M17星雲の光と影

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2006.08.28
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テーマ: 本日の1冊(3752)
カテゴリ:
昨日から内田樹先生の「先生はえらい」(ちくまプリマー新書)を読んでいる。あと20頁ほどで読み終わるのだが、その感想を一言でいうと「先生はえらい!」ということに尽きる。

さすがは私の「先生」である。この本は基本的には高校生にも読めるような文体でわかりやすいことばが使われ、漢字にはていねいにルビが振ってある。そして、いつもながらのリーダーフレンドリーな軽快な筆の運びで読み手をすいすいと本の中へ誘いこんでいく。そして、その内容は……。その内容は実はきわめて「難解」なのである。

そっとやさしく手をとられ、談笑の中、時間を忘れて踏み込んだ場所は、実はなんとも知れぬ迷宮、ラビリンスなのである。いや、この呼吸、この肺活量。どうすればこういう文章が書けるのか。私にはまったく理解することができない。大いなる謎である。だからして、先生は先生であり、先生はえらいのである。(この本、読んでない人にはなんのことだか意味不明でしょうね)

まだ最後まで読み終わってない段階で、こういうのも何だが、私の予測では、この本には出口がない。ラビリンスにさまよいこんだ人間は「どこが出口なんだろう」という謎解きをひたすら求めるが、もしも出口を発見するのが目的ならば、そもそもラビリンスなど存在する理由はないのである。「急がば直線距離」でいきなり出口に突き抜ければそれで済む話だ。出口を見つけることが目的ならば、ラビリンスなどないほうがいい。

もしもラビリンスに存在理由があるとしたら、それは「迷うこと、それ自体が人間にとってよろこびだから」ということになるはずだ。そして、人生にとって、もっとも迷いの多い時期、すなわち青春は、その反面でもっとも楽しい時期でもある。人間はそもそも迷うこと、苦しむことを楽しむ生き物なのではないだろうか。

先生のこの本はそのあたりの機微を実に生き生きと描き出している。

いやあ、この本はなまなかな感想や書評をはねのける弾力をもっている。

読む者をしばし陶然と恍惚境へいざなう書物である。

面白くて、わかりやすくて、軽快で、時折にんまりできて、かつ、難解で、考え込ませて、時折途方に暮れさせる。そんな本が読みたいなという方がおられれば、私はこの本を強力に推薦する。



牛のよだれもおもわず止まる。惰眠をむさぼる鈍牛のお尻に鋭く加えられた鞭の一閃。

これはそういう本なのである。







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Last updated  2006.08.28 21:02:43
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和久希世@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) >「彼はこう言いました。「それもそうだ…
kuro@ Re:「チャンドラーのある」人生(08/18) 新しいお話をお待ちしております。
あああ@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光2(03/03) 非常に面白かったです。 背筋がぞわぞわし…
クロキ@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光2(03/03) 良いお話しをありがとうございます。 泣き…
М17星雲の光と影@ Re[1]:非ジャーナリスト宣言 朝日新聞(02/01) まずしい感想をありがとうございました。 …
映画見直してみると@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) 伊集院がトイレでは拳銃を腰にさして準備…
いい話ですね@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) 最近たまたま伊丹作品の「マルタイの女」…
山下陽光@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) ブログを読んで、 ワクワクがたまらなくな…
ににに@ Re:非ジャーナリスト宣言 朝日新聞(02/01) 文句を言うだけの人っているもんですね ま…
tanabotaturisan@ Re:WILL YOU STILL LOVE ME TOMORROW(07/01) キャロルキングの訳詩ありがとうございま…

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