考えを整理してみようと思います。

そう思った手がかりは、学生時代に作風の勉強のために購入した、
市販されている日本人作曲家の「こどものためのピアノ曲集」で、
今、家の整理をするためにフリーマーケットで売っていますが、
すぐに売れてしまうものと全く売れないものに分かれることです。


元大学教授やアカデミックな知見を重視する作曲家の曲集、
また、さまざまな作曲家が入っている曲集が売れません。
大学教員の場合、多くの学生に認知されているはずですが、
ピアノレスナーになった卒業生にも支持されていないようです。

こどものための曲集ですから、曲が親しみにくいと言うわけではなく、
現代音楽を専門とする作曲家でもほぼ調性的な作品です。
逆に即日売れた曲集は何冊もあり、圧倒的な支持者が買うようです。
偉い作曲家を尊敬するよりも、作品の愛着や魅力が勝ると感じられます。

また、響きに対して幅広く論理的に解釈した場合でも、
元大学教授の作品にはこどもが弾けば音を外したと思われるような、
誤解を招く音のぶつかりが見られ、避けられるだろう要因があります。


ただ30年以上前に出版された楽譜は即日売れた作曲家の曲集でも、
明らかに論理的におかしな動きや稚拙な表現が見られるものもあり、
曲のクオリティに関して選ぶ側の見識も問われます。
結局、作曲家の知名度、支持者の数が人気に関わっているようです。


日本音楽コンクール・作曲部門の演奏審査がなくなって久しいですが、

審査員が楽譜を読むことにどれだけ長けていたとしても、
自分の見聞きしたことのない譜例がある場合に把握できるでしょうか。

その意味から、普通はどんな音がするのか一度音を聴いてみたいと考えます。
実際に演奏にかかると演奏不可能の箇所があったり、困難であったりと、
譜面を見ただけでそれをわかるには相当入念に時間をかける必要があります。
裏を返せば演奏によって印象が変われば、評価への影響もありえます。

現代の作曲はこのように楽譜が全ての世界だと言えますが、
料理で言えば味わうことなしにレシピで順位を決めるようなものです。
どんなに精緻で考えつくされたレシピでも食せずに美味しいと言えるのか?
美味しいかどうかは関しないのが今の現代音楽だと言えます。

そう考えると、楽譜を見て聴いていない一般聴衆は曲の良さがわかるのか?
そんな繰り返しを何十年も続けている気がしているのですが、
楽譜や奏法の進化はあっても、聴いた印象はデジャヴや退化を感じます。
書いている作曲者もそれをあまり意識していない気がします。

狭い中のアカデミーで相互理解を図っている感じが拭えず、
より広い尺度がなければ他者の理解は得られないのではないかと思われます。
それを解消する手立てが調性の復権、引用などですが、
ただ昔のものをリサイクルするだけであれば未来はないと思います。





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最終更新日  2022.09.24 21:29:32
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