「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
000000
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
31話 【Execute command!】
←30話
┃ ● ┃
32話→
31話 (―) 【Execute command!】
___01.千早歴side
衝撃の事実を聞かされ、その場で兄に問い質しに行きそうになった。
それほど私は怒っていた。それを押し留めたのは不破さんだ。
「僕の彼女の振りをして欲しい。ほとぼりがさめた頃、婚約を破談させたい」
事は兄が喜ぶ展開になりつつある。どうやら兄が敷いたレールの上を走らねばならなさそうだ。
「不破さんは社員旅行のとき、私に『頼みがある』と仰ってましたね。言い掛けていたのは今回のことだったんですか?」
不破さんが煮え切らない発言をしたことを覚えている。はたしてその件と一致しているのだろうか。やっと話は繋がるのだろうか。
「よく覚えてましたね。そう。あの時点で事態は動いてました。でもまだ凪さんは刀自の存在すら知らなかったはずだ」
思い返せば姫丸さんを私とくっ付けようと画策していた時期だった。
「私に何を依頼しようとしていたんですか? 今回のように、疑似彼女役を演じて欲しいと?」
「ご明察。今回頼もうとしていた内容を、そっくりそのままお願いしようと思ってた。
前回との違いは、凪さんの策略によって後に引けなくなってしまった、という点かな」
縁談を断る体裁のひとつに、『彼女がいるからムリです』という常套句が存在する。いわゆる『嘘も方便』だ。
不破さんは、交際歴の浅い『彼女』の存在を匂わせ、刀自に、見合い話そのものを諦めさせようとしたに違いない。
『恋人』だと結婚の二文字がチラつくけれど、『彼女』というステータスならまだ猶予が貰えると踏んで。
だから不破さんは私に彼女になって貰いたかったのだ。『彼女』なら破局をしても、「それじゃあ仕方ないね」で済む確率が高いから。
他に縁談を断る手立てとして『仕事が忙しい』も使える。
でも余命宣告されており、曾孫の顔が一刻も早く見たい刀自さんからは「仕事と結婚を両立なさい」と言われるに違いない。
伊神さんという恋人がいるから透子さんには彼女役を頼めない。もう私に声を掛けるしか道は残されていなかったのだ。
恐らく透子さんを巻き込みたくなかっただろうし、伊神さんとの時間を邪魔したくない気持ちもあったはず。
刀自さんには透子さんの存在を伏せておいた方がいい。知れば、ユナイソンまで私を視察しに来たように接触を計りかねない。
そこを攻められ、ボロが出ようものなら、この『偽彼女計画』は頓挫してしまう。
「僕が縁談に否定的だったばかりに、刀自はとうとう弟にまで縁談するよう申し渡してしまった。
今まで僕は刀自の命令に渋々従ってきたけど、弟は違う。昔から刀自には忠実で。今回だって、きっと率先して嫁選びをするだろうな。
たとえ相手がどんな女性であろうと、刀自の命だから結婚する。弟の姿勢が僕には理解しがたい。相手に好意を持って欲しい。せめて興味だけでも」
透子さんに一途な不破さんが言うと、説得力が増した。
話を聞くに、弟さんは自身の想いよりも『どれだけ刀自の期待に応えることができるか』に重きを置いているのだろう。
「巻き込んでしまって本当にすまない。こうして歴さんを利用しようとしている僕だけど、これでも狭間に揺れて葛藤してたんだ」
「大丈夫です、分かってますよ」
一度は『自分で解決してみせるから』と言葉を濁し、撤回した不破さんだから。
きっと今日私に告げるまで、ひとりで考え抜き、相当悩んだに違いないのだ。
「だって不破さんに味方がいるようには思えないですもの……」
私の言葉に、不破さんは寂しそうに笑う。
「歴さんは本当に優しいなぁ……。……では、表向きは刀自の希望通り、為葉氏の身内であるあなたと付き合うということで。
当然周囲は疑問に思うはずだ。何せ、今まで散々透子さんにアタックしてきた僕だし、柾さんや麻生さんと仲のよかった歴さんだから。
僕たちが付き合い始めたなんて誰も信じないはず。だからこそ、キスの真似ごとをして本気だと触れ回ることも辞さない」
確かに敵を欺くにはまず味方からという慣用句もあるけれど、随分と物騒なことを言い出したものだ。私は慌てて問い返す。
「そこまでする必要がありますか!?」
「凪さんの吹聴により、僕と歴さんが付き合っていると、刀自と祖父もすっかり信じ込んでしまった。
刀自が来店までするようになってしまったからね。従業員を掴まえて、本当かどうか聞き回るぐらい平気でするかもしれない」
不破さんの説明に穴はないだろうかと探しかけたけれど、今の段階では――見当たらない。
「偽彼女になって貰うことは、歴さんにとって何のメリットもない。人身御供みたいなものだ。
さっき言ったように、仲睦まじい芝居が必要になる可能性だってある。それでも僕を助けてくれる?」
最終確認だった。ここで私の進退は決まる。
拒むことも出来ただろう。でも、不破さんの力になりたいと言ったことは事実だ。勇気を振り絞って、私は言った。
「勿論お手伝いします。あの時不破さんに、『困っていたら助けになる』と申し出たのは本心です。無下には出来ません」
「あれからそんなに真剣に考えててくれたんだ? 本当に申し訳ないな……」
「力になります。猶予もなさそうです。目安を設けて遂行しましょう」
「……なんて頼もしい言葉だろう。歴さんの底力は相当なものだね。僕なんかより、よっぽど肝が据わってる」
慣れない賛辞に照れてしまう。
「……聞かせて下さい。不破さんは、透子さんを諦めたんですか?」
私の質問に、彼は「あー……」と顔を背けた。
「これを言うと未練たらしいと思われるかな。透子さんのこと、諦めようにも諦めきれないんだ。僕の本命は透子さん。これは揺るがない」
思わぬ本音に私まで赤面してしまう。ここまで熱烈に愛されてるなんて、透子さんは罪なひとだ。
「でも今回は……そうだな、『押しても駄目なら引いてみよう作戦』で、透子さんと真逆のシフトに変更しようと思う。
透子さんなんて、『あの馬鹿犬、急に大人しくなってどうしたのかしら。いなきゃいないで調子狂うじゃない』ってソワソワすればいいんだ」
「不破さん……」
「透子さんと距離を置いて、歴さんと親密になります。柾さんたちの前で意味深な態度を取ることもあるかもしれない。……ごめんね」
「いいえ、大丈夫です」
「こんな不誠実な僕だから、歴さんは歴さんで、柾さんたちを横目に見てても構わないからね」
なるべく気楽にいこう、と不破さんは微笑む。
「それか、僕から柾さんたちに事情を説明するよ。その方が歴さんも安心では?
さっきは『誰にも言わない』と言ったけど、柾さんと麻生さんなら信用がおけるし、誰にもバラしたりしないだろうから。
それに、2人が知ってくれていたら心強いかもしれない」
あぁ、逃げ道を用意してくれてるんだなと、不破さんの譲歩が嬉しかった。
でもそこまで柾さんたちに甘えてしまってもいいものだろうか。――よくないに決まってる。私は首を横に振った。
「退路を断ちます。私のことは後回しで結構です。不破さんの問題を解決しましょう」
「本当にそれでいいの?」
「大丈夫です。必ず乗り切ってみせましょうね、不破さん」
不破さんにエールを送ると共に、自らを鼓舞させる。兄の姦計は、私にとっても無関係ではないのだ。
柾さんと麻生さんから逃げたくて猶予が欲しいのは紛れもない事実。
この期に及んで柾さんたちとの間で揺れていたし、いま不破さんを選べば、しばらくは2人を選ばなくて済む『理由』ができる。
それに、不器用な私はひとつずつ問題を解決していかなければ、気もそぞろで柾さんたちに向き合えないと思ったのだ。
だから今は不破さんの問題を解消するために全力を尽くそうと思う。『紳士協定』については任務が終わり次第、頭を悩ませることにする。
___02.千早凪side
不破くんとどこかで落ち合えないかと思っていた矢先に向こうから連絡が入った。
時刻は20時を回った頃。大方俺の帰宅を待って電話してくれたのだろう。機密に適した自分のマンションで話せるのは有難かった。
開口一番、不破くんは「やってくれましたね」と疲労混じりの嘆息をつく。
何のこと? としらばっくれても無駄だろう。代わりに「ごめん」と謝罪すると、
「ごめんで済まそうとしてます? 僕、初めて凪さんを殴りたくなりました」
「くわばらくわばら。電話で助かったよ」
「全く……。凪さんのことです。僕がこうして電話をしてきたということがどういう意味を持つのか、既に予測済みなのでは?」
「歴に言ったんだね。何て言ってた?」
「『最ッッッ低。しばらく顔も見たくありません。職場が同じなので仕方ないですけど。ほんと、もう無理!』だそうですよ」
「……いや、聞きたかったのは俺への愚痴じゃなくて、歴がどう動くことにしたのかってことなんだが……」
思わぬダメージを食らい、服の上から胃の辺りをさすっていると、「あぁ、そっちですか」と不破くんは言う。くそ、さてはわざとだな。
「歴さんが僕の彼女役を務めてくれることになりました。1年以内に別れる方向へ持っていき、破談させる手でいこうと思います」
「――恋人のふりをするってことか」
「恋人ではありません。彼氏彼女の付き合い程度です。恋人だと『重く』なってしまうでしょう? 色々と」
「まぁ、別れにくいか。それに周囲だってきみと歴が恋人だと言われても信じられないだろうしな。
交際を始めたカレカノという設定の方がしっくりきそうだ」
「でしょう? ですので凪さんにお願いがあります。勿論聞いて貰えますよね?」
会話の端々から不破くんが怒っていることが伝わってくる。だが、彼にとっては縁談を白紙に戻せるチャンスでもあるのだ。
大方、こうなったら暴れロデオを乗りこなしてみせようじゃないかと腹を括ったに違いない。
「お願いとは?」
「僕と歴さんのシフトを同じにした上で、透子さんとのシフトを可能な限り重ならないようにして欲しいんです」
「潮さんを遠ざけるの?」
「この計画にネックとなるのは、間違いなく透子さんです。なるべく僕の視界に入らない方が望ましいので」
「……そうだね、信憑性が増していいんじゃないかな。分かった、今から組み直す。明日提示しよう」
本来シフトは各部署ごとに決めるものであり、業務課はノータッチなのがセオリーだ。
シフトを大きく替えることは異例中の異例であり、何かしらの建前が必要になってくる。
幸い、ユナイソン本部直々の通達であるカイゼンが適用できそうなのは僥倖だった。
「こうなったらユナイソンにとってプラスに働きかけるようなシフト作りにしようかね」
「普通に凄くないですか、それ。さすが元人事部ですね。実は凪さんって凄い人?」
「きみね……」
「でも今日は徹夜でしょう? 精々頑張って下さいね」
「根に持ってるなぁ。期待を裏切って申し訳ないけど、多分小半時で終わるよ」
「何でたったの30分で可能なんですか?」
「それは企業秘密だ。それじゃ、お休み」
「ちょっと待って下さい。教えて下さいよ凪さん、凪さ――」
やれやれ、一体どこに興味を持っているんだか。シフトの組み直しより、よほど疑似交際の方が難しいだろうに。
通話を切断したスマホをデスクに置き、PCを起動させる。立ち上がるまでに夕飯の準備に取り掛かる。
自炊が面倒だったので、仕事帰りにユナイソンの食品売り場に立ち寄り、総菜を買っておいたのだ。
炊飯器から必要な分だけの炊き立て米をフライパンに移す。多少骨を折って、炒飯ぐらいはお手製にしなければ。
電子レンジで総菜を温め、即席炒飯を作って完成だ。空腹が限界まで来ていたので、貪るように頬張る。
あっという間に完食し、調理器具を洗って夕飯終了。コーヒーを淹れてからPCに向かった。
最近は使っていなかったアイコンをクリックする。かつて人事部にいた頃、必要に迫られて組んだ自作ソフトだ。
プログラミングの勉強と同時進行で作ったものだから『素人が作りました候』で、それはそれは酷いプログラミング言語の羅列だった。
見かねた情報処理系出身の同僚が直してくれたお陰で何とかサマになったこのソフト、実は共同名義で販売中だったりもする。
個人で買ってくれる物好きもいるようで、記帳すると口座に代金が振り込まれていることもある。
そんな曰くつきのソフトを起動させ、千早歴、不破犬君、潮透子の名を選択し、不破くんの『お願い』通りの条件を入力した。
あとはクリックを押すだけでソフトが勝手にシフトを組んでくれるというカラクリだ。それが企業秘密の正体。
小半時も掛からなかった。ものの30秒で正を弾き出す。ひょっとしてこっちで食っていった方がよくないか?
それにしても、まさかここまで運が味方してくれるとは。
俺にとってかなり好都合な展開だ。結婚相手が不破家ならば何の支障もない。
歴の伴侶に柾や麻生などはもっての外だ。ヒメからは正式に断わられてしまっているし。
柾や麻生といった魔の手から歴を救うことも出来るし、ことは一石二鳥だった。
2人の交際は『フリ』とは言え、そこから恋に発展する可能性だって十分ある。
そのためにも、2人が恋仲に発展したことを広めなければ。
歴は1つだけミスを犯した。
1年という期間を設けたのは大きな間違いだった。柾や麻生がこの先1年も待つと思うか?
ただでさえ、奴らは1年という縛りが存在していることなど知らないというのに。
たった1人の女のために――しかも偽とは言え彼氏ができた女のために――柾や麻生が待ってくれるはずがないだろう。
歴のことだ、大方どちらを選ぶかで悩んでいて、猶予が延びたと胸を撫で下ろしているに違いないのだ。
どちらかを選ぶまで『好いてくれている』と思っているなら大間違いだ。そんな虫のいい話、あるはずがない。
柾も麻生も、お前から遠ざかって行くよ。ものの1ヶ月……いや、たった数週間で。
だから歴、お前はそのまま不破くんとくっ付いてしまえばいいんだ。
2014.05.09
2025.10.17
←30話
┃ ● ┃
32話→
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
楽天写真館
7 日 ( Friday ) の日記 頑張っ…
(2026-08-07 04:00:04)
たわごと
新聞紙を敷き詰め
(2026-08-03 22:40:24)
お買い物マラソンでほしい!買った!…
楽天マラソンでカラー名が分かりにく…
(2026-08-06 20:10:03)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: