「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
196977
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
< 新しい記事
新着記事一覧(全179件)
過去の記事 >
2006.05.28
図書室の残影
カテゴリ:
カテゴリ未分類
放課後の図書室、それも夕方の図書室は何か秘密めいたことが起こるにはすごくうってつけの場所なんだと、思春期を迎えて少したった頃には思っていた。心のどこかにある ものすごく甘ったるくてそれでいて胸が締め付けられるように酸っぱくて苦しくなるものと、あと、憶えたての恥ずかしくも興味があって仕方の無い少しヨコシマな気持ち。それこそまさにその図書館で読み漁っては想像の中でしか存在しない「少し気が強くて冷たい態度を取るんだけど、どこか主人公に惹かれてるところがあるヒロイン」と、二人だけしか知らないキスに、口ではバカバカしいと思いながら期待していた。
図書室のカウンターに座り、そういうことが起こる事を期待してみたりそんな自分がバカだと思ったりを繰り返した。その時の僕には読んだ本の女の子とは少し違うけれど、好きな子がいた。肩の長さくらいに切りそろえられてストンとおりた黒い髪の子。笑うと右の八重歯だけ見える子。バカだと思われても仕方ないけど、僕は彼女と同じ図書委員になるだけで、何か「そういうこと」が起こる気がしていた。ただ、あの子にはずっとカレシが居て、それは違う学校のサッカー部だって聞いていた。他のヤツからは同じ学校の男子バレー部のキャプテンと付き合ってるって聞いて、そしてあの子の親友は「好きな男は同じクラスに居るんやって」と僕に言った。あの子の親友の美菜は、僕があの子を好きなんだろうって言った。僕は違う、とだけ言ってそれを見て「ふうん」と笑った。その言葉に希望を持ったり、また学校の裏山の神社にある公園で男と二人で居たのを見た、キスしてたって話を聞いて絶望したり。「思春期」は忙しい心の浮き沈みをひとことで片付ける、そんな便利な言葉なんだろうけど、じゃあまさにその時の僕は「思春期」そのものだったんだろう。そして放課後の図書室カウンターに僕と彼女が一緒に座ることは、ついに最後まで無かった。
図書室の本の匂いは嫌いじゃなかった。紙の匂い、かどうかは知らないけれど。比較的新しい校舎の中にあるからカビ臭さや暗さは無かった。陽がよく差し込む図書室で、本が傷まないように本棚はうまく窓に背を向けるように並んでいた。都合よく本棚が囲うようにして、入り口や机の並んでいる場所からは見えない一角に、その日、僕と何故か美菜がいた。
「ちょっと。いい?今からここに呼んでくるから。ここまでお膳立てしといて何も無いとか、それは無しだからね」
なんで女子ってこうなんだろう。おせっかいも度を越すと嫌がらせとしか思えない。僕は嫌に冷静に考えてため息をついた。あの手のタイプは何を言っても聞きやしない。いまからあの子が来るって考えるとどうしたって心拍数は上がるけど、でも、何か委員会の話でも何でもしてやり過ごせばいいと思った。僕は、その、変に大人ぶってカッコつけで。告白なんて、男子からするものじゃなくて女子からするもんだと硬派ぶったことを思っている、結局 意気地無しで。
あの子がやって来て、「今度の図書月間のポスター、係は水田と西口とやんな?2枚だけでええんやろ?」と言った。きょとんとした顔でこっちを見て、「そうやけど、用ってそれだけ?」「おう」「えぇー。美菜が『何か話があるらしい』なんて言い方するから。告白とか何かかと思うやん」そう冗談言って笑った口に八重歯が見えた。「そうやで、告白や」そう口から出してしまえばその、思い描いてたシーンみたくなるのかなと少しだけ思った。思っただけ。そのまま「告白といえば中家と福岡が付き合い始めたってホントなん?」とか喋りながらカウンターに向かった。美菜が居てにやにやしてた。「ばーか」と口だけ動かして、美菜が大げさにため息をついた。
その、僕が好きだった女の子もその子の親友の美菜も僕とは違う高校に進んで、僕は高校では図書室へ行くことも本を読む事をしなくなった。卒業間際の2月から美菜が少し離れた高校に通いだした5月まで、僕は何故だか美菜と付き合うことになった。あの肩までの黒髪の八重歯の女の子と図書室で、じゃ無くて駅から少し歩いた公園で僕は美菜とキスをした。思えばあのとき読んだ本のヒロインは美菜の方がイメージ通りだった気がした。そのことは言わなかった。きっと「ばか」としか言わないだろうから。美菜は忙しくてなかなか会えなくなるから、友達に戻った方がきっとおたがい楽だと思うんだ、と言い、教えてもらったポケベルの番号にその後 僕から何か連絡を入れることは無かった。
忙しく浮き沈みする気持ちと裏腹に大人ぶってカッコつけた思春期の僕は図書室の奥に残ったままで、変に物分りが良くて口から出まかせみたいな軽口を叩く僕だけが高校に進んだ。数え切れないくらい「付き合って」と言ってそれとほぼ同じ数だけ断られた。きっとあの図書室にいる僕がもっとも嫌いで、でも羨ましがるであろう男になっていた。
それが、いまの僕です。こんにちは。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
いいね!
0
シェアする
Last updated 2006.05.28 23:53:09
< 新しい記事
新着記事一覧(全179件)
過去の記事 >
ホーム
フォローする
過去の記事
新しい記事
新着記事
上に戻る
【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね!
--
/
--
次の日記を探す
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
広告を見てポイントを獲得する
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
エラーにより、アクションを達成できませんでした。下記より再度ログインの上、改めてミッションに参加してください。
ログインする
x
X
PR
×
Calendar
Recent Posts
ZOO
泳ぐひと
弥生 to 卯月
うめ さくら けむし
無くした脳細胞
春音
自転車を漕いで
10 包丁
09 半月の夜に
同じ笑顔
Archives
2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
Keyword Search
▼キーワード検索
楽天ブログ内
このブログ内
ウェブサイト
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: