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April 29, 2006
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カテゴリ: 心に残った短歌

ラ・フランス素敵な名前に人気あり落ち込むなかれ長十郎梨


四月号コスモスに、見つけた作品。

ラ・フランスの対極に「長十郎」をもってきたアイディアと、下の句への展開の楽しさ、生き生きとした擬人法、そしてちょっとばかり文明批判の香辛料も加わって、私の好きな歌である。

なるほど、ラ・フランスは響きの美しいおしゃれな名前だ。出始めの頃、時々「コスモス」誌でその名前を見たりしても、何の名前かよくわからなかったこともあった。「ラ・フランス梨」などと言う人はいなかったから。

随分前のことだったが、小島ゆかりさんが、コスモスの東京歌会に「・・・・ラ・フランス ラ・フランス音が旅立つ」という美しい下の句の歌を出され、批評の指名を受けた方が、「音って旅立ちますよね」と言われた時は、作者にも評者にも、うっとりと感心。 感心した割りには、今、下の句しか出てこないけれども、早速、帰りに買って食べてみた。ジューシーで甘くてなかなかおいしかった。普通にカナダなどで売っている洋梨(pear)よりも、歯ごたえがあって、爽やかな感じがした。

一方「長十郎」クンときたら、いかにも古風な名前だ。

名前だけから受ける印象は、人間だったら、「ラ・フランス」さんがミニスカートの美しいお嬢さんなら、長十郎クンは絣の着物をきているような感じ。

でも、「ぼくの名前は『素敵』じゃないから、人気がないんだ」なんて、落ち込んではいけない。
絣は、「どんなに高級なものでも普段着」という最高のおしゃれなんだから。

この品種を発見した方が、ご自分の家の屋号をとって「長十郎」と命名したそうだが、それでは、名誉ある名前ではないか!洋梨がカタカナの名前なら、日本種の梨はやはり漢字でなければいけない。(英語では、長十郎スタイルの梨は、apple pear と言う)。

それに味もおいしいし、病気にも強いし、収穫期間も長くて頼りになる。根強いファンもいるのだから、「落ち込むなかれ!」

そうそう、それに「二十世紀」だって、昔はいかにも新しい感じの命名だったに違い無いのだけれども、今、時代が二十一世紀になってしまうと、なんだか古い名前に思える。人の名前でないので、擬人化して歌うには適さないけれども、食べるのにはとてもおいしい梨だ。ラ・フランスだって、時代が移れば、名前からの印象はどういう風に変わるかわからないではないか。
今度、新しい梨を命名するときは、もっと日本に誇りを持って、ル・ジャポネ なんて名前はいかが?  


(作者が福島県の方であることから想像すると、長十郎梨の生産か販売にかかわっていらっしゃるのかもしれない。もし、人気にかげりがみえている長十郎の世話をしながら、語りかけるようにしていらっしゃる情景だったら、「落ち込むなかれ」は、ご自分に対する励ましの意味もあり、楽しいだけの歌ではないことも考えられるけれども。)





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最終更新日  April 30, 2006 10:15:17 PM
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