「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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「のり2・クラシカ」鑑賞日記
2007年11月 コンサート一覧
立教大学交響楽団第98回定期
1・シューマン
「マンフレッド」序曲
2・ドリーヴ
バレエ音楽「コッペリア」より
1・前奏曲 2・マズルカ 3・スワニルダのワルツ
4・自動人形のワルツ 5・麦の穂のバラード 6・チャルダッシュ
****** intermission ********
3・エルガー
交響曲第1番
アンコール曲
エルガー:「エニグマ」からニムロット
2007.11.2.19:00 東京芸術劇場大ホール 1-I-18
芸術劇場大ホールに沢山の聴衆を迎えての立教大学交響楽団演奏会。
立教大学はここ池袋が地元、2000人を超える収容のホールがほぼ埋め尽くされた感。
他の大学オケ同様、曲目ごとに団員の入れ替えまたはポジション変更が行われました。
シューマン「マンフレッド」は少し抑揚に欠けた演奏、「コッペリア」は非常にリズム感もよく、溌剌とした楽しい演奏でした。
さて休憩後の本日のお目当て、演奏時間が50分を超える大曲、エルガー:交響曲第1番ですが素晴らしい演奏で感動しました。
田中さんの指揮はゆったりとしたテンポで(60分近い演奏時間)、ややもするとオケが破綻しかけそうな速度ですが立教オケは弦楽群の献身的とも言える情熱溢れる演奏と管楽器も大きなミスもなく、まさにエルガー・サウンドを奏して学生オケの演奏としては大健闘です。アンコールの「ニムロット」も次第に盛り上がって感動でした。
毎年、立教大学オケによる「メサイア」の演奏会が12月に行われるのですが
実はいままで気にも止めなかったのですが、これだけの演奏をするオケですから期待できるのでは。。。
12月12日にここ池袋、芸術劇場で18:15開演です。
早速スケジュールに入れました。
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クリスティアン・ティーレマン指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
1・R.シュトラウス
交響詩『ドン・ファン』 op.20
2・R.シュトラウス
交響詩『死と変容』 op.24
****** intermission *******
3・ブラームス
交響曲第1番 ハ短調 op.68
アンコール曲
ワーグナー:「ニュルンベルクの名歌手」第1幕前奏曲
2007.11.3.16:00 サントリーホール 2-RA4-15
1893年創立の古い歴史をもつミュンヘン・フィル、かってはワインガルトナー、ケンペ、そしてチュリビダッケと錚々たる指揮者に鍛え上げられ常にベルリン・フィルの対抗馬として耳目を集めてきたオーケストラ。
過去にはマーラーやワルターも指揮台に上がっています。
「ドン・ファン」ティーレマンの指揮棒が下ろされ最初のオケの音が鳴った瞬間、今日の演奏会の成功の予感が感じられました。
ミュンヘン・フィル、対向配置の16型編成、音は非常に繊細で弦はもちろんですが管楽器も優秀、特に金管がまろやかな響きを聴かせました。オケの強奏トゥッティでも濁りのない見事な音色と迫力でまさにこのオケの底力を目の当たりにしました。
ティーレマンはどの曲もゆっくりとしたテンポ設定でオケへの強弱の対比を際立たせて繊細な響きを引き出してスケールの豊かな音楽を構築。
最初の「ドン・ファン」終了後にまさしく嵐のような拍手が起こりました。
「死と変容」の深くて暗い、しかし溢れるばかりのロマン性、休憩後に演奏されたブラームス1番は1楽章では反復も行われてティーレマンのゆったりテンポも相俟って何故かブルックナーのシンフォニーを聴いたかのような錯覚、とても丁寧な演奏ながらどっしりとしたスケールをも感じさせてBRAVO !です。
熱狂的な拍手と歓声のあとにアンコールで演奏されたワーグナーも一級品。
ティーレマンはオケ解散のあとも一人ステージに呼び戻されるほどの聴衆の熱狂ぶり。
★★★★★
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クリストフ・エッシェンバッハ指揮
パリ管弦楽団
1・ベルリオーズ
序曲「ローマの謝肉祭」
2・ストラヴィンスキー
バレエ音楽 組曲「火の鳥」(1919年版)
****** intermission ******
3・ラヴェル
バレエ音楽「マ・メール・ロワ」
4・ラヴェル
バレエ音楽「ラ・ヴァルス」
5・ラヴェル
「ボレロ」
2007.11.5.19:00 NHKホール 3-C5-54
パリ管弦楽団を迎えての今年のNHK音楽祭オープニング・コンサート。
ホールはぎっしりの聴衆です。(少なくとも3階席を見渡す限りは)
音楽監督の任にあるエッシェンバッハ指揮によるパリ管、お国物フランスのプログラムが殆どで、唯一ロシアのストラヴィンスキー「火の鳥」が入っていますが、これとてストラヴィンスキー自身の指揮で演奏していますから(前身のパリ音楽院管弦楽団)得意のプログラムと言っていいでしょう。
ホールの音質を差し引いてもパリ管の特徴を余すところ無く披露してくれた演奏会。
「マ・メール・ロア」を除き16型フル編成、「ローマの謝肉祭」では二人のタンバリンが下手奥に並んで演奏、視覚的にも面白く、しかも見事に揃ったリズムを奏して競演してくれたのはご愛嬌。
(昔、P・ヴェロ&東フィルでの時は舞台上手と下手にそれぞれ別れて叩いていたのをふと思い出しました。)
「火の鳥」での鮮やかな音のコントラスト、フィナーレでの破壊力。
小編成による「マ・メール・ロア」の描写力、
そして圧巻は後半の2曲、
「ラ・ヴァルス」が特にリズム感、オケの明るい音色がマッチ、エッシェンバッハの妙なテンポのひねりもあり非常に興味深く聴けました。
最後の「ボレロ」のだんだんとクレッシェンド(エキサイト)していくさまは
パリ管(パリ音楽院管)の伝統でしょうか、フィナーレはまさに音の洪水が巨大なNHKホールに鳴り響きました。1階席はさらに凄い音だった事でしょう。
管ばかりではなく弦楽器群もなかなかと感じました。
盛大なBRAVO !と拍手が続きました。
アンコールはありませんでしたが個人的にはもう、おなか一杯でした。
★★★★★
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チョン・ミョンフン指揮
東京フィルハーモニー交響楽団第743回定期
1・R・シュトラウス
交響詩「ドン・ファン」
2・ブルッフ
ヴァイオリン協奏曲
ハン・ソージン(ヴァイオリン)
アンコール曲
イザイ:無伴奏ヴァイオリン第4番から
******** intermission **********
3・フォーレ
「レクイエム」死者のためのミサ曲
佐々木典子(ソプラノ)
三原 剛(バリトン)
東京オペラシンガーズ(合唱)
2007.11.9.19:00 サントリーホール 2-C8-29
当初のプログラムにはブラームス:ドイツ・レクイエムが予定されていたのが何時の間にかフォーレに変更されての今夜の演奏会。
結果的にはフォーレ「レクイエム」の思いがけずの静かな感動をもたらせてくれた演奏に大いに満足いたしました。
この曲については思い入れも多く古くはクリュイタンスのモノーラル盤続いてのパリ音楽院とのディスクが長らくの愛聴盤でした。コルボ、バレンボイム、フレモーそして小澤と続々と愛聴盤もふえましたが、なかなか生演奏では歌手や合唱或いはオケ側の問題など満足した演奏に出会えなかったのですが本日のミョンフン指揮の演奏会、素晴らしい演奏でした。第一には東京オペラ・シンガーズの混声合唱を挙げたいと思います。サントリー独特の円形の山台に女性、男性と前後交互に並んだ配置が非常に清澄な響きを醸し出して且つ均整のとれたハーモニーです。
そしてバリトンの三原剛の特に2曲目「奉献唱」でのフォーレの作品に相応しい気品溢れる歌唱、そして6曲目「われを許したまえ」での神の怒りの許しを請う場面での清冽な歌唱、そして合唱もレンジの広い歌唱をみせて特に素晴らしい箇所でした。
ソプラノの佐々木典子さん、悪くはなかったですが小澤盤のバーバラ・ボニーが一番個人的には好みです。生演奏では森麻季さんの少し儚げな歌い方で聴いてみたいですね。
ミョンフンさんの指揮は全編、ゆったりとしたテンポで東フィルの弦楽器は4部で中央のチェロを挟みヴァイオリンとヴィオラが向かい合う形、サントリーのパイプ・オルガンが絶妙な響きでした。管楽器もまるで声楽に寄り添うようにやさしい音色を奏でていました。
聴衆も前半での喧しい喧騒とは打って変わってミョンフンさんの指揮棒がおりて暫しの静寂の後に拍手が始まりました。開口一番のBRAVO !のぶちこわしがないのも、より感動を深めてくれました。
前半の「ドン・ファン」そして韓国出身の女性ヴァイオリニスト、今年21歳のソージンさんのブルッフ、悪い演奏ではないですが日本にはこの位のレベルの演奏をする人は沢山いますので敢えてコメントはしません。
フォーレ「レクイエム」だけで★★★★★
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ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団第550回定期
1・ハイドン
交響曲第9番ハ長調
2・メンデルスゾーン
ヴァイオリン協奏曲ホ短調
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
アンコール曲
J・S・バッハ:無伴奏ソナタ第3番-3
******** intermission *********
3・シューベルト
交響曲第8番ハ長調「ザ・グレイト」
2007.11.10.18:00 サントリーホール 1-18-28
毎回コンサートにとりあげるハイドン、3楽章形式の交響曲第9番はメヌエットで曲が軽快に締めくくられた。
女流ヴァイオリニスト、イザベル・ファウストによるメンデルスゾーン、彼女のヴァイオリンは自発性に富むあまりにオケとの呼吸が合わないシーンもありましたがそれでも素晴らしい技巧と音楽表現には目を瞠らせる個性があります。
第2楽章での艶やかさと素朴さのコントラストは大いに楽しめました。
メン・コン、耳タコになるほど数多くの演奏を聴いてきましたがファウストさんの演奏は記憶に残る演奏になるでしょう。今夜の衣装も鮮やか、そしてステージ上でのマナーも堂々としたもの。次回はヴァイオリン・ソナタを聴いてみたいですね。
休憩後のシューベルト「ザ・グレイト」、スダーン/東響の来シーズンのテーマはハイドンに代わりシューベルトの作品が毎回プログラムに登場しますが今夜のメイン・プロはその前哨戦というわりには、いきなり最後の交響曲遺作を持ってきました。
編成は16型の2管編成(ホルン、トロンボーンは3本)、スダーンさん気合の指揮です、ときおり息を吐く或いは吸う音が聞こえてきます。
冒頭の柔らかなホルンの音色から全編をとおしてオケは非常にマイルド・トーンの響きを保ち、ときおりスダーン節を織り込みながら変化に富む演奏で充分に楽しめました。時間が短く感じられるほどの熱演でした。
ホール聴衆の声援も熱狂的とも言えるほどでアンコールに「ロザムンデ」間奏曲でもやるかなと思いましたがアンコールは残念ながらありませんでした。もう少し聴きたい感じでもあったのですが。。。
コンマスは高木和弘、ホルンはハミル、ラッパ=マルティ、クラ=ヌヴーの各首席。
BRAVO !の★★★★★
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ワレリー・ゲルギエフ指揮
東京交響楽団
1・モーツァルト
交響曲第41番「ジュピター」
****** intermission *******
2・ベルリオーズ
幻想交響曲
2007.11.12.19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール 2-C1-47
今や世界を股にかける恐らく世界で一番多忙なそしてエネルギッシュな指揮者であるワレリー・ゲルギエフが何と23年ぶりに東京交響楽団を指揮した特別演奏会。
前回は初来日で東響が彼にとって日本では初めて指揮をしたオーケストラであり、彼もまだメジャーになる前ですから殆ど知名度ゼロだった事でしょう。それにしてもゲルギエフさん、義理堅い人ですね。
殆ど満員の聴衆を迎えての東響特別演奏会。
12型2管編成(フルートのみ1本)での「ジュピター」、ゲルギエフさんは指揮台を使わないで指揮、じつに肌理の細かい演奏表現で意外な感じ、しかし楽章が進むごとに力強くなり終楽章は大編成さながらの雄渾なフィナーレ、東響もここまでは大健闘で後半の「幻想」への期待をつなぐ。
さて後半の「幻想交響曲」1楽章「ワルプルギス」はまだ大人しいけど2楽章の「野の風景」あたりからゲルギエフの本領発揮で強弱の対比のダイナミックさと3楽章以降の弦1プルの楽員達の直ぐ前まで体を乗り出して指示するなど相変わらずのエネルギッシュな指揮姿で東響の楽員たちも些かビックリしたのでは。。。
アクセル吹かしたかと思うと急にブレーキをかけたりとやりたい放題ですが
これが実にこの曲の演奏表現にピッタリで最後まで食い入るように演奏を聴いておりました。
全体にテンポは速め、終楽章の舞台裏から聞こえてくる鐘の音色も程よい感じで良し。
東響、ゲルギエフともに大してリハーサルの時間を取れなかった筈ですが大谷コンミス以下弦楽群は熱演、ラッパ(マルティ、佐藤両首席)、ホルン(ハミル)、クラ(十亀)、フルート(甲藤)その他管楽器隊も大健闘で嵐のようなフィナーレの後は熱狂的な大声援とBRAVO !の掛け声がミューザ川崎のホールに”こだま”しました。
残念ながらアンコールは無し。
東響楽員の表情もみなさん大満足の表情で是非ともこのコンビの再演をいつの日か聴きたいものです。
後半は16型4管の大編成でラッパのみ5本。
大満足の★★★★★
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尾高忠明指揮
札幌交響楽団
1・ドビュッシー
牧神の午後への前奏曲
2・武満 徹
ファンタズマ/カントス
ポール・メイエ(クラリネット)
3・ドビュッシー
クラリネットと管弦楽のためのラプソディ
ポール・メイエ(クラリネット)
******* intermission ********
4・武満 徹
遠い呼び声の彼方へ!
堀米ゆず子(ヴァイオリン)
5・ドビュッシー
交響詩「海」
~オーケストラのための3つの交響的素描
2007.11.13.19:00 東京芸術劇場大ホール 3-A-29
毎年恒例の札響東京公演、今回のコンマスは三上 亮さん
最大16型4管編成で曲目により14型3管などと編成を変えて演奏されました。
ホールは1、2階を見下ろす限りほぼ満員の盛況、毎年札響の来演を楽しみにしているファンが多いのですね、管理人もその一人ですが。。。
最初の「牧神」の演奏から実に精緻で粒立ちの良い響きで雰囲気に充分の演奏で始まりましたが次のクラのメイエさんが登場した武満「ファンタズマ」はただただ前衛的な音を聞き流すだけに終わりました。
続けてのドビュッシーはメイエさんの名技と札響のすずやかな響きが上手く調和され実に幻想的で素晴らしい。
休憩後は堀米ゆず子をヴァイオリン・ソロに迎えての武満「遠い呼び声」
作曲者によれば”父なる海との合流を目前にした河のイメージ”が大きなインスピレーションになったとのこと。堀米さんの強靭ともいえるヴァイオリンがやはり一際光っています。札響もオケ全体が同一性を保った響きで見事に支えた名演、以前に長原幸太くんのソロ、大植&大フィルの公演でも同曲を聴きましたがオケは札響の方が一枚上、幸太くんのヴァイオリンは堀米さんとは一味違った呼び声というより叫びに近い感じだったでしょうか、どちらも名演奏ですけど。
お終いはドビュッシー「海」、さわやかな透明感のある響きと瞬間のパワーは札響独特のもので、それが見事に発揮されて描写力豊かな演奏でした。
札幌交響楽団、昨年に比べて一段とアンサンブルに磨きがかかってきました。現在の尾高&札響のコンビは最強のようです。
★★★★★
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ファビオ・ルイージ指揮
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
1・ウェーバー
歌劇「魔弾の射手」序曲
2・ワーグナー
歌劇「さまよえるオランダ人」から
“外国人のお客を迎えてくれ”
バス(ダーラント)クルト・リドル
3・ウェーバー
歌劇「オイリアンテ」序曲
4・R.シュトラウス
歌劇「ダナエの愛」から
“第3幕への前奏曲”
“第3幕フィナーレ”(ジュピターのモノローグ
バリトン(ジュピター)ハンス=ヨアヒム・ケテルセン
****** intermission *******
5・ワーグナー
楽劇「ワルキューレ」第1幕(全曲)
ソプラノ(ジークリンデ)エヴリン・ヘルリツィウス
テノール(ジークムント)ヴォルフガング・シュミット
バス(フンディング)クルト・リドル
2007.11.14.19:00 NHKホール 3-C6-56
所用で出かけた帰り小田急線の事故遅延で1曲目の「魔弾の射手」は間に合わず2曲目の「オランダ人」からの鑑賞となりました。
お馴染みのクルト・リドルの独唱、この人の歌は安定性抜群です。
休憩前に演奏された「ダナエの愛」は滅多に演奏されない演目ですが流石、ドレスデンのオケはまさに”これがシュトラウス・サウンド”の音色を奏で、ケテルセンのバリトンも高い精神性で歌い上げた。
圧巻は休憩後に演奏された「ワルキューレ」第1幕。
ニーベルングの指環の第2作目に当たり勇壮なシーンではなく、どちらかと言うと室内楽的な音楽の調べの中で神族ヴォータンと人間の間に生まれた双子の兄妹ジークムント&ジークリンデが出会い、そして二人は愛し合う場面ですが
コンサート形式と言え、シュミット&ヘルリツィウスの歌唱は舞台を彷彿とさせる熱演、フンディング役のリドルも相変わらずの巧者ぶりで存在感。
ドレスデンの総音楽監督であるルイージ指揮ドレスデン歌劇場オケ(16型4管+ワグチュー、ラッパなど増強)も第1幕の音楽はあまり起伏がありませんが
丁寧な音楽を紡いで伝統のなせる技を見事に見せつけました。
★★★★★
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北とぴあ国際音楽祭2007
モンテヴェルディ 歌劇 《オルフェーオ》
プロローグと5幕/イタリア語上演・日本語字幕付
指揮・ヴァイオリン :寺神戸 亮
演出 :野村 四郎、笠井 賢一
衣裳 :望月 通陽、細田ひな子
管弦楽・合唱 :レ・ボレアード
(古楽器オーケストラ&合唱)
オルフェーオ :ジュリアン・ポッジャー
エウリディーチェ :懸田 奈緒子
音楽・プロセルピーナ:野々下 由香里
女の使者・希望 :波多野 睦美
ニンファ :柴山 晴美
カロンテ :若林 勉
プルトーネ :畠山 茂
アポロ :与那城 敬 ほか
2007.11.15.19:00 北とぴあ さくらホール 2-H-40
オラトリオの分野で活躍著しいイギリスのテノール歌手ジュリアン・ポッジャーがオルフェーオを演じると言う事で行ってきました。
北とぴあ さくらホールは2005年の二期会「ジュリアス・シーザー」以来2年ぶりです。その時のBCJの音楽監督であり指揮者の鈴木雅明さんも本日はホールにお見えでした。
グルックの同名の作品を見慣れている管理人にとってはモンテヴェルディ作曲の本公演は実に興味深いものでした。
まず台本の違いがあり、本公演では
第1幕:恋人二人の婚礼の場面で祝賀ムードに溢れ、第2幕では劇的なエウリデイーチェの死の知らせで雰囲気は一変し、オルフェーオの嘆きと、それに呼応する合唱、第3幕では黄泉の国への道を遮る三途の川の船頭カロンテの心を和らげようと歌う聴きどころ、オルフェーオのアリア「力強き精霊よ」の後、
第4幕ではオルフェーオが黄泉の国の王ブルトーネと妃プロセルピナの心を勝ち取るところから、禁を犯して最愛の妻を再び失うところまでは殆ど同じなのですが終幕では失意のオルフェーオを父親アポッロが慰め励まし一緒に天に昇っていく所で幕、一方グルック作では妻エウリデイーチェが無事この世に戻ってきて一同がめでたく迎えて喜び合うところで幕との違いがありました。
もう一つ本公演でユニークだったのは演出と衣裳に「能」の様式を取り入れたことで例えば能装束の格好をしたアポッロやユニークな染をあしらった和風な装束などの衣裳が妙にギリシャ悲劇の物語性をより引き立たせたように感じました。
寺神戸さんの指揮のもと、それぞれの歌手達はもちろんの事、レ・ポレアードの古楽器演奏者、合唱の皆さんも実に見事に融合した見応えのある舞台(あえて、そう表現)でした。特に冒頭に登場した「音楽の女神」野々下さんのソプラノが神秘的でこの後に続く物語への期待感を充分に感じさせてくれました。
それと唯一出ずっぱりのオルフェーオ役のポッジャーさん、歌はもちろんのこと、和風の衣裳姿での所作も見事にマッチしていました。
★★★★★
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ネルロ・サンティ指揮
NHK交響楽団第1605回定期
1・チャイコフスキー
交響曲 第1番 ト短調 作品13「冬の日の幻想」
****** intermission *******
2・チャイコフスキー
歌劇「エフゲーニ・オネーギン」作品24から
「ポロネーズ」
3・チャイコフスキー
幻想序曲「ロメオとジュリエット」
2007.11.16.19:00 NHKホール 1-R2-11
ネルロ・サンティさん、1年ぶりのN響定期登場となりますがAプロのみの指揮でしたので生演奏での再会は2005年のPMFオケを指揮した演奏会以来となります。
相変わらずの暗譜での手際の良い指揮です。
今回は振替え席のためとんでもない席を用意されて不本意でしたが(1階2列目)
この日の配置は対向配置でハープが上手側舞台際でしたので早川りさこさんを目の前で拝見できたことが唯一の救いでしょうか。(笑)
それとトロンボーン&トランペットが近くでしたので響きのバランスを感じ取ることは不可能でしたが音楽的には充分満足できました。ラッパの関山さんの相変わらずの名人芸も確認できました。
一番遠い位置(下手側)にあるコントラバスの音が時折ズシーンと響いてきたり面白い体験でした。然しながら、いかんせんこの席では第2ヴァイオリンの後姿を眺めながらの鑑賞でしたので、まともな感想は無理ですのでいずれBS放送される時にもう一度ゆっくり聴いてみたいと思います。
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田中一嘉指揮
お茶の水管弦楽団第81回定期演奏会
1・ヴェルディ
「ナブッコ」序曲
2・ラヴェル
古風なメヌエット
******* intermission *******
3・チャイコフスキー
交響曲第4番ヘ短調
アンコール曲
ジョルダーノ:歌劇「ジョコンダ」より間奏曲
2007.11.17.18:30 市川市民会館大ホール 2-2-24
学生オケの中でもいつも安定した素晴らしい演奏を披露してくれるお茶管の演奏会、今回はいつにも増して勢いのある演奏で「ナブッコ」序曲、古風なメヌエットと曲が進むごとに聴く側の興味をそそられて休憩後のチャイコフスキーの交響曲第4番では非常にバランス的に整った響きで素晴らしい演奏でした。
個々には例えばチェロのピッチの不揃いな合奏や不用意な管楽器の飛び出し音などありましたが、プロではないですからご愛嬌の領域です。
今回は圧倒的に女子学生の楽員が多く、管楽器に至ってはホルン、トロンボーン、チューバは全て女性で占められ木管も殆ど女性でした。
金管ではホルン隊が特にさほどの欠点もなく好演、弦楽器もトゥッティではまとまりのある迫力を示しました。
田中さんの指揮もゆったりとしたスケール感あふれる曲の運びでオケを引っ張りました、がチャイ4でのフィナーレ・コーダでのあまりのフェルマータの延ばし具合に少し違和感、それまでフィナーレに向かってクレッシェンドの加速が上手く運んでいたのに最後に間延びした感じを覚えました。
アンコールも演奏されましたが余計でした、個人的には。。。
次回は2008年5月24日、再びミューザ川崎で河地良智さんの指揮で
ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
リスト:交響詩「前奏曲」
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
の魅力的なプログラムが予定されています。 当分、お茶管のコンサートは外せないですね。♪
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ワレリー・ゲルギエフ指揮
マリインスキー劇場管弦楽団
1・チャイコフスキー
バレエ音楽「白鳥の湖」から
情景/ワルツ/四羽の白鳥たちの踊り/情景
ハンガリーの踊り(チャルダーシュ)/情景
2・プロコフィエフ
バレエ音楽 組曲「ロメオとジュリエット」から
モンタギュー家とキャピュレット家/少女ジュリエット/修道士ロレンス
メヌエット/仮面/ロメオとジュリエットの別れ/タイボルトの死
******* intermission *********
3・ストラヴィンスキー
バレエ音楽「春の祭典」
アンコール曲
1・チャイコフスキー:「白鳥の湖」からグラン・パ・ド・ドゥ
2・プロコフィエフ:歌劇「三つのオレンジへの恋」から行進曲
3・チャイコフスキー:「くるみ割り人形」からトレパーク
2007.11.18.15:00 NHKホール 3-L6-18
1年ぶりのゲルギエフ&マリインスキー劇場管弦楽団、前回(所沢ミューズ)もオケのパワーに圧倒されましたが、この巨大ホールのNHKホールで聴いても力強く且つ華麗な響きは変わりません。
今回は”ロシアの偉大な作曲家たちによるバレエ音楽”のタイトルでチャイコフスキー、プロコフィエフ、ストラヴィンスキーの作品が演奏されましたが
どれも勢いを感じさせる演奏で、あるときはスリリングに、又は情感豊かに楽しませてくれました。
オケの配置は変則対向配置とでも言うのでしょうか、コントラバスのみが下手に位置し指揮者を挟んで1ヴァイオリンとヴィオラが対峙、チェロは中央上手に配置されて人数もやや変則、概ね(16,14,10,10,7)の人数だったと思います。
どの曲も素晴らしかったのですが、やはり圧巻は「春の祭典」で以前にゲルギエフ&東京都響での名演を体験しましたが、オケの実力の違いもあり更に凄みを増してホール3階まで強烈な音のパワーが襲いました。
打楽器の驚異的な炸裂音、パワー溢れる金管(Trpx6,Hrnx8,Trbx3,Tb,BTbx2)
そしてそのパワーに負けず劣らずの弦楽器たちの凄い饗宴を堪能致しました。
ゲルギエフの指揮は細かい指先の動きで、めりはりの効いた音楽を奏でますから聴き慣れた音楽でも実に新鮮、おっ!こんなとこでこんな副旋律が、みたいな新しい発見をもたらせてくれます、生演奏ならではの醍醐味です。
大声援に応えて3曲のアンコール・ピ-スの大サービスでした。
★★★★★
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ファビオ・ルイージ指揮
ドレスデン・シュターツカペレ
ドレスデン国立歌劇場合唱団
R・シュトラウス
歌劇「ばらの騎士」全3幕
台本:フーゴー・フォン・ホフマンスタール
演出:ウヴェ=エリック・ラウフェンベルク
舞台美術:クリストフ・シュビガー
衣裳:ジェシカ・カーゲ
合唱指揮:ウルリッヒ・ペッツホルト
元帥夫人:アンネ・シュヴァンネヴィルムス
オックス男爵:クルト・リドル
オクタヴィアン:アンケ・ヴォンドゥング
ファーニナル:ハンス=ヨアヒム・ケテルセン
ゾフィー:森 麻季
マリアンネ:ザビーネ・ブロム
ヴァルツァッキ:オリヴァー・リンゲルハーン
アンニーナ:エリーザベト・ヴィルケ
元帥夫人の執事:ヘルムート・ヘンシェル
イタリア人歌手:ロベルト・ザッカ
ほか
2007.11.23.15:00 NHKホール 3-C5-27
今年は「ばらの騎士」のあたり年でしょうか、新国、チューリッヒ、そしてドレスデン(ゼンパー・オーパー)と3つの公演ともそれぞれ満足できた公演でしたが本公演のドレスデンは演出、舞台装置を含め最高の演奏でした。
第1幕の前奏曲が始まると直ぐに幕が上がり薄暗い光が大きな窓から射しこむ中、夫人とオクタヴィアンが縺れ合いながら飛び込んでくる、やがて大きな窓からの光が朝日の光へと変わってゆく、その間二人は舞台奥にしつらえたベッドの中、と言う具合で実に写実的な舞台演出で始まった「ばらの騎士」第1幕。
アンゲラ・デノケの代役で登場のシュヴァンネヴィルムスが堂々の立ち振る舞いと落ち着いた歌唱で素晴らしい元帥夫人を演じた。
オクタヴィアン役のヴォンドゥングもスタイルの良さもあり2幕、3幕でのゾフィー役の森麻季とのからみのシーンでもちょうどバランスの良い恋する二人に見えました。歌唱もメゾの特性を充分に生かしています。
2幕から登場の森麻季も最初は声量に伸びがなかったのですが段々と素晴らしさを発揮して3幕終盤での元帥夫人、オクタヴィアンとの3重唱、オクタヴィアンとの2重唱は感動的で見事なコロラを披露しました。
圧巻はオックス男爵のクルト・リドルで軽妙な演技ではないですが実に存在感のあるオックスを演じました。歌唱も安定していてカーテンコールでは一番の拍手喝采を受けていました。
ちなみに歓声拍手の大きさではリドルの次にシュヴァンネヴィルムスそして森麻季、ヴォンドゥングと言ったところ。
イタリー歌手役で登場のロベルト・ザッカも張りのある美声を聞かせました。
総じて舞台は奥行きを充分に使った豪華な舞台装置でチューリッヒ、新国のやや簡素な或いは意表を衝くような舞台装置とは違い18世紀半ばのマリア・テレジア時代のウィーンを彷彿とさせるような物。
極めつけはファビオ・ルイージ指揮のドレスデンのオケの音色の素晴らしさで細やかなニュアンスたっぷりの弦楽器陣、うっとりする音色の木管、そして金管楽器の強奏時でも決して耳障りにはならない、まさに”いぶし銀”のサウンドに痺れました。
今回の公演では事前に指揮者の変更、直前の元帥夫人役のキャスト変更など、ドタバタがありましたが終わってみれば素晴らしいの一言に尽きる演奏でした。
さすがにR・シュトラウスが「ばらの騎士」をドレスデンでの初演を念頭に置いて作曲しただけあり(1911年1月26日ドレスデン歌劇場で初演)揺るぎない伝統の技と誇りを感じさせた上演でした。
チューリッヒ歌劇場のシュテンメ(元帥夫人)カサロヴァ(オクタヴィアン)ムフ(オックス男爵)もよかったですがドレスデンに比べるとキーンと冷やしたブルゴーニュ白ワイン、そして本日のドレスデンは芳醇な香りを湛えたルビー色のボルドー赤ワインと言ったところでしょうか。。。
★★★★★
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ネルロ・サンティ指揮
NHK交響楽団
新国立劇場合唱団
1・ドビュッシー
交響詩「海」
******* intermission *********
2・マスカーニ
歌劇「イリス」 第1幕から“太陽の賛歌”
3・プッチーニ
歌劇「蝶々夫人」第2幕から
“ハミング・コーラス” “間奏曲”
4・プッチーニ
歌劇「トゥーランドット」第1幕から
“斧をとげ” “月への祈り”
5・ヴェルディ
歌劇「オテロ」第1幕から“喜びの炎よ”
6・ヴェルディ
歌劇「オテロ」第3幕からバレエ音楽
7・ボロディン
歌劇「イーゴリ公」第2幕から
“ダッタン人の踊りと合唱”
8・ヴェルディ
歌劇「アイーダ」 第2幕から
“エジプトとイジスの神に栄光あれ”
2007.11.26.19:00 NHKホール 3-R1-27
前半は輪郭のはっきりした演奏のドビュッシー「海」の後すぐ休憩に入り
後半は新国立劇場の総勢99名もの合唱団(Spx26,Atx23,Tx26,Bsx24)がステージ奥に並ぶ光景は期待に胸をわくわくさせたが、
最初の「イリス」第1幕の冒頭の夜明けのシーンの”太陽の讃歌”
コントラバスのソロの音から始まりチェロそして、だんだんと弦のユニゾンになり混声合唱が中盤から入ってきて最後はオケとともに壮大なエンディングとなる曲ですが新国立合唱団の声のパワーに圧倒されました、しかも見事なハーモニーなのですから素晴らしい。
”ハミング・コーラス”はやや不安定な面こそ感じさせましたが以降の曲はどれも素晴らしい合唱を聴かせてBRAVO !です。
特に”ダッタン人の踊りと合唱”でのN響オケのスピード感溢れる演奏に乗って力強く尚且つ繊細な合唱とのコラボは壮観でした。
最後は「アイーダ」の中でも壮大な曲”エジプトとイジスの神に栄光あれ”
をこれまた迫力たっぷりとサンティさんが鳴らしてくれて今夜の演奏会にピリオド。盛大な拍手と歓声に包まれました。
サンティさん、いつものように対向配置で変形16型(16-14-12-12-8)でチェロを補強しての編成、休憩後からはステージ下手上手、左右にラッパ、トロンボーン、ホルン(は下手のみ)を配置させて音響的にも抜群の効果があったと思われます。管理人は上手側3階最前列でしたので、はっきりした効果は後日のBS放送で確認したいと思いますが。。。通常の管楽器が客席バンダの配置でないのも珍しい光景でした。
いわばオペラ界叩きあげの職人ネルロ・サンティさんの指揮棒のもとN響楽員も熱い演奏で見事に応えて新国立劇場合唱団のクオリティの非常に高いハーモニーと併せ充実した演奏会でした。プログラミングも見事でしたね。
★★★★★
今夜のN響の破壊力(パワー)であればサンティさんと組んで是非、新国立劇場のオケ・ピットに入ってもらってオペラを聴いてみたいですね。12型編成でも充分問題なしと思います。 過去に準・メルクルとの「神々の黄昏」の素晴らしい先例があるのだから。
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汐澤安彦指揮
明治学院大学管弦楽団第70回記念定期演奏会
1・J・シュトラウス
喜歌劇「こうもり」序曲
2・グノー
歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
ヌビア人の踊り、クレオパトラと金の杯、ヌビア人奴隷の踊り
クレオパトラと奴隷の踊り、トロイの娘たちの踊り、鏡の踊り
フリネの踊り
***** intermission *******
3・チャイコフスキー
交響曲第4番へ短調
アンコール曲
チャイコフスキー:「白鳥の湖」からハンガリーの踊り(チャルダーシュ)
2007.11.30.19::00 すみだトリフォニー大ホール
明治学院オケ、前回の文京シビックでの特にベートーヴェン:第5番ハ短調の演奏に感銘を受けたのですが残念ながらメインのチャイコフスキー:交響曲第4番は先日17日に聴いたばかりの学生オケ、お茶の水管弦楽団の演奏に比べると粗さが目だちました。汐澤さんの指揮もかなりのハイ・テンポでびっくり!
むしろ2曲目に演奏されたグノー「ファウスト」のバレエ音楽が丁寧な音作りで良い演奏でした。
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シュテファン・アントン・レック指揮
東京交響楽団第551回定期
1・ハイドン
交響曲第104番「ロンドン」
2・ラフマニノフ
パガニーニの主題による狂詩曲
小菅 優(ピアノ)
アンコール曲
グラナドス:「ゴイェスカス」第4曲「嘆き」または「マハとウグイス」
******* intermission *********
3・ストラヴィンスキー
バレエ音楽「春の祭典」
2007.12.1.18:00 サントリーホール 1-18-28
ハイドン「ロンドン」毎回定期にハイドン作品を取り上げてきた東響ですが
安定した演奏に感じました、ノン・ヴィブラートでの演奏。
ブルー系の目の覚めるようなドレスで登場の小菅さんのラフマニノフが素晴らしい演奏、強いリズム感の冴と弱音でも繊細ながらきっちりした打鍵で濃厚なロマン溢れるラプソディでした。
バックの東響も重厚な音で支えています。
小菅さん、大声援に応えてアンコールにグラナドスの作品、これもじっくりと聴かせました。 実にステージ・マナーも落ち着いたもので既に大器の片鱗を感じさせました。
休憩後の「春の祭典」先月ゲルギエフ&マリインスキー劇場の演奏を聴いたばかりですがアントン・レックの指揮はかなりエネルギッシュな身振りで全体に
曲の細部よりも一つの音のエネルギーの塊を表現しているように聞こえてきました。もちろん、フル編成の東響もやや重心の低い重厚な響きで応えてパワフルなハルサイを堪能したと言ったところ。(大谷康子:コンサート・ミストレス)
★★★★☆
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アラン・ギルバート指揮
NHK交響楽団第1608回定期
1・ベートーヴェン
序曲「コリオラン」 作品62
2・ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第4番ト長調
サイモン・クロフォード・フィリップス(ピアノ)
****** intermission ********
3・マルティヌー
交響曲第4番
2007.12.8.15:00 NHKホール 2-R7-20
アラン・ギルバートはニューヨーク・フィルのヴァイオリン奏者の両親(マイケル・ギルバート&建部洋子)の間に生まれた今や全世界注目の指揮者。
2009年秋にニューヨーク・フィルの次期音楽監督に就任が予定されています。
例えれば或る一流会社で職場結婚した両親のもと生まれた子供が、その両親の元職場である一流会社の社長になると言うような夢のような出来事で御両親のお喜びはいかばかりかと・・・。
さて堀正文コンマスのもとN響楽員、素晴らしいマルティヌー:交響曲第4番の演奏を披露。特にブラス&パーカッション部門が大活躍。
本日のホルンは松崎首席、ラッパ・トップは関山さん、久保さんのティンパニを筆頭に植松さんの大太鼓、ほかの楽員によるシンバル、ドラム、ドラなど大活躍でした。
マルティヌーはチェコ出身、パリで活躍しましたが第2次世界大戦の戦火を逃れニューヨークへ旅発ちます。そこで作曲された作品で終楽章のコーダに向けての雄大で輝かしいクレシェンドは大きな感動をもたらします。
マルティヌーにとって丁度、この時期連合軍によるノルマンディー上陸作戦の大成功によりパリがドイツ軍の占領から開放された喜びがこの交響曲第4番、特に終楽章である4楽章のフィナーレ部分で正に勝利の雄たけびの様な凄まじい大団円の響きで幕を閉じますが本日のN響の演奏は見事な熱演を披露、マルティヌーさんも天上で大喜びでしょう。真に生演奏ならではの醍醐味、感動を体験しました。
アラン・ギルバートの指揮は真に無駄の無い適切な指示を楽員に与えていて見ていても惚れ惚れとします。現ニューヨーク・フィル音楽監督のマゼール氏とどこか合い通じるものを感じます。
ステージ上は今回も対向配置で下手側から時計回りに1Vn,Db,Vc,Va,2Vnの配置でギルバートさん、弦楽器陣へのタクト指示が強調されていたように感じました。 それに応えるN響楽員、渾身の名演奏でした。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、初登場のサイモン・クロフォード・フィリップスのピアノ、達者な腕前ですがいかにも軽やか過ぎな音楽の運びで
N響の重厚なバックとは相容れず。
最初に演奏された「コリオラン」序曲はあまりにストイックな演奏でベートーヴェンらしさと言えばまさしくピッタリの演奏かも知れませんが。
★★★★☆
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若杉 弘指揮
東京フィルハーモニー交響楽団第745回定期
1・マーラー
交響的楽章「花の章」
長谷川智之(Tp)
2・ウェーベルン
夏の風の中で
3・ベルク
初期の七つの歌
林 美智子(Ms)
******* intermission ******
4・シェーンベルク
交響詩「ペレアスとメリザンド」
2007.12.11.19:00 サントリーホール 2-C8-29
若杉 弘指揮の本日の東フィル定期、新ウィーン学派の作曲家ばかりの作品の系譜を順を追ってプログラミングしたなかなか渋い構成。その所為かホールの入りも心なしか普段の東フィル定期に比べて少なめに感じましたが
演奏の方は夫々充実した聴き応えのある演奏に仕上がっていました。
マーラー作品でのトランペット・ソロの東フィル団員、長谷川さんも爽やかなソロ、ベルク作品では林さんの確かな歌唱と滋味あふれる歌い口で魅了されました。
ウェーベルン作品はドイツの詩人ブルーノ・ヴィレの詩「夏風の中で」に触発されての作品で東フィルの演奏も爽やか繊細な表現です。
休憩後に演奏された今晩のいわば本命のシェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」がまたも端正な演奏で若干物足りない面も感じましたが作品自体さほど劇的な作りではないので若杉&東フィルの危なげの無い今夜の演奏も一つのスタイルなのでしょう。
8名のホルン隊、ユニゾンでの響きも整っていて珍しくBRAVO !
若杉さんのいわば手の内に入った作曲家たちの演奏、16型編成(作品により小編成にも)の東フィルも立派な演奏でした。
★★★★★
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第46回立教大学メサイア演奏会
スコット・ショウ指揮
立教大学交響楽団
ヘンデル
オラトリオ「メサイア(救世主)」
第1部
休憩の後第2部、第3部
ソプラノ:佐竹由美
アルト:渡辺敦子
テノール:小貫岩夫
バリトン:久保和憲
オルガン:崎山裕子
立教大学グリークラブ
立教学院諸聖徒礼拝聖歌隊ほか
2007.12.12.18:15 東京芸術劇場大ホール 2-B-6
立教大学による恒例の「メサイア」演奏会、何と今年で46回目の演奏とのこと。また、今回からモーツァルト編曲版により演奏された。
まず演奏に先立ち司祭の方の祈りから始まりました。
序曲ではまだエンジンがかかっていない状態でしたが徐々に安定した響きを示すオケと超高音部に限界はありますが合唱団も喜び高らかにイエス・キリストの誕生から死、そして復活までを描いた作品を喜び高らかに歌い上げました。
オルガンの崎山さんもピッタリと時には力強く、或は優しい音色を響かせていました。また4人のソリストもそれぞれの役割を果たしています。
指揮者のスコット・ショウはアメリカ出身で各地の教会音楽監督を歴任、昨年から立教「メサイア」の指揮台に。
とても自然な指揮振りでこの日の演奏のように癖の無いナチュラルなまとめ方で好印象。
第2部最後に奏される「ハレルヤ・コーラス」では聴衆も起立して全員でのハレルヤ合唱となりました。
盛大な拍手の後に聖歌(賛美歌)69番、もろびとこぞりて 迎えまつれ・・・
をまたも全員で合唱して演奏会が終わりました。
素直に感動いたしました。来年も是非とも足を運びたいと思います。
尚、本日の演奏では35,36,37,40番目の4曲は割愛されました。
終演は9時過ぎ(休憩1回)
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ジャンニ・クリスチャック指揮
法政大学交響楽団第118回定期演奏会
1・ヴェルディ
歌劇「ナブッコ」序曲
2・シベリウス
カレリア組曲Op.11
****** intermission ********
3・ショスタコーヴィチ
交響曲第5番Op.47
アンコール曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番から第2楽章
2007.12.14.19:00 すみだトリフォニー大ホール 1-24-24
指揮者のクリスチャックはイタリア出身の指揮者、教育者。
法政大学オケは春5月の演奏会より遥かにアンサンブルにまとまりが見られて
格段の進歩です。
どの曲も大きな破綻も無く弦ではチェロが優美な音色で感心しました。
アンコールでも再び奏されたショスタコーヴィチの交響曲第5番、2楽章はリズムの高揚感とダイナミックな演奏で出色の出来、終楽章フィナーレも迫力満点のコーダで締めました。
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松田理奈 ヴァイオリン・リサイタル
鈴木慎崇(ピアノ)
1・ドヴォルザーク
4つのロマンティックな小品より第1曲
2・サラサーテ
序奏とタランテラ
3・ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ第3番
****** intermission ********
4・ラヴェル
ヴァイオリン・ソナタ 遺作
5・ラフマニノフ
ヴォカリーズ
6・マスネ
タイスの瞑想曲
7・カッチーニ
アヴェ・マリア
8・サラサーテ
カルメン幻想曲
アンコール曲:パラディス/ドゥシュキン「シチリアーノ」
バッハ/グノー「アヴェ・マリア」
2007.12.15.14:00 所沢市立松井公民館ホール 2列目中央左
本日の出演者はお二人とも日本音楽コンクール第1位受賞者によるコンサート、ヴァイオリンの松田さん(第73回)、ピアノ伴奏の鈴木さんは(第71回)。
松田理奈さん、使用楽器はビヨーム(Vuillaume)との案内でしたが本日の演奏では貸与された1752年製ジェーピー・ガダニーニを一週間前から使用しているとのこと。非常に伸びやかな響きがします。
もちろん松田さんの奏でる音楽もドイツ・ニュールンベルクでの留学の成果もあってかどの作品も魅力的でした。
カルメン幻想曲などは、松田さんのあまりの熱演に途中で聴衆からBRAVO!が
かかるほど。
松井公民館ホールは初めてですがステージとの距離感もなく素直な音響で好ましく感じました。
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尾高忠明指揮
読売日本交響楽団第466回定期演奏会
1・マルトゥッチ
ピアノ協奏曲第2番
ゲルハルト・オピッツ(ピアノ)
***** intermission ******
2・エルガー
交響曲第2番
2007.12.15.18:00 サントリーホール 2-C6-29
マルトゥッチはイタリア生まれ(1856-1909)、レスピーギの師でありピアニスト、指揮者としても活躍、このピアノ協奏曲第2番は(1886年初演)当時はトスカニーニやマーラーの指揮で度々演奏されたようです。
オケの重厚な伴奏に乗りピアノが縦横無尽に駆け回るような曲想ですが一度だけでは残念ながら良さがわかりません。
オピッツのピアノの卓越振りは見事ですが。
休憩後のエルガー:交響曲第2番ですが想像を絶する素晴らしい演奏でした。
読響の響きも輝きに満ちて、特に金管群、それを16型編成の弦楽群が土台でしっかり支える非常に構築感に満ちたものでオケの強奏時でも真に整った音色が見事。
流石に絶好調な演奏コンディション状態を維持している読響ならではと大いに感心しました。
尾高さんの指揮も身振り激しく情熱的な指示でオケをドライブ、まさに50分を超える幸せな緊張感を味わいました。
札響とのエルガーも魅力的ですが読響の演奏はさらに重量感をプラス、海外オケでも果たして今夜のような見事な演奏はそうそう出来るものではないかと感じた次第。
怒涛のような歓声と拍手、尾高さん何度もステージを往復、最後はお決まりの”お寝んね”のポーズで楽員の解散となりました。
★★★★★
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