ヒロガルセカイ。

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柊リンゴ

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2006/05/02
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出会った時も女の子みたいな姿で。


小町って、こんなに気が強かったんだ・・。
生徒会の会長相手に、睨みきかせて言い返して。
相手が大人だったから・・ひいてくれたから良かったけどさ。
普通は男同士なら喧嘩になるところでしょ。

   なんだか、今まで可愛がっていた子猫が実は子犬でした。と言われたほうが、きっと楽。
   おいしいと思って食べていた母さん手作りハンバーグは、実は高島屋のお惣菜でしたー。
   のほうが絶対に気楽。


なにもわかっていなかったんだ・・。
女の子みたいにかわいいから、俺がずっと守ってやるんだって
決めてたんだ・・。


「ひかり。遅いよ。」
かわいいかわいい・・小町の声がする。
小町を乗せて自転車を漕ぐスピードは
今じゃ俺のこころのなかの偶像が砕ける速度と反比例だ。

「おなかすいたんだけど。」
俺もだよ。
こころに ぽっかり 穴が開いたよ。
いつから偶像を育ててしまったんだ。


「・・どうもしないよ。」
「ふうん。」
もっと聞いてよ!

小町の家に着いて、小町を降ろしたらさっさと帰ろうとした。
「ごはんだよ。」

「あ、今日はいいよ。また今度。」
「入って。」
小町がちらっと・・いや・じろっと見てくる。
「・・お邪魔しまーす・・。」


「ひかりくん。たくさん食べてね!ほーら鶏のから揚げ!好きでしょ!
 昔はよく食べにきたものね。」
おばさんは元気だ。小町も普通だ。
テーブルの上も、揚げたてのから揚げが山になってて。おいしそうなのに。
なのに俺は・・目の前においてある卵焼きを食べるのが精一杯。
もう食欲がなくて。
・・あれ?甘い!
「おばさん。味付け変えたんですか?前は塩味だった気がするけど。」
「あーら!よくわかったわね。その卵焼きはね。」

「俺が作ったの。」
小町がまたじっと見ている。

「えっ!こ・小町って卵焼き作れたの?」
「さっき教えてもらって。作った。」
「もうこの子は。卵焼きは塩味って言ってるのに、砂糖を入れたのよ。あははは。」
いつのまに・・台所に立っていたんだろう。
「今日のお礼。」
「は?」
「生徒会を断ったのって。俺のためでしょ? ありがとね。」
・・ええーーーー!
また心臓が・・ばくばくしてきたぞ。
「小町?」
「でしょ?」
「うん・・。」
「だからお礼。」
小町が笑った。睨む顔よりずっといい。
その顔を見たら、小町を好きでよかった・・。と思えてきた。
小町の傍にいるんだ。これからだって。ずっと。
言い方は強いけど、力が無いかもしれないじゃない。
からまれたら困るもんね。こんなにかわいい女の子みたいな小町が。

「毎朝連れてってくれないと遅刻するもんねー小町。」
・・おばさん黙っててよ・・。
俺、今ものすごく幸せを感じたんだけど。

「そうね。それに傍にいたほうがいい。」
「?傍にって・・?」
「俺と 離れる気・ないでしょ?」

小町にじっと見つめられるのは嫌じゃない・けど。
俺もその顔をじっと見ていたいのだけど。

うう・・まだこらえなきゃいけないかな。
どきどきしている この思いは。
伝わっていそうなこの気持ちは。

傍にいたいから。根性なしかな。でも・・・傍にいたいんだ。


             おわり。


       ありがとうございました!いつも感謝しています。









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Last updated  2006/05/02 05:56:44 PM


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