【『哲仁王后』の歴史解説】王宮で暗躍する大妃は何を狙っているのか
朝鮮王朝において大妃とは、国王の母を意味している。とはいえ、趙大妃と哲宗(チョルジョン)は血のつながりがない。哲宗が王族の末端から養子で国王になったからだ。
趙大妃はもともと哲宗の前の国王だった憲宗(ホンジョン)の実母だった。しかし、1849年に憲宗が22歳で亡くなって息子もいなかったので、養子を受け入れて哲宗として即位させたのである。
そして、大妃といえば王族の中で絶対的な権力を維持できるのだが、趙大妃の場合はそうもいかなかった。もっと長老の大王大妃がいたからだ。
大王大妃は国王の祖母を意味しており、ドラマではペ・ジョンオクが演じている。彼女はもともと憲宗の祖母であり、趙大妃とは姑と嫁の関係にある。
しかも、実家の一族がまるで違う。大王大妃は最大の勢力を誇っていた安東(アンドン)・金(キム)氏の出身で、大妃は対抗勢力の豊壌(プンヤン)・趙(チョ)氏の出身だ。
権力をふるう大王大妃
この両一族は仲が悪い。それによって、『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』でも大王大妃と大妃が極端にいがみあっているのである。
いわば、2人の王族女性は出身一族の代理戦争を演じているというわけだ。
趙大妃としては、嫁の立場ながら姑の大王大妃をなんとか陥れないといけない。そうしなければ、絶大な権力をふるう大王大妃によって潰されるという危機感を強く持っていた。
そこで、大妃は策を弄して様々な工作を行なっていく。それに、シン・ヘソンが演じる哲仁(チョリン)王后は巻き込まれている。なぜなら、哲仁王后は大王大妃と同じ安東・金氏の一族の出身だからである。
大妃としては、目上の大王大妃を直接狙うわけにはいかない。それで、自分の嫁の立場になっている哲仁王后を標的にしているのだ。
果たして、哲仁王后は大妃の陰謀から逃れられるのか。そこも、ドラマの今後の見どころだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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