『アマビエ』
江戸時代の妖怪描いた漫画
「クセになる吸引力」(withnews)
「もし疫病が流行することがあれば 私の…
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「もし疫病が流行することがあれば 私の姿を描いた絵を人々に早々に見せよ」。くちばしのような口に、ウロコに覆われた体、足は3本……豊作や疫病などを予言するという半人半魚の妖怪「アマビエ」を描いた漫画がツイッターで話題です。アマビエの絵を人々に見せようと奮闘する男性と、素朴なアマビエのキャラクターに引きつけられる物語。実は、新型コロナウイルスの感染拡大で、3月に入ってからこの「アマビエ」に関するツイートが急増しています。一体何が起こっているのでしょうか。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)wikipedia より
漫画「アマビエが来る」
漫画「アマビエが来る」を描いたのは、noteで『きつねとたぬきといいなずけ』を連載する漫画家のトキワセイイチさん(@seiichitokiwa)です。
男性が海辺で歩いていると、海から何か光るものが出てきます。それが、半人半魚の妖怪「アマビエ」です。
「海中に住むアマビエである この先6年間は豊作が続くが、もし疾病が流行することがあれば、私の姿を描いた絵を人々に早々に見せよ」
男性にそう伝えるアマビエですが、男性に「なかなか大変そうなのが今まさに流行しつつあるぜ?」と言われるとすぐに海に帰ろうとします。
その後も、絵ではなく写真を撮ろうとするとアマビエが嫌がったり、学校が休校になって海に来ていた近所の子どもも加わったり、てんやわんやしながらも何とか絵を描くことに成功するのですが……。
漫画には「アマビエがかわいい」「クセになる吸引力がある」「今年のハロウィンはアマビエになる」などの反響が集まり、1.3万回以上リツイートされ、2.8万回以上いいねされています。
江戸時代の妖怪「アマビエ」とは
アマビエとは、江戸時代の弘化3年(1846年)4月の中旬頃に、肥後(熊本県)の海に現れたとされる妖怪です。
海の中に毎晩のように光るものが出没するため、役人が向かったところ、このアマビエがいたという記載が当時の瓦版に残されています。漫画に描かれている通り、「病気が流行することがあれば、私の姿を絵に描いて人々に見せよ」と告げたとされています。
漫画「アマビエが来る」の中で男性が描くアマビエも、この瓦版に掲載された絵とそっくり。作中にある、遠い知り合いの新聞記者に掲載を「ダメ元で頼んでみる」というエピソードも、瓦版に残されていることとリンクして、記録と現実が折り重なった不思議な世界観を生み出しています。
ちなみにアマビエの目撃記録は肥後のこの一件のみ。他にも猿のような姿で三本足の「あま彦(アマビコ・天彦)」という妖怪の記録があり、こちらも光を発し海中に住み、予言をするとされているそう。
これらの類似性から、妖怪に関する著書が多い湯本豪一さんは「明治妖怪新聞」(柏書房)の中で、「『天彦』『あま彦』の存在を知らない者がその情報を書き写すときに『コ』を似通った字の『エ』と転写してしまい、さらに原本が失われたことによってこの情報だけが後世まで残った」という説を唱えています。
「アマビエ」つぶやく人が急増
アマビエが語ったとされる「病気の流行」という内容が、現在の新型コロナウイルスの感染拡大の状況と重なり、3月に入ってからアマビエの絵をツイッターに投稿したり、言及したりするアカウントが急増しています。
ソーシャル分析ツール「ForSight」で「アマビエ」というキーワードを含むツイートを調べると、2月は日に10件程度。3月1日に162件だったツイートは、3日には4,737件、7日は38,646件と、爆発的につぶやかれるようになっています。
「アマビエが来る」を描いたトキワさんは、アマビエの漫画を描くきっかけを、「妖店百貨展」(@youmisedori)のアカウントのツイートを見たことだったといいます。
「妖店百貨展」とは、妖怪に関するイベントを企画運営する団体で、3月3日にアマビエの伝承や姿について投稿したところ、2.9万回以上リツイートされました。「妖店百貨展」の担当者も、アマビエについてつぶやいたのは、仕事で関係するクリエイターたちがアマビエの絵を描いているのを見たからだったといいます。
「当時は瓦版。そして現代はTwitterという伝達ツールでアマビエが伝えられようとしている、ということに感動して、『これぞまさに伝承になりうる話だな』と思いました」
「もし現代に現れたら…?」
そんな中で、トキワさんは「もし現代にアマビエが現れたらどんな風になるだろう」と考え、漫画にしたといいます。
「アマビエの姿がとても愛嬌があったのと、予言し、自らを人に描かせて自分は去っていくという行動だけで十分面白いと感じたので、ストーリーはそのままにしようと決めました」
漫画は伝承のシチュエーションを現代に置き換え、遭遇した人物がその時に取る行動などを考え、つくり上げられました。
すぐに帰ろうとしたり、写真を拒んだりするところがかわいらしいアマビエのキャラクター。トキワさんはアマビエに「使いの者」というイメージを持ち、一連の行動を「仕事」として描いたといいます。
「使いとして来ているので一応手は差し伸べるけれど、もし相手が拒否するなら致し方ないので諦めて帰る、くらいの冷めたスタンスです。なので、事が叶わなさそうなら帰ろうとするし、絵で描いてもらうということになっているので写真はNG、となります。逆にこちらの意図をくんでくれるなら、協力体制を取るでしょう」
アマビエのかわいらしさから「いろいろと喋らせたい欲求もあった」といいますが、記録に残されているセリフ以外は話させないというこだわりも見えます。
アマビエがつないだ願い
令和のいま、舞台は瓦版からTwitterに変わりましたが、伝承のアマビエが指示した通りに実際に絵が拡散しています。江戸時代に比べて、情報の拡散や消費の速さは段違いとなっていますが、トキワさんは今なお伝承が伝えられている意義について考えます。
「アマビエの話に限らずですが、昔から伝わる不思議な話には教訓やその裏に隠された意味がある場合が多いです。それは生活していく中で有用だったり遵守していくべきものだったりします。そういうお話をベースに漫画にしてみたので、深読みしたり妄想したりする余地はあるかも知れないとも思います」
「でも、そんな事は関係なく、ハハハと笑ってさらっと通り過ぎていくだけでも何の問題もありません。最近の鬱々とした空気がちょっと晴れるような、気分転換に役立てば嬉しいです」
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えたいという願いと共に、広がっていく「アマビエ」の絵。暗いニュースが続く中で、令和に現れたアマビエが人々の心をつないでくれたような気がします。
不安な日々がまだなお続いていますが、感染対策や落ち着いた行動など、いまそれぞれができることを積み重ねていきましょう。
アマビエは、日本に伝わる半人半魚の妖怪。海中から現れ、豊作や疫病などの予言をすると伝えられている。関連1
同種の妖怪と考えられるものにアマビコ(尼彦、あま彦、天彦、天日子、海彦)、尼彦入道(天彦入道)、アリエなどがある。
「アマビエが来る」(1/2) #アマビエ pic.twitter.com/Da6bAtiKuw
— トキワセイイチ@通販・委託開始 (@seiichitokiwa) 2020年3月6日
アマビエが話題のようなので、写し絵を持てば流行病を逃れることができる四天王、アマビエ、白澤(はくたく)、神社姫(じんじゃひめ)、件(くだん)ですご査収ください。てか今何時代なん? #アマビエ pic.twitter.com/zUd3LTIbco
— 団長@万葉州 (@hakuzow) 2020年3月4日
医師シュナーベル・フォン・ローム(ドイツ語で「ローマの嘴の医者」)を描いたパウル・フュルストの版画(1656年)。混合体で書かれた8音節2行連句の風刺詩(‘Vos Creditis, als eine Fabel, / quod scribitur vom Doctor Schnabel(→君は寓話と信じるだろう/嘴医者の物語を))が添えられている
衣装[編集]
「 en:Plague doctor costume 」も参照
1720年に描かれたペスト医者(作者不詳)
図像資料からはペスト医者が様々な衣装を身に着けていたことが分かるが、中にはひと目で分かる独特の格好をする者もいた。できるだけ肌を露出させないよう全身を覆う、表面に蝋を引いた重布か革製のガウン、つば広帽子、嘴状をした円錐状の筒に強い香りのするハーブや香料、藁などをつめた鳥の嘴のようなマスク(ペストマスク)[13]、木の杖のひと揃いがその典型であった[14][10]。これは1619年にシャルル・ド・ロルム(英語版)が考案した一種の保護衣で、始めパリで用いられていたが、その後ヨーロッパ全土に広がった[15]。
マスクの嘴に詰めた香りの良いものとは、例えばアンバーグリス、バームミント、ショウノウ、クローブ、 アヘンチンキ、没薬、バラの花びら、エゴノキなどである[6]。これらが瘴気を発する「悪性の空気」から身を守ってくれると考えられていた[16]。藁もその「悪性の空気」からのフィルター代わりとなる。マスクは目の部分に赤いアイピースをはめこむこともあったが、これは悪霊を払うためであった[10]。木の杖は患者に触れることなく診察するための道具であり[17][18]、古来こうしたワンドは治療者のシンボルであったが、ペスト医者も職業がすぐ分かるように携帯することが求められていた[19]。
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