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2026.07.02
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テーマ: 天文(794)
カテゴリ: スタパー・観望会

はじめに

 以下の文章は、2025.2.22に行われた「​日本天文教育普及研究会 九州・沖縄支部会 in 島原」にて発表した文章になります。島原でこれから観望会を開催したいという若者に向けた文章だったのですが、今年は、大井さん、茶木さん、とかけがえのない星見の友人たちが続けて逝ってしまい、なんとなく残しておきたい気持ちになりましたので、こっそり自分のブログにも載せておきます。



​導入

​ 「スターパーティ in 白木峰」という観望会は、主として長崎県の諫早市にある白木峰高原の駐車場を使って、2002年の10月より、春、夏、秋の年3回、開催しています。途中、台風接近で1回、新型コロナで2回の開催中止がありましたが、今年2025年は23年目に当たり、今年の「春の大観望会!」が65回めの開催になります。

 私は「スターパーティ in 白木峰」の開催とりまとめといいますか、事務局のようなことをやっています。

自己紹介

 まずは自己紹介をさせていただきます。

 私が天体観測を始めたのは小学校3年生のときになります。ですから、あまり大きな声では言いたくありませんが、はや半世紀前ということになります。はじめて手に入れた望遠鏡はケンコーのKE76でした。KE赤道儀は経緯台としても使える便利な赤道儀でして、なにも予備知識がない私はもっぱら経緯台として利用していまして、極軸が合っていない赤道儀で明るい惑星を導入しては微動ハンドル2本をグルグル回しながら必死に追いかけるというとても忙しいスタイルで、観望をしていました。

 小学校4年になると、急に視力が落ちてきて、星がはっきり見えなくなりました。いわゆる「近眼」「近視」というやつです。学校の授業で宿題になった北斗七星の観測結果も、適当にひしゃくの絵を書いて、それを観測時間に合わせて30度ぐらい適当に回して提出する始末でした。今考えると、最初の位置がいいかげんだったので、宿題が出たのがちょうど春先でよかったです。当時、私は外科医になることを考えており、近視が進んだこともあり、だんだんと星を見る機会が少なくなっていました。そのうち、望遠鏡を出すこともやめてしまいました。その後は時々天文雑誌を買って眺めるぐらいでした。

 20年ほどが過ぎて結婚して子供が産まれることになりました。当時、私は横浜に住んでいましたが、子供を育てるなら都会よりも少し田舎の方がたくましく育つだろう、と考えて、退職し郷里の長崎に帰ってくることにしました。長男が産まれてしばらく経ったころだったと思います。庭で一服しながらなにげなく空を見上げると、天の川が見えました。秋の天の川です。「ああ、これはまた星を観たいなぁ」と思い、天文趣味を再開することにしました。

白木峰での出会い



 NexStar5についてきた取扱説明書はとてもシンプルなもので申し訳ないのですがとても実用に堪えないものでした。こりゃ困る人がでてくるだろうなぁ、ということで、自分が調べたNexStar5の使い方のホームページを立ち上げて、メーリングリストを開設しました。メーリングリストには最終的に200名ぐらいの方が参加してくれて、毎日ワイワイ世間話をしていました。

 あるとき、白木峰高原にコスモス花宇宙館という天文施設があることに気がつきました。土日は夜22時まで開いている!それならば、ということで寄ってみることにしました。ここで星見のガイドをしていたのが、山口さんというガイドさんでした(あちらにおられます)。山口さんのガイドの手際のよいことと言ったらありません。3台ある望遠鏡を駆使して、次から次にいろんな対象を見せて解説してくれます。ずっと独りで観ていた私は目からウロコが落ちる気がしました。

 山口さんと意気投合したので、宇宙館が閉まった後、白木峰高原で二次会(観望会)を行うことにしました。それからは、晴れた週末はだいたい一緒に観るようになりました。

星見スタイルの変化

 宇宙館にはI★COSMOSというサークルがありました。私は団体に所属するのはなんだか堅苦しくてイヤだなぁ、と思う人だったのですが、ほとんどしばりがないサークルだったし、山口さんのススメもあったので、加入することにしました。サークルの集まりで、最近は山口さんと週末ごとに観望会やってるんですよ、というお話をすると、サークルのみなさんも徐々に顔を出してくれるようになって、いつの間にか、晴れた週末は白木峰に行くと誰かしら居るという状態になりました。

 ある週末、いつものように白木峰に上がると、いつもより人が大勢居るではありませんか。「んー?何があった?」とおそるおそる聞いてみると、長崎のトミタ天体観測会のみなさんが、週末ごとの観望会のウワサを聞きつけて、団体でやってきたとのことでした。その中には長崎のトミタさんで初めて会ったときに、自動導入の是非について大いに議論を交わした野田さん(あちらにおられます)もおられました。要は「自分で導入してこその天文趣味」「いーや、初心者が独学ではじめるときに自動導入はものすごい力になる。敷居を下げることに意味がある」の言い合いです。当時は二人とも若かったですからねぇ。。。(遠い目)

 みんなでワイワイ言いながら一緒に星を見上げるのはとても楽しいものです。それからは長崎からのメンバーも加わって、白木峰に行くと必ず誰か居る、という状態になりました。雲が多くてさすがに今日は誰もいないだろうな、と思って行くと、誰かしら居るわけです。さらには、ウワサをききつけて、島原・雲仙、佐賀などからも顔をだしてくれるようになりました。
 ついには、週末の白木峰は、すっかり星を観る人のたまり場になってしまいました。

「星をもとめて!」を振り返って

 ちょうどそのころ、三村さんと言う方がやっておられた「初心者親子の天文掲示板」というのがありました。mimuさんはETXをお持ちでして子供に見せるために始められたと聞いています。私たち天文趣味の人は晴れてない日も何かしら天文のことを話していたいようでして、掲示板はいつも天文趣味の人でにぎわうようになっていました。

 あるとき、関西のメンバーの方が「関西には星まつりがない。何かしらやってみたい!」と言い出しました。確かに西日本には星まつりがないよねぇ。ということで「星をもとめて!」を開催しようということになりました。私は九州支部長として、主に九州の天文施設への広報活動を担当しました。全天文施設にFAXを送ったときに、いの一番に返信をいただいたのが、今は亡き百武さんでした。百武さんは長崎のご出身でしたので、応援メッセージを返していただけたのでしょう。とても励みになりました。

 初めての開催と言うこともあり、イベントメニューももりだくさんで、毎日、深夜まで現地のメンバーと打ち合わせをして準備をしました。ちなみに「星もと」というニックネームは私がつけました。今はすっかり定着しているようで、とてもうれしいです。第1回星もとは無事に開催することができましたが、中心となったメンバーは本当にヘロヘロの状態でした。初回の開催後、今後の開催方針とスポンサーについて、中心メンバーの中で意見が分かれることになり、私もそれ以降の開催には関わらず、遠くから見守るだけとなりました。

 大きなイベントとなると、それなりにお金もかかるし、必要な労力も大きくなってしまう。お金を出してくれるスポンサーや協力してくれる自治体、施設はとてもありがたいのですが、その意向をある程度反映する必要がでてくるし、何よりボランティアベースで協力してくれている天文趣味の人たちにも大きな負担を継続して強いることになってしまう。これでいいんだろうか?自分たちが最初に目指した方向なのだろうか?私の中に疑問が芽生えました。

スタパーをはじめるきっかけ

 2001年です。しし座流星群がやってきました。前日からロケハンを行って、この気圧配置だとここは曇る、ここは晴れる、と情報を取り交わしながら、結局、畑の真ん中で50名ぐらいの人が集まって、流星雨を眺めることができました。

 その翌週ぐらいだったでしょうか。白木峰には、小学校や自治体で出張観望会や天文施設で星空ガイドをしているメンバーがちょうど集まっていました。「いやあ、先日の流星群はよかったねぇ」といつものように話をしているときに切り出しました。「私たちも何かイベントをやってみませんか?」私は「星もと」の話をしました。私は、もっとシンプルなもの。自分たちが楽しいと感じる時間の延長でやってみたいんです。星見をメインにしたいんです。みんながそれならいいんじゃない?おもしろそうだからやってみようか、ということになりました。

 もちろん調整の過程で、出店や屋台を出そう、ゲストを呼ぼう等の提案も出てきましたが、私はこの先、長く続けていくためには自分たちの身の丈に合わせてはじめることがもっとも肝要と考えていましたので、それに沿って意見を出し、打ち合わせを続けました。

 そうしてスタパーの基本方針が固まっていきました。多くの人に呼びかけてイベントを始めるからには途中でブレないことが大切だと思います。こうしてできあがったのが「スターパーティ in 白木峰」、スタパーの趣意書になります。

スタパーの趣意書




一人ゆっくりと自分のペースで楽しむ方、仲間同士で集まってワイワイ楽しむ方、星空観望会や観測会を開いて楽しむ方など、星好きな人の数だけ、異なった楽しみ方があると言っても過言ではありません。しかしながら、私たち星好きみんなに共通しているのは、天文・星見をやっていて、とても 「楽しい」と感じているところだと思います。

ふとしたところで星見と出会うことからはじまり、いつしかきれいな星空をもとめて集い、星空の下でとても楽しい時間を共に過ごし、朝の光とともにそれぞれの帰路につく。これまでの日々の生活の中で、なかなか得ることができなかった、とても充実した楽しい時間の過ごし方にようやくたどり着くことができました。

私たちは、自分たちの感じる「楽しい」という感覚を大切にし、無理に背伸びすることなく、私たち自身が普段行っている星見のスタイルをこれからも大事にしていきたい。そんな風に考えています。

そこで、今回、このような「星見の楽しさ」を知った者たちで集い、また、少しだけでも天文に興味をお持ちの方や、これから星見をはじめ てみようと思われている方たちと一緒に、「星見仲間」として、みんなで星空を楽しむために、「スターパーティ in 白木峰」を 企画しました。

スタパーをやってみて

 最初の開催に当たっては、まず地元の白木峰育成会さんにごあいさつにうかがい、ご快諾いただけたので、消防と警察への連絡とレクレーション保険も手配しました。

 「スターパーティ in 白木峰」の立ち上げに当たっては、トミタ天体観測会、うんぜん星の会、佐賀天文協会、呼子天文同好会、Crazy Binoculars、初心者親子の天文同好会、I★COSMOS等の各地のサークルが参加してくれました。今、振り返ってみると、一緒に空を見上げる機会を通して産まれた親近感がベースになっていたのではないか、と思います。

 次は九州の天文趣味の方々に周知です。清和高原天文台で行われるイベントに集まってこられた方たちに、スタパーの開催についてお知らせを行いました。このときにお知り合いになることができた大分天文協会さんとは、夏に久住の最高の空の下でキャンプ観望会を開催していただきました。当時の久住の空は、星が見えないのでそこからが山の端というぐらい、本当に暗かったのです。

 初回の開催は天候の関係で当初予定していた10月ではなく、11月の開催になりました。何の実績もないイベントですので、やってきてくれるのは星見仲間とその家族が中心です。それでも望遠鏡は20台ほどが並び、4~50名の方に参加していただくことができました。

 初回の開催では、地元のサークルの方に車の誘導係をお願いするなどの細かい分担を決めたり、宿泊先への協力依頼等も行ったのですが、実際にやってみるとそれほど必要がなさそうだったので、次の開催からは分担をあらかじめ決めないでその場で対処することにしました。長くやっていくと、「どうする?」という問題がたまに出てくるときもありましたけど、大きくトラブルになるようなことはありませんでした。星見を趣味とする方たちは、自然を愛する方たちですので、しっかりマナーを守ってくれる人ばかりというのが大きいのではないか、と思います。

スタパーに延期なし

 イベントを開催するに当たって、大切なことは初心を忘れないことだと私は思います。開催を続けてくると、天候が悪い日もありました。参加メンバーの中からいろいろな意見も出てきます。以下はそのときに書いた日記です。

今のスタパーに延期はない。

これは、食材を準備してくれる人たちと、もしかしたら、
と期待して集まってくれる人たちへの配慮からだが。。。

実際には、何よりも、延期の判断をするのが難しい、と
いうのが最大の理由だ。私は、その判断をする誰かに、
もうなりたくないし、新たな誰かを作りたいとも思わない。

そんなことを誰かに押し付けたら、その人はだんだん
スタパーが嫌になるかもしれない。星見がイヤになるかも
しれない。

...そりゃ、おかしい。誰かが苦しい思いをするぐらいなら、
スタパーなんてやめてしまえば?というのが、私個人の考えだ。


 天気の悪い日に仲間と集って楽しむ。
 天気の良い日に星を見上げる。

それでいいんじゃないの?

原点を忘れてしまったイベントには、興味がない。
でも、スタパーは、そうはならないよ。きっと。

まとめ

 スタパーを続けてきて23年。開催されることが当たり前となってきました。当時は若くて元気バリバリだったメンバーもしっかりと年を重ねて、すでにその子供たちが巣立って独立しそれぞれの家族をもつ年齢になってきました。大した広報活動もしていないのにもかかわらず、スタパーには毎回たくさんの方が来てくれるようになりました。九州各地でも天文イベントが開催されるようになってきました。うれしいことです。

 しかしながら、スタパーの実情を語ると、なかなか開催を引き継げる次の世代が出てきません。各地のサークル活動も低調になってきており、自治体や学校からの出張観望会の依頼も激減してきているのが現状だと思います。また、LEDの普及に伴い、光害も進みました。新しい建築物では、環境庁の光害ガイドラインがまったく考慮されていないようなものも多く見かけます。残念ながら、星がきれいだった夜空は急速に失われてきているのが実情だと思います。

 ただ、悲観的なことばかりではありません。出張観望会でお見せしたご家族の手ごたえは、昔も今も変わりません。お父さんお母さん方も童心に帰って、子供と一緒に満面の笑顔で夜空を見上げてくれます。いくつかのご家族はスタパーまで足を運んでくれるようになりました。やはり、星見に出会う機会を増やしていくことが大切なのだと思います。

 今夜、島原で新たな星見のイベントが始まろうとしています。この先、このイベントがどのようになっていくのか、よくわからない部分が多いです。でも、正直なところ、不安よりも期待の方がだんぜん大きいです。こういった動きは私たちが本当に待ち望んでいたものなのです。少しでも多くの人たちに星を見上げる機会を提供すること、これが本当に本当に大切なことだと思います。私たちは協力を惜しみません。微力ではありますが、今後もどんどんと天文の普及活動に関わっていけたら、と考えています。

 最後になりましたが、今回このような発表をする機会を用意してくださった青柳さんをはじめとする天文教育普及研究会のみなさんに感謝いたします。どうもありがとうございました。以上で私の発表を終わります。





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Last updated  2026.07.03 00:09:32コメント(0) | コメントを書く
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