「一歩も外に出られない」「みんなピリピリしている」。24日に島全体をクラスター(感染者集団)と認定された沖縄県伊平屋村。村内の小中学校は15日から臨時休校し、共同売店は時間短縮営業を始めるなど、日常生活に影響が及ぶ。小規模離島での感染拡大という事態に、村民は保育や介護など福祉サービスへの波及を不安視している。
【写真】人口1200人の伊平屋島で大規模感染
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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/gallery/683689?yahoo=y&utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related&ph=1
村内では22日から県による集団検査が始まり、濃厚接触者に加え、公務員や医療、介護従事者らが優先的に受診した。村内唯一の医療機関である伊平屋診療所は午前中を濃厚接触者らコロナ対応に充て、一般患者は午後に診療している。伊礼幸雄村長によると、金城時正副村長に加え、村職員4人の感染が確認されたが、現時点で村の業務に大きな支障はない。
小中学校は「第1波」と「第2波」の際には休校しなかったが、今回は休校に踏み切った。村は「家族間感染もあり、校内での感染を防ぐため」と説明する。
村在住の西銘仁正さん(72)は「1200人の村で30人は普通じゃない」と指摘。「このままだとありとあらゆる所に影響が出る。例えば保育園が休園したら、親は仕事ができなくなる。みんなもっと危機感を持つべきだ」と懸念する。
村高齢者生活福祉センターとらず園の伊礼春樹所長(49)は、島で感染者が初確認された12日以来、毎日施設内を消毒している。デイサービスは一時休止中。「厳戒態勢だが、サービスを受けないことで高齢者の心身機能が低下しかねない」と危惧。「離島の介護職は常に人手不足。僕らが感染した場合、代わりがいないことも不安だ」
村我喜屋区の山内進区長(70)は自宅で家族と会話する際もマスクを着け、役場との連絡も電話で済ませる。「今のところ高齢者の感染は少ないが、いつどうなるかは分からない。年をまたぐ2週間が勝負だ」と気を引き締めた。
■スナックから拡大か
伊平屋村内で最初に陽性者が出たのは今月12日。カラオケスナックの関係者で、家族によると、11月末から体調不良で自宅療養していた。島外から来店した客の1人が陽性になり、濃厚接触者としてPCR検査を受けたところ、陽性だった。
島内では12月6日、100人程度が参加した集落の忘年会があった。参加者によると、2次会に流れてこのスナックを利用した人たちがいて、その中の1人も後日、陽性が判明した。
同店では6日、本島からダンサーを招いた催しがあり、若者を中心に約20人の来店客がいた。9日に忘年会で同店を利用した金城時正副村長の陽性も判明していて、店の利用者を中心に感染が広がったとみられる。
村では現在、岸壁の整備や災害復旧などの工事が行われていて、島外から工事関係者が多数出入りしている。
5日には、村や村教委の主催で島外から出演者約30人を招いた芸能公演があり、同じ会場で会食も開かれた。出演者によると、村側の出演者の1人が陽性になったが、島外からの出演者に陽性者は確認されていないという。
衝撃的な研究結果が明らかになった。6月末、韓国の国家機関とアメリカの大学の研究チームらが、韓国で6000人近い新型コロナウイルスの感染者とその接触者を追跡調査した結果、「10代の若者」が最も家庭内で新型コロナを広めやすいと発表した。10代の若者が家庭内で最初に発症した場合、家族にうつす確率は18.6%とほかの世代よりも高かった(全世代の平均確率は11.8%)。
これまで日本では「子供は新型コロナに感染しにくく、感染しても重症化はしない」といわれてきた。実際、日本小児科学会は5月20日、「学校や保育所におけるクラスターはないか、あるとしても極めて稀と考えられる」とし、さらに「学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい」などと発表していた。
ところが最近は全国の学校や幼稚園などでのクラスターが多発。7月18日に大阪・大東市の中学校で生徒6人と教員2人の感染が発覚し、22日までに岐阜市の県立高校で教員や生徒ら計9人の陽性が確認された。8日には東京・世田谷区の私立幼稚園で園児4人、職員3人の感染がわかっている。
「6月まではそもそもPCR検査の数が少なすぎたので“子供たちは感染しない”とされましたが、検査すればするほど陽性が増えていく。たまたま無症状や軽症なだけで、感染しないわけではないことがはっきりしつつあります。
学校や幼稚園では、大人の教員や職員が一緒に感染しているケースが多いことを考えると、知らず知らずのうちに大人にうつしている危険性も高いと考えられます」(医療ジャーナリスト)
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんは、学校でウイルスが蔓延する理由をこう説明する。
「子供同士にソーシャルディスタンスの徹底は容易ではなく、距離感が近いことが一因です。マスクをうっかり外す、手洗いやうがいを忘れるなども多いでしょう。
そもそも無症状や軽症が多いので、感染者の隔離が困難です。“子供はコロナをわかっていない、重症化もしない”ことを前提に、地域で陽性者が出た際には症状がなくても徹底して検査を受けさせるべきです」
冒頭の韓国の研究が示した通り、感染した子供たちは“クラスターを発生させる最も危険な存在”といえる。昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんが警鐘を鳴らす。
「懸念されるのは、学校で感染してきた子供から重症化リスクの高い親や祖父母にうつすことです。子供に感染対策を徹底させるのは難しいうえ、同居家族はどうしても“密”な関係は避けられない」
春の休校期間の遅れを取り戻すため、どの学校でも夏休みが短い。感染者数が増加の一途を辿るいま、はたしてそれでいいのか。「不都合な真実」と目をつぶらずに、子供が感染拡大を招く現実を直視すべきだ。
※女性セブン2020年8月13日号
子供や学生たちはこれまで考えられていた以上に、新型コロナウイルスの市中感染の拡大に大きな役割を果たしているのかもしれない。その可能性を示す新たな研究結果が発表された。
Journal of Pediatricsに先ごろ掲載された論文によると、マサチューセッツ総合病院とマサチューセッツ小児総合病院の医師らが実施した調査の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった子供たちの気道内で確認されるウイルス量は、同様に感染し、入院が必要となった成人と比べ相当に多くなっていたという。
0~22歳までの患者192人を対象に実施したこの調査で、新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは49人。さらに、18人はCOVID-19に加え、小児多臓器系炎症性症候群(MIS-C) を発症していた。
論文の筆頭著者であるマサチューセッツ小児総合病院のレイエル・ヨンカー医師は、特に感染から2日目の子供たちのウイルス量が多かったことに驚かされたという。
子供はウイルス受容体の数が少ない(そのため感染しにくい)ほか、感染しても重症化する可能性が低い。だが、ウイルス量が少ないわけではないことから、ほかの人を感染させる力は成人より強いと考えられるという。
論文の共著者であるハーバード大学医学大学院のアレッシオ・ファサーノ小児科教授は、この結果について次のように説明している。
「子供たちが、この感染症の影響を受けないということはありません。新型コロナウイルスへの暴露や感染と症状に相関関係がないのです」
「パンデミックが発生して以来、私たちは主に症状が出ている患者たちの検査を行ってきました。そのため、感染者の大半が成人だという誤った結論に達していたのです」
「子供たちが感染を広げている可能性を、軽視すべきではありません」
実際のところ、7月に米国医師会雑誌(JAMA)で発表された研究結果では、子供たち(症状が軽度~中程度の5歳までのCOVID-19患者)はそれ以上の年齢の子供や成人と比べ、鼻と喉で確認されるウイルス量が10~100倍だったとの結果が示されている。
つまり、子供たちはより効率的にウイルスを拡散させているということになる。
学校は何に注意すべきか
こうした研究結果は、学校やデイケアセンターの再開の検討において、重要な意味を持っている。ヨンカー医師らやその他の専門家らが指摘するのは、学校や同様の環境で子供たちの感染の有無を確認するための方法として注意すべき点は、検温や症状のモニタリングだけに頼るべきではないということだ。
その理由の一つには、子供が発症することが多いその他の一般的な疾患と、COVID-19の症状は似ている場合が多く(発熱や鼻水、咳など)、正確な診断が難しいということがある。
ファサーノ教授らは、子供たちに対してより必要とされることは、社会的距離の確保やマスクの着用、頻繁な手洗い、遠隔学習と対面学習の双方を取り入れることだとしている。
さらに、生徒・学生たちについては、学校再開に関する方針を決定する際に欠かせないのは、全員を対象に定期的な検査を継続的に行い、適切なタイミングで結果を報告していくことだという。
ファサーノ教授は、子供たちがウイルスを自宅に持ち帰る可能性を考えれば、適切な計画を立てることなく性急に学校を再開することは、感染者の急増を招くことにつながると警告する。
「必要な感染防止対策を講じないままで学校を再開すれば、子供たちがこのパンデミックにおいて果たす役割は、さらに大きなものになるでしょう」
感染リスクが高い高齢者と子供が同居している世帯では特に、家庭内で感染が広がる危険性が高い。
Misha Gajewski
短い夏休みを終えた学校では、熱中症だけではなく新型コロナウイルスへの対策も求められています。
特に教職員と生徒が接する場所では、どう対応すればいいのでしょうか。
感染症の専門医にポイントを聞きました。
話を聞いたのは、公立陶生病院、感染症内科の武藤義和医師です。
7月、愛知県江南市の「滝学園」を訪れました。
中高一貫校で、あわせて1800人を超える生徒が通学しています。
「自分たちが知らない間に拡散させて、高齢の先生や基礎疾患を持っている人にうつしてしまうことが心配です」
「通学路や電車の中が不安です。どう頑張ってもソーシャルディスタンスを保ったまま電車やバスに乗るのは不可能なので」(生徒)
「子ども達と接する機会が多い教職員は、感染のことについてはよりきちんと予防しなければならないと思いますし、常に自分の健康には注意を払ってなきゃいけないと思います」(滝中学・滝高校 中島政彦校長)
こうした中、特に生徒と教職員が接する場所では、念入りな対策が必要となってきます。
学校の悩み① 保健室
保健室は体調不良の生徒が多く訪れるため、感染拡大の「拠点」になってしまう恐れもあります。
生徒を部屋で休ませる場合、どのようにすればいいのでしょうか。
「違う症状で来ている子もいるので、最低2mは離すということを気をつけたほうがいいです。ベッドの距離をとるのも大事ですが、『ゾーニング』といって、感染が疑われる子が使う場所や触るものを、ほかの子と全く異にすることがおすすめとされているので」
「下に線を引いたり、スペースがない場合はテープを貼って『このテープの内側はその子のスペースだよ』とわかりやすくする方法もありだと思います」(公立陶生病院 感染症内科 武藤義和医師)
武藤医師は対策として、「生徒同士の距離を空け、生徒に対してテープやマーカーなどを使って、ベッドやその周辺の行動して良い範囲を明確に示すこと」「対応する教職員のマスクの着用はもちろん、生徒が触れたものや嘔吐物を消毒液を使いふき取ること」を挙げています
そして、この時期症状の見極めが難しいのが、新型コロナと熱中症です。
武藤医師も「初期症状は似ている」と話しますが…
「コロナウイスルと熱中症の違いは、熱中症は『ぼんやりしてくる』とか『39℃近くまでいきなり熱が上がる』ことが多い。新型コロナウイルスは『軽いせき』や『なんとなくだるい』『熱が上がってきた』など、少し時間をかけて悪くなってきます。スピード感が若干違うかなと思います」(武藤義和医師)
熱中症の場合は「吐き気」や「意識障害」「めまい」といった症状が出やすいのに対し、新型コロナの場合は、重症化してから出ることが多いということです。
学校の悩み② 職員室
教員ら大人に加え、生徒も出入りする職員室。ここも学校の中で「3密」になりやすい場所の1つです。
「この職員室は、かなり人と人の距離がとれているなと感じます。元は広い部屋ということもありますが、1人1人のスペースと距離があり換気もできているので、感染リスクは極めて低いと思います」(武藤義和医師)
その上で大事なのは「空気の流れを意識した換気」だといいます。
「学校に限らず、密な空間は構造上避けられないところはあると思います。右端と左端を開けることによって、一方通行の空気の流れを作る。これが換気に非常に有効だと言われています」(武藤義和医師)
一方、設置が増えている「アクリル板」については…
「マスクをしていることが感染のリスクを大きく減らすといわれている。アクリル板の追加効果はそこまではっきりしていない/なるべく大きな声を使わないこと。そして対面でもしっかりマスクを使うことがいいと思う。できれば2m開けてもらうのがいい」(武藤義和医師)
職員室などでのポイントは、「空気の流れを意識した換気」や「入退室時の手洗い・消毒」。
また、武藤医師は「打ち合わせや会議をする際は、マスクを着用した上で2m程度の距離をとってほしい」としています。
(8月24日 15:40~放送『アップ!』より)
投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2020-08-06 18:43:18 (2716 ヒット).
ある意味衝撃的なレポートがイギリスから出ていた。Pre-existing and de novo humoral immunity to SARS-CoV-2 in humans (新型コロナウイルス に対する既に存在していた、および初回の抗体応答)と題する論文で査読前のBioRxivに7/23に出されたものだ。2018年から2020年始めのまだ新型コロナが蔓延する前(つまり感染していない人)の血液を調べたところ、6%くらいに新型コロナのタンパク質、特にスパイク(ウイルスが細胞内に侵入するのに必要なウイルスの突起)のS2部分に反応する抗体を検出したと言う。スパイクはS1とS2二つのサブユニットからなり、S1よりもS2のほうが一般的な風邪コロナウイルスと似ている。特に無症状が多いことがよく知られている子供と青年にこのような抗体がよくみられ(6歳から16歳以下だとなんと60%以上。17歳以上は数%)、その抗体は試験管内での新型コロナの感染を抑制したのだそうだ。つまり子供や若者が重症化しないのはすでに持っている類縁コロナに対する抗体のせいなのかもしれないというわけ(だろう。全くもって読むのが困難な論文なのだ。感染者と非感染者、ウイルスの抗原など様々な項目が錯綜している。ただたぶん言いたいのはこういうことだろう)。
さらにこの見解を支持する2つの論文が相次いでScienceとNatureに出された。抗体産生と深く関係するヘルパーT細胞を解析したものだ。Scienceのほうは以前交差免疫を言い出したCellに出したグループからで、ヘルパーT細胞応答をスパイクとそれ以外の抗原にさらに細かく調べたもの。Natureのほうはスパイクタンパク質に特化して、いずれも新型コロナと類縁の風邪コロナの抗原ペプチドに対する応答を調べたものだ。これらも難しい論文で正確に全部を理解できたわけではないが、やはり非感染者は特にS2に応答するヘルパーT細胞を高率で持っている。さらに詳しく調べるとそれらのT細胞の一部にはすでに蔓延している風邪コロナの「対応する部位」に確実に反応するものがあることが示された。つまり類縁風邪コロナとの交差免疫応答が確実に証明された。実際にScienceの論文で使われた非感染者の血清のほとんどで風邪コロナに反応する抗体が検出されたと言う(図S1B)。またNatureでは重症者はこのようなスパイクに応答するT細胞を検出できなかったと記されている(ExtDataFig.3.)。もちろんこれらの風邪コロナに応答するT細胞が新型コロナに対して本当に保護作用があるのかどうかは、このようなT細胞を持つ人と持たない人を実際に感染させてみないとわからない(倫理的に不可能だろう)。だが、特に子供や青年は類縁の風邪コロナに対してT細胞やB細胞の記憶、あるいは抗体を持つので症状が軽いのではないか、と言う仮説はさらに大きな説得力を持つことになった。
しかし、イギリスの報告では17-36歳の抗体保有者は数%なので若者が軽症なことを説明できていないような気がする。さらにNatureはドイツ、Scienceはアメリカからの報告だ。依然としてアジアで死亡率が低い理由にはならないのではないか。まだ解かれていない謎は残っているように思う。
極端な言い方だが、もし類縁の風邪コロナに対する抗体が軽症になる原因ならば、抗体陽性のひとは新型を恐れる必要はなくなり遠慮なく経済活動に参加し、抗体のない人は生ワクチンとして風邪コロナを接種すればよいことになる(安全性は保証できないのでアイデアとして)。
ロックダウンや休校を行わなかったスウェーデンでは7月17日に「抗体獲得率は20%未満でもT細胞免疫は40%近くに上り、ほぼ集団免疫が獲得された」と発表したそうだ。T細胞免疫が何を意味するのか、実際の細かいデータは探しても見つからなかったが(これか?)、やはり経済を維持しながら早期の収束を目指すならスウェーデン式が最も現実的な方法のように思える。スウェーデンの対策と結果の詳細はこちらの報告に詳しい。
マスコミは「スウェーデンは失敗」とネガティブに捉えたいらしい。しかし感染者数と死亡者数の推移を見ると、規制を緩めると感染者が増える他の国(例えば日本やアメリカ)と比べると、方針に一貫性があり、感染者も死亡も減り続け、第二波第三波に対しても安心感があると言う意味でも成功していると言えるだろう。今朝も報道番組で「スウェーデンのやり方は失敗」と根拠も示さず否定する偉そうな評論家がいたが自分の目でデータを見ない人なのだろう。
今日は東京は462人陽性だという。PCRは数コピーのウイルスを検出してしまう。陽性者は感染者なのか?自然免疫ですぐに排除されるようなら感染とは言う必要はないかもしれない。最近抗体検査のことはさっぱり触れられなくなった。やはり抗体陽性率は低く感染しても抗体陽性にならない場合が多いのだろう。それだけ今回のウイルスは自然免疫か交差免疫で早期に排除されているということなのかもしれない。その場合は獲得免疫は得られず再度感染する可能性も否定できないが、訓練免疫説や交差免疫説が正しいならば再感染しにくくなる可能性は十分ある。自称専門家としてはRNAのコピー数や陰性化のスピードのデータも欲しい。
交差免疫説を支持する首都圏の抗体検査の結果がニュースになっていた。東京理科大学の村上先生らは抗体検査で感度をあげるとほぼすべての検体で抗体の反応があったという。なので首都圏ではほとんどのひとがすでにコロナか類縁コロナに感染していて免疫ができているとしている。よって高齢者やリスクの高い人たちに重点を置いた方策をとるべきだろうと言われている。もちろん感度を上げすぎると偽陽性が出るので注意しないといけないが。年齢別の陽性率も出していただけるとありがたいが。
今年の夏は、テレビもインターネットもSNSも、どこを向いてもコロナコロナと、夏バテならぬ、コロ夏バテしている方々も多くいらっしゃると思います。
ほんと、疲れますよね。今年の夏はほんとコロナツです……
そして、子どもが家庭内にいらっしゃる方、また、子どもに関わるお仕事に従事されている方々など『コロナと子ども』についてわからないことを抱えていらっしゃる方も多いと思います。
そんな方々に少しでも子どものコロナについて、今わかっていることを整理していただくために、子どものコロナについて気になる8つのポイントについて説明したいと思います。【寄稿・伊藤健太 / BuzzFeed Japan Medical】
1.子どものコロナ、大人より少なく、軽症です
新型コロナウイルス感染症はSARS-CoV-2というコロナウイルスによる感染症でCOronaVIus Diseases-2019を略してCOVID-19と言います。
まず、子どものCOVID-19はどんな病気か、大まかにまとめます。
子どものCOVID-19は、現時点でわかっていることとして、成人に比べ少なく、軽症です。
2020年8月上旬時点で米国小児科学会のサーベイランスデータによると、報告された全症例のうち子どもは約9%、州別では全入院の0.5~5.3%を占めるのみです。
2018年の米国の20歳未満人口が25%であることからも人口割合以上に感染者数が少ないことがわかります。
最も早く流行が拡大した中国でも同様で、0~19歳は全入院数の1.2%を占めるのみでした[1]。
日本でも同様に7月15日時点のデータですが、年齢が判明している感染者22140例中、10代以下は1064例で4.8%でした。
このように子どものCOVID-19は成人に比べて少ない傾向があります。
重症度も低いです。先に示した米国の報告でも感染した子どもの中で入院は0.3~8.9%にすぎません。
「入院=重症」でいいの ?
ただし、入院イコール重症と判断するのは注意が必要です。
例えば、日本ではCOVID-19は感染症法に基づく入院勧告・措置が行われる疾患であり(現在では施設入所や自宅療養が行われてはいますが)、どれだけ軽症でも入院していることが多々あります。入院率を重症度の参考にすることは難しいです。
また欧州で行われた多国間の追跡研究では子どもの感染者の入院率は62%です[2]。
隔離を目的に入院させる場合もありますので、入院だから重症というわけではありません。
そのため、重症度を検討した研究を見てみましょう。中国では酸素飽和度が92%未満(血液の酸素濃度が低い状態)である場合に重症と定義したところ5.9%が合致しました[1]。
7780人の小児について検討したシステマティックレビュー(今あるエビデンスを系統的に検索し、評価する研究手法)でも、重症患者が入院する集中治療室への入院歴は3.3%でした[3]。
日本では、診療の手引きに基づいた重症度分類による重症者割合は10代以下で0%です(50代1.9%、60代8.0%、70代6.4%、80代以上2.4%)。
このように成人に比べ子どものCOVID-19は軽症であることがわかると思います。
子どもにとって、インフルエンザより怖い病気?
次に他の感染症に比べた場合はどうでしょうか?
子どもの感染症といえばインフルエンザと思う方もいると思います。
では、インフルエンザとCOVID-19について比較してみましょう。
死亡には大きな差はないように見えます。
しかし、インフルエンザは小児人口の1割弱がかかっています。
一方、COVID-19は米国ほどの流行があっても、10万人当たり500人程度で、明らかに数が少ないです。インフルエンザは感染者数が多いため同じくらいの死亡率でも、総死亡者数はより大きいと思われます。
インフルエンザは比較的、サーベイランスデータが豊富ですし、皆さんもイメージがしやすい病気です。そのインフルエンザと比較してもとびぬけて子どものCOVID-19が重症ではないことがご理解いただけたでしょうか?
私は、子どものCOVID-19にまつわる様々な事柄を扱う上で、この
『子どものCOVID-19は多くはなく、重症度もとびぬけて高くない』
という前提を踏まえることが非常に重要だと思います。
長期的な後遺症などまだまだ分からないことは多くありますが、誤解を恐れずに言うならば、
『子どものCOVID-19は普通感冒(いわゆる風邪)やインフルエンザなどの一般的な感染症と大きく変わらない』
です。
そのうえで子どもの学校・幼稚園・保育園などの集団生活や、マスクの使用方法などの感染対策、COVID-19対策の子どもへの様々な影響などについてできる限りエビデンスに即して、わかりやすくお答えしていきたいと思います。
2.子どもがかかるとどんな症状があるの?
まず、重症化しないとはいえ、どのような症状があるのでしょうか? そして、どんな症状に気を付ければよいのでしょうか?
一般的な感染症と大きく変わらないと述べた理由の一つが、子どものCOVID-19の症状です。
米国疾病対策センター(CDC)が4月にまとめた報告では、小児COVID-19の症状は下の表にあるように、咳、熱などの症状が中心となっています。[6]
普通の風邪に比べて鼻汁を訴える人の数が少ないのは、特徴と言えば特徴かもしれません。
しかし、鼻汁があってもなくても、症状のみでCOVID-19か、普通の風邪か、また秋口から流行するインフルエンザと見分けがつくとは、私には到底言えません(インフルエンザも症状のみから診断することは難しいといわれています[7])。
さらに全く症状がない子どもが数%から3割弱いるといわれています。
子どものCOVID-19が咳や発熱などの症状だけで疑いを強めたり弱めたりできないならば、どうすればよいのでしょう。実際これはかなり難しい問題で、無理ゲーであるといわざるを得ないのが現状です。
そのような中、現状わかっている子どものCOVID-19の特徴として、家族内感染が多いことは一つの光明かもしれません。7780人の小児を検討した先のシステマティックレビューでも、およそ75%の患者は家族内で感染者と接していました[3]。
子どもがCOVID-19であるかどうか?を予測するのに、最も必要な情報は
家族内で感染者と接したかどうか
なのです。
3.重症化のサインは?
ただし、少ないとはいえ子どもが重症化することはゼロではありません。そのため、どんな形で重症化するか知っておくと少し安心だと思います。
子どもの重症COVID-19は大まかに2つの形があり得ます。
1.呼吸不全(呼吸の状態が悪い)
2.多臓器にわたる炎症
です。
まず、呼吸不全ですが、子どもでも呼吸状態が悪化して、酸素投与や人工呼吸器を必要とする症例は多くはないですが報告があります。7780人の検討では11.7%に呼吸困難(呼吸が苦しい)が現れ、人工呼吸器が0.54%に必要となっています[3]
肝は、呼吸が苦しいサインを見逃さないことです。
呼吸が苦しいサインとは
1.呼吸が早い
2.陥没呼吸(胸と腹の間やのどと胸の間が息を吸う時に凹む)
3.尾翼呼吸(鼻の穴をぴくぴくさせる)
4.うなるような呼吸(吐くときにンーンーいう)
などです。
50m走を走った後のような呼吸を、寝ているときや安静にしているときにしていたら要注意です。
ただし、このような呼吸はCOVID-19関係なく、常日頃から注意してほしい状態です。
次に、多臓器にわたる炎症を見てみましょう。
2020年5月くらいに欧米を中心にやや小学校低学年くらいの年齢の子どもに、川崎病に似た症状(発熱、皮疹、眼や口の粘膜が赤くはれるなど)を起こすCOVID-19患者が多く報告されるようになりました。
その中の10~20%で心臓機能が低下し、2~4%が死亡しています[8]。
多くの臓器にわたり炎症が起きているという意味でPediatric Inflammatory Multisystem Syndrome: PIMSやMultisystem Inflammatory Syndrome in Children: MIS-Cなどと呼ばれています。なぜか日本をはじめとする東アジアではまだ報告がありません。
この病状はCOVID-19流行から2~4週間以上経ってから起きることがわかっています[8]。
日本でこの病態が子どもの間で起きるかは未だ不明ですが、子どもの間でCOVID-19流行が起きた後1~2か月は注意が必要です。
COVID-19流行後に全身状態が悪い子ども(年齢中央値は8歳くらい[9, 10])がいたら要注意です。ただし、そんなに具合の悪い子どもがいたらCOVID-19関係なく対処が必要ですよね。
まとめるとCOVID-19の流行があろうがなかろうが、状態が悪いと思う子どもにはぜひ注意を向けてください。
4.どんな持病があったら特に警戒すべき?
どんな持病がある子どもは注意すべきか、というのも気にかかるところでしょう。
持病、いわゆる基礎疾患がある子どもを育てる保護者の方々は心配ですよね。子どものCOVID-19の35.6%程度に何らかの基礎疾患があったといわれています[3]。その内訳は免疫不全(ウイルスと戦う力が弱い)、呼吸器疾患(喘息など)が約半分を占めています。
ただし、繰り返しになりますが基本的に子どものCOVID-19は軽症でした。そのため感染者にどのような基礎疾患があるかを知るよりも、重症者にどのような特徴があったかが、どんな持病に注意が必要かの答えになるでしょう。
中国の研究では、まず1歳未満は重症化のリスクが高いことが示唆されました(重症者割合<1歳: 10.6 %, 1-5歳: 7.3%, 6-10歳: 4.2%, 11-15歳: 4.1%)[1]。
欧州多国間コホート研究でも1歳未満は集中治療室に入るリスクが高かったようです。[2]また、この研究では何かしらの基礎疾患がある方が集中治療室に入りやすく、特に慢性の呼吸器疾患、心臓疾患、悪性腫瘍、神経学的な異常がある子どもにリスクが高かったようです[2]。
米国NYの小児病院の検討では肥満が重症化リスクとして報告されています[11]。
全体的に子どもの重症患者の数は少ないため、まだまだ本当の重症化リスクはわかりません。全体の感染者・重症者の数が増えるほど、もう少し全貌が明らかになり、正確なことが言えるようになると思います。
ここでも重要な姿勢は持病があっても、なくても、重症化を疑う症状に注意することです。
5.二歳未満のマスク、やはり必要ないの?
「2歳未満にマスクが必要ない」と日本小児科学会が提言を出しています。この方針は今も変わらないのか、保護者の皆さんはきになるでしょう。
日本小児科学会は2020年6月11日に2歳未満の小児に対するマスク着用の危険性について考え方を示しました。(乳幼児のマスク着用の考え方)2歳未満は窒息のリスクがあるという米国CDCや米国小児科学会の提言を参考資料にしています。
これらの資料には特に根拠となる出典があるわけではありません。
実際に2歳未満の子どもがマスクによる窒息を起こしたエピソードがあるのか、私が調べた範囲ではありませんでした。
しかし、半ば常識的に考えて、2歳未満の乳幼児がマスクを適切に使用することは難しいと思います。一方で、人と2m離れることを実行することも年齢的に難しいため、COVID-19予防に関しては保護者と一蓮托生です。
保護者の方々が適切にCOVID-19予防に努めていただくことが2歳未満の子どもを守るためには重要です。
この記事を書き終えた2020年8月21日にWHOとUNICEFが小児のマスクに関したガイダンスを改訂しました。
その内容は
・5歳以下の子どもにはマスクの着用を義務付けるべきではない
・6~11歳の子どもにマスクを使用するかどうかの決定は
1.子どもが生活している場所での感染拡大があるか
2.子どもが安全かつ適切にマスクを扱えるか
3.学校や保育サービスなどで、マスクを手にしやすく、また交換・洗濯は可能か
4.大人がマスクの安全な着脱方法について十分に監督指導が可能か
5.学習や心理社会的発達に与える影響について、教師、両親、保護者、医療従事者と相談しているか
6.子どもが、高齢者やその他基礎疾患がある人など、重症化しやすいリスクのある人達と関連がある特定の環境にいるか
などを勘案して決定すべき
・12歳以上は成人と同様にマスク着用を推奨する
とあります。
・その他
1.発達障害やその他基礎疾患などある子どもたちへのマスクの使用は義務づけるべきでない(子どもの親、保護者、教育者、医療提供者がケースバイケースで評価すべき)
2.重度の発達障害や、呼吸器疾患がある子どもはマスク着用が困難であり、どのような場合にも着用を義務づけるべきではない
3.嚢胞線維症・がんなどの重症化リスクが高い基礎疾患のある子どもは、主治医と相談の上、マスクを着用すべきである
なども推奨されています。
5歳未満の推奨を義務づけるべきでないとした根拠ですが、インフルエンザウイルス感染症などその他の呼吸器ウイルスに対する子どものマスクに関する有効性などを検討した研究を引用しています。
まとめると
・小学校低学年(6~9歳)はそれ以上に比べてマスクの使用が効果的でないこと
・5~11歳までのマスクの効果は12歳以上に比べて低いこと
・15歳未満の子どもには一貫してマスクを適切に着用できないこと
などが言われています。
米国や日本の小児科学会の推奨とは異なっていて悩ましいですね。
私個人としては、現時点で
1.子どものマスク着用とCOVID-19感染拡大の関連は、まだまだ分かっていないことが多いということ
2.子どものマスク着用には限界があるということを大人が理解すること
3.子どもに明らかにデメリットになりそうな状況を排除していくこと
などに注意しながら、人と近い距離でしゃべるシーンではマスクを着用すればよいと思っています。
保育園・幼稚園・学校などの集団生活、危なくないの?
「学校・幼稚園・保育園などの集団生活をさせても大丈夫か?」というのも、よく聞かれる質問です。
この問題を考えるうえで、流行拡大に対する集団生活の影響を考える必要があります。集団生活をやめることで感染リスクが下げられるかを考えてみます。
インフルエンザウイルス感染症が学校で流行すると学級閉鎖や時に学校閉鎖が行われることがありますね。子どもが感染流行の中心となるインフルエンザウイルス感染症に対してこの方法は一定の効果があります。
具体的には流行のピークを下げ、遅らせる効果があることがわかっています。流行の初期に実施した方が、効果が高く、実施期間を長くするほど、ピークを遅らせることができます[12]
どうやらインフルエンザウイルス感染症に関しては集団生活をやめることで感染症流行拡大を抑制する効果はあるようです。
一方で、すべての薬に副作用があるように、学校閉鎖にも副作用があります。
学校閉鎖で休むのは子どもだけではなく、面倒を見るために、保護者も仕事を休む必要があります。すると同時に経済的活動にも影響が出得るので、米国や英国で2~3か月閉鎖した場合にGDPが数%下がるという試算がされているほどです。[13, 14]
まさに感染対策と経済活動の天秤のバランス問題ですね。
さて、コロナウイルス感染症に関してはどうでしょうか?
SARS(重症急性呼吸器症候群)の学校流行は稀であるといわれています[15]。そのため、学校閉鎖は効果が無いようです[16]。
ではCOVID-19に関してはどうでしょうか?
COVID-19は学校での流行は世界中で報告がありますが、学校が流行の大きな中心になることは少ないようです。日本でも7月31日までの情報では小中高校生の感染者242人中学校内感染といわれているのは5%の11人にすぎませんでした。
理由はよくわかっていませんが、学校や幼稚園が流行の中心になるインフルエンザウイルス感染症などと比べると明らかに様子が違いそうです。
そのため、COVID-19に対する学校閉鎖の流行抑制効果は、感染者隔離やソーシャルディスタンスをとることなど他の方法に比べて低いという試算がパンデミック初期に英国で行われています。
しかし、米国のように流行がかなり拡大している国では、州レベルで実施した学校閉鎖にCOVID-19拡大抑制効果があるという報告も出てきています[17](インフルエンザウイルス感染症と同様に流行早期に実行した方が、効果が高いようです)米国では学校再開をどのように行っていくか日々議論が続いています。
まとめますと、現状日本のCOVID-19感染症流行抑制に学校閉鎖に効果があるかどうかはわかりません。
おそらく、流行状況など様々な要素が関わりますし、仮に効果があったとしても、学校閉鎖が子どもに与える負の側面についてもバランスが取れているか考慮すべきです。
私は現時点では、文部科学省の衛生管理マニュアルを学校側が遵守し、各家庭が新たな生活様式を守りながらであれば、子どもの集団生活は可能であると考えています。
7.ウィズコロナの生活が子どものメンタルの与える影響は?
子ども同士距離を置いて生活することに、発達や精神面に負の影響はないのか?
我々小児科医も非常に懸念している案件です。
中国武漢市で子どもが自宅隔離されていた時の精神的影響を評価したアンケート調査研究がありますが、抑うつ状態が22.6%、不安症状が18.9%に見られました[18]。
日本でも国立成育医療研究センターがコロナ×こどもアンケートを実施しており、今の状況で、72%が何らかのストレス反応を示していることがわかっています。
具体的にどのような負の影響が出てくるかは今後の状況を注意してみていく必要があると思います。
このアンケートで私が重要であると思っている点ですが、子どもの意見がコロナ対策に反映されているか?という質問に対し、小学校低学年の15%、小学校高学年の25%、中高生の42%が『あまりそうは思わない』または『全くそうは思わない』と答えています。
大人もずっと『コロナだからしょうがない』と言い続け、戦っていると思います。私もそうです。
しかしその状況は子どもも同じです。そして、彼らの声は社会に届きにくいということを、今一度確認しておく必要があると思います。
私は、子どもにCOVID-19について、わかりやすく説明することが必要だと思います。例えば、なぜマスクをするのかという子どもの質問に『コロナだからしょうがない』ではなく、『人と近くで話す場合、マスクをすると感染を予防できるからだよ』というような風にです。
また、COVID-19流行により会えなくなってしまった親戚や友人もいると思います。そのような人と連絡を取り合うと良いと思います。
あと最も重要なことですが、もし、子どもが『自分がコロナにかかったらで死んじゃうの?』という恐怖や不安を抱えていたら、『子どもはほとんど大丈夫だよ。』というメッセージを伝えてよいと思います。
8.子どもと高齢者、引き離した方がいいの?
共働きの家庭などでは、祖父母に子どもの世話をしてもらうこともあるかもしれません。これはリスクが高い行為なのでしょうか?
高齢者は、COVID-19の重症化リスクが高いことは皆さんご存じだと思います。核家族でない家庭内で3世代、時には4世代が一緒に住んでいる場合、子どもと高齢者の祖父母、曽祖父母との接触は避けられません。当然お世話をすることもあると思います。
それが危険なことかどうかを考えるうえで、私はこの質問を
「子どもが、家庭内のCOVID-19拡大の中心になるか?」
という風に言い換えたいと思います。
様々な検討がされていますが、韓国で行われた60000人の接触者(5700人の発症者)について疫学調査を行った研究を紹介します[19]。
家庭内の感染率は11.8%です。そして、子どもが感染源であった場合の解釈が難しいのですが、0~9歳では5.3%で最もリスクが低いです。しかし、10~19歳では逆に最も高くなっています(18.6%)。
これは学校閉鎖中のデータであり、10~19歳でなぜ感染が多くなったか?(逆に0-9歳でなぜ感染が少なかったか?)に対する答えはわかりません。
米国の研究で0~5歳の軽症のCOVID-19患者では、鼻腔内のウイルス量はそれ以上の年齢層に比べて10~100倍多いこともわかってきており[20]、この疫学調査の結果とも乖離しています。
基本的には家庭内で可能な感染対策を行うことが重要であると思います。
しかし、家庭内や、子どもが通う集団生活内で流行が起きた場合は、積極的に高齢者の方との接触をすることは、私は推奨しません。
終わりに
繰り返しになりますが、子どものCOVID-19は今のところ軽症で少ないです。保護者の皆様はまずそのことをご自分のお子さんに伝えてあげてください。
また、COVID-19流行に対する様々な対策が行われていますし、今後も追加されることがあると思います。
いきなり休校になったり、夏休みが短くなったり、親戚に会えなくなったり、催し物がなくなったり…。子ども達は我々が思っている以上に多くの犠牲を払っています。そのことを大人は自覚しておきたいですね。
私は、小児科医として、感染症を専門にする医師として、今後も小児のCOVID-19に関する新たな情報にアンテナを張り、皆様にわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
この記事は、Yahoo!ニュースの記事に寄せられた声を参考に取材・制作しました(BuzzFeed JapanとYahoo!ニュースの共同企画です)。
※この記事のコメント欄に、さらに知りたいことや専門家に聞いてみたいことなどがあればぜひお書きください。次の記事作成のヒントにさせていただきます。
【伊藤健太(いとう・けんた)】あいち小児医療保健総合センター総合診療科医長
2007年3月、鹿児島大学医学部卒業。名古屋第二赤十字病院、国立成育医療研究センター感染症科、東京都立小児総合医療センター感染症科を経て、2016年4月より現職。著書に『小児感染症のトリセツREMAKE 』(金原出版)
【参考文献】
1. Dong Y, Mo X, Hu Y, et al. Epidemiology of COVID-19 Among Children in China. Pediatrics 2020; 145(6): e20200702.
2. Goetzinger F, Santiago-Garciea B, Noguera-Juliaen A, et al. COVID-19 in children and adolescents in Europe: a multinational, multicentre cohort study. The Lancet Child & Adolescent Health 2020.
3. Hoang A, Chorath K, Moreira A, et al. COVID-19 in 7780 pediatric patients: A systematic review. EClinicalMedicine 2020; 24: 100433.
4. Shang M, Blanton L, Brammer L, Olsen SJ, Fry AM. Influenza-Associated Pediatric Deaths in the United States, 2010-2016. Pediatrics 2018; 141(4): e20172918.
5. Tokars JI, Olsen SJ, Reed C. Seasonal Incidence of Symptomatic Influenza in the United States. Clinical Infectious Diseases 2018; 66(10): 1511-8.
6. Bialek S, Gierke R, Hughes M, McNamara LA, Pilishvili T, Skoff T. Coronavirus Disease 2019 in Children - United States, February 12-April 2, 2020. MMWR Morbidity and Mortality Weekly Report 2020; 69(14): 422-6.
7. Peltola V, Reunanen T, Ziegler T, Silvennoinen H, Heikkinen T. Accuracy of clinical diagnosis of influenza in outpatient children. Clin Infect Dis 2005; 41(8): 1198-200.
8. Levin M. Childhood Multisystem Inflammatory Syndrome - A New Challenge in the Pandemic. N Engl J Med 2020; 383(4): 393-5.
9. Belot A, Antona D, Renolleau S, et al. SARS-CoV-2-related paediatric inflammatory multisystem syndrome, an epidemiological study, France, 1 March to 17 May 2020. Euro Surveill 2020; 25(22).
10. Feldstein LR, Rose EB, Horwitz SM, et al. Multisystem Inflammatory Syndrome in U.S. Children and Adolescents. N Engl J Med 2020; 383(4): 334-46.
11. Zachariah P, Johnson CL, Halabi KC, et al. Epidemiology, Clinical Features, and Disease Severity in Patients With Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in a Children’s Hospital in New York City, New York. JAMA Pediatrics 2020: e202430.
夏休み中も部活動などで登校する子どもがいる中、学校ではどのような対策をとればいいのか、感染症の専門医に学校で話を聞きました。
公立陶生病院の感染症の専門医、武藤義和 医師とともに愛知県江南市にある「滝学園」を訪れ、ボールや本など、学校の“共有物”の取り扱い方法について話を聞きました。
子どもが共有する「ボール」消毒はどのくらい必要?
「部活動などが終わった後の消毒作業や、使ったボールの消毒とかに時間がかかり大変なんですが…」(加藤晃子 養護教諭)
「ボールは確かに皆で共有しているものなので、消毒に値するかもしれないが、1日1回でいいと思います」
「物についているウイルスは、鉄であれば1日もあれば消えてしまいます。その日、部活で使ったものは、次の日の同じぐらいの時間には消えています。そのため、自分の手を洗う事でリセットしたい」(武藤 医師)
生徒の手洗いの徹底こそ重要と強調しました。
“拭き取り”のポイント
その上で、物を消毒する際は、消毒液をかけるだけでは表面のウイルスを取り除くことができないので、しっかりと拭き取ることが大切と話します。
また、空間への消毒液の噴霧は「科学的な根拠も乏しく、むしろ吸い込むことで健康被害の報告もあるのでやめて欲しい」と呼びかけています。
「消毒剤の種類」もポイント
武藤医師によると、濃度70~80%の消毒用エタノール、もしくは、次亜塩素酸ナトリウムが好ましいということです。
ただ、手元にない場合は、一部の市販の食器洗い洗剤を薄めたものでも効果が認められていて、代用は可能だということです。
図書室にある本も“共有物”だけど…紙って消毒できる?
消毒は、共有物である本を扱う、図書室でも悩みの種になっています。
これまで、エタノール消毒でふき取っていたといいます。
「本は人が触るものなので消毒したくなるが、表紙だけでなくページ全部を消毒してようやく消毒となるので、実際は不可能だと思います。そう考えると、触った人の手をしっかり消毒することが大事ということになりますよね」(武藤 医師)
武藤医師は、図書室に入る前と後に、生徒一人ひとりが手洗いする重要性を改めて指摘しました。
「紙についたウイルスは、24時間くらいで死ぬと言われています。1日で感染力は極めて下がると思うので、どうしても心配なら、1日置いておくだけでも十分に効果があると考えられます」(武藤 医師)
“使い捨て手袋”は使い方に注意?
一方、使い捨ての手袋については、注意が必要だと強調します。
「手袋はウイルスが残りやすい。手よりも残りやすいと言われています」
「自分がウイルスの媒介者になってしまう、自分が触ったものを次にうつしてしまう。そういった意味では推奨されないと言われますし、手袋は使い続けると見えない穴が開いてしまいます」(武藤 医師)
実際、医療従事者が手袋をしているのは、患者と直に接している短い間だけ。
患者ごとに手袋を変えるほか、手袋をしたまま歩き回ったり、周りの物に触ったりはしないといいます。
「手袋をつけ続ける行為は、医療者は全くしていないし、1人の患者さんに1つの手袋が基本。その手袋で自分は守られるかもしれない、しかし、その手袋で頭をかいたり、マスクを引っ張ったりするかもしれません」
「手を洗うことの方が、圧倒的に効果があり、付けっぱなしの手袋にはメリットはないと思います」(武藤 医師)
共有物が多い場所での感染症対策のポイント
厚労省などによると、紙や段ボール、鉄についたウイルスは、最大24時間で、プラスチックは最大72時間で死ぬので、モノの消毒にとらわれすぎず、共有物を使用する前と後に、生徒の手洗いを徹底。
手袋については、ウイルスが付着している物の表面に触れた後、別の物に触ると、ウイルスをまき散らすことになるので基本的には使わず、手の消毒や手洗いに重きを置いてほしいとしています。
(8月4日 15:40~放送『アップ!』より)
コロナ、子どもは重症化しにくく 細胞の仕組みにカギ https://t.co/xU0qPgzveH
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) July 9, 2020
2020年2月14日
更新:2020年2月28日(3月16日項目追加)
更新:2020年3月24日
更新:2020年4月20日
更新:2020年5月13日
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
新型コロナウイルス感染症について、小児における症状や注意点に関するQ&Aを作成いたしました。ご参考になれば幸いです(2020年5月13日:2020年5月1日現在版を掲載しました)。
厚生労働省「国民の皆様へ(新型コロナウイルス感染症)」「新型コロナウイルスに関するQ&A」. ○日本小児科 ... 子どもの患者のほとんどは家庭内において親から感染しています。 保護者が感染しない、感染した人から1-2m以上の距離を保つ. ことがお子さんの ...
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