ヒロガルセカイ。

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柊リンゴ

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2008/12/05
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 連れ戻されたアヤはネクタイを解きながら物思いに耽ります。

しかしそれでは抗争に発展しかねません。

 面倒なものを貰ったと、アヤはその名刺を掌で握り、
ベッドの上に放置しました。
そして苛立ちを感じながら、お風呂場に向かいました。
ついていこうとする男衆を払い除けて、大きな浴槽に体を沈めます。

 姐として、永哉のことを報告すべきなのか。
まだアヤにはわからないことが多すぎました。


「何ですか?」
「冷たい言い草だな。まるで邪魔みたいだ」
ドアをがらりと開けて入ってきたのは志信さんです。

「邪魔ですよ。俺は一人でお風呂に浸かっていたいんです」
「我侭だな。見張りを立てないと、何が起きても知らないぞ?」
 腕を組んでアヤを見下ろす志信さんをアヤは睨みます。
「いつも一人にさせるくせに、最近はよく顔を見ますね」
「大事な行事の前だからな。姐のアヤに逃げられたら笑いものだ」

「大事な行事?」
「ああ。私がこの組を継ぐための式だ」
「へえ」


「面倒くさい」
 アヤは相変わらずです。
しかし志信さんはこの子の我侭に慣れました。
「私が組を継承するのだから、手伝え」
「…はい」

抱きたくなってしまうのが性なのでしょう、
志信さんは膝を曲げてしゃがみこみます。

「ところで、今日も逃げたそうだな」
「買い物がしたかったんです」
「一人で行くな」
「大勢で行くのは勘弁です。店員や客にじろじろ見られるし」
「アヤが目立つからだよ」

 志信さんが手を伸ばしました。それにアヤが掴まります。
「嫌なら出て行ってもいいんだぞ」
「出て行きませんよ。あなたがここにいるから」

 アヤの言葉に志信さんは腰が砕けそうです。
二十才になったアヤは、艶を増していました。
しかも今は全裸です。
 志信さんはアヤの腕を引っ張りました。
「のぼせる前に、出ろ」

 アヤが口を閉じたまま浴槽から立ち上がると、志信さんは「ほう」と呟きます。
「少しずつだが、大人になるものだな」
「そうですか?」
 アヤは自分の成長がわかりません。
背は伸びていないはずだし、太ってもいません。

「ほら、早くしろ。湯冷めするぞ」
 志信さんは上気したアヤの体にバスタオルを巻きました。
そして、ふと手を止めます。
「どうしました?」
「見れば抱きたくなってしまうな。条件反射か」
 アヤの頬を撫でながら、そっとバスタオルの中に手を入れていきます。
「…少しは堪えてください。まだ夕刻です」
 アヤに拒まれてしまい、志信さんは不満顔で廊下を歩いていきました。



「おお、志信。いいところに来た。最近、アヤちゃんが脱走を続けていてなあ」
 隠居になるはずの大伯父が呆れています。
庭の鯉に餌をやりながら、溜息ばかりです。
「昔は懐いてくれたのだが、アヤちゃんに極道は合わないのだろうか」
 それを聞いて志信さんが苦笑します。

「極道が合うのはアウトローの世界で生死をさ迷ったものか、気楽に考えている奴です。
アヤに合うのか知りませんが、アヤが選んだのですからいいでしょう」
「それもそうか」

「ああ、それから大伯父。アヤは一度もあなたに懐いていませんよ」
「えー」
 大叔父は鯉のように口をぱくぱくさせました。

「基本的にゲイではないようなので、失礼」
 言い残して志信さんは廊下を歩いていきます。

「おまえは特別だっていうのか?自惚れるな、志信!」


3話に続くのです。
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●拍手をありがとうございます●

アヤを始めてよかったです。何だか、凄く嬉しいです。
ありがとうございます。頑張ります。


●エグザイル●
買いました~~~~楽天さんで。
早く届くといいな。












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Last updated  2008/12/05 05:06:30 PM
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