ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

PR

Profile

柊リンゴ

柊リンゴ

Calendar

2006/11/30
XML
キスされたときに薄く唇を開いてしまいました。

目を開けると宇佐美の瞳とぶつかりそうでした。
動揺した章を面白がっているのか、そっと襟足を撫でます。
そのまま手を添えて自分のほうに引き寄せました。
抵抗しようとして口を開いた章、狙い通りとばかりに宇佐美の舌が入り込みました。
「!」
章がのけぞります。
でも宇佐美も離しません。

そこでようやく唇が離れてくれました。
「染みになると困るから」
ウエットティッシュでざっと拭いてくれます。
「宇佐美さん、」
章は宇佐美の細い指を見ながら、どきどきが治まりません。
「なに?」
「どうしてキスするんですか」
「したいから」
即答です。
「そんなのおかしいですよね・・」
「おかしくないよ。キスがしたい。触りたい。普通でしょ」

そういいながら自分のしていることはどうなんだ・・と感じました。
来夢は特別。
見ていると手を繋ぎたくなる。
どんな我侭も聞いてあげてもいい。
笑顔が見たい、抱き締めたい。

これは恋だ、だから・・

「好きならいいじゃん。何をそんなにムキになるのかな?」

宇佐美は、じ~っと章を見ています。
獲物の動向を見張るような、狩猟上手のキツネさんの眼。

「俺は章が好きだよ。正直、抱きたい。
毎晩こうして俺に会いにくるから、俺の感情も承知のうえだと思った」
「初めて聞きましたよ。俺は宇佐美さんと絵を描きたいだけで、」
「おっかしいな?俺のアンテナは鈍ったかな?キスも良かったのに」
キス、と言われて・・また顔が赤くなります。
たしかに気持がよかった・
来夢のときとは違う、先の見えない感じにドキドキしたのです。

慣れた舌にまさぐられて、体の芯に火が点いたのです・・。

「あ、抱きたいほう?」
息がかかって、びくりとします。
「抵抗してもいいよ。俺も抱きたいほうなんだ」
また唇が近づきます。
今度は誘いに乗れません、乗ってはいけません。
どきどきしながら。顔を赤くしながらも、ぐっと唇を結んで俯きます。
「・・あれ?」
宇佐美の動きが止まりました。
「可愛いところがあるんだね。ますます気にいるんだけど?」
あはは、と軽く笑うと。眼鏡をかけてくれました。
「もう遅くなるから帰りな。下で待っているあの子が凍っちゃうよ」

「え!!」

章はびくっとして屋上から恐る恐る見下ろします。
でも暗くて、何も見えません。
まさか、まさか!

「早く行きな。また明日ね、章」
宇佐美はにっこり笑って手を振ります。

→→5話に続きます♪

拍手













お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/11/30 09:21:48 PM
[星影に眠るネコ。(BL)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: