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2010.04.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類



ブルーレイ内蔵の機種にすることは最初から決めていた。いくつかの電気店や量販店を見て回って、最終的にはシャープ製品に決めた。

車の時もそうだが、大きな買い物の値段の最終折衝はかみさんがする。なぜなら私より遙かに折衝技術が上だからである。
かみさんと私の根本的な違いは、その態度である。
かみさんは値段次第では「買わなくてもよい」と言う表情を固持しながら折衝するのに反し、私はひたすら値段に関係なくそれが「欲しい」という締まりのない顔を前面にさらけ出す。相手は当然、これは与し易い相手と見て値段通りに売ろうとする。

ヤマダ電機では、かみさんはまず値札に付いていた値段からいくら値引くのかという質問から始まった。段々煮詰まり、あと5,000円の値引きが叶えば、かみさんはOKを出すところまで来ていた。しかし店員はそれになかなか踏み切らなかった。
結局、かみさんもこれ以上の折衝は無理と悟ったようだった。
「それじゃ、もう一日考えさせて貰います」と店員さんの名詞を貰って帰宅の途についた。

翌日、この値段で買い求める決心をして、ヤマダ電機に向かった。

ところが電機製品が主体でないこのショップの棚に、奇しくもこれから買いに行こうとしているのと同じ機種のシャープのテレビが陳列してあるではないか。
おまけになんと値段が、前日ヤマダ電機で折衝の結果決まった値段よりさらに6,000円も安く付いている。それはまさに、前日かみさんが折衝でやりとりした値段より更に1,000円も安い。違うと云えば、ヤマダ電機は配送料込みであったが、ここは「配送料設置料は別途いただきます」とあったことだ。

かみさんは店員さんに担当者から話しを聞きたいと責任者を呼んで貰った。
「配送料はいくらなんですか」とかみさん。
「4,000円かかります」と担当者。それを負担してもヤマダ電機よりは安いではないかと思ったが、かみさんはまだ微動だにしなかった。
その回答がかみさんの気に入らなかったと判断したのか、テレビの担当者は
「配送料と設置料は配送業者に直接支払って貰うことになりますが、その分この値段から差し引かせて頂きますが如何でしょうか」と担当者がかみさんの顔をのぞき込んだ。
これでヤマダ電機が渋った値引き分は充分獲得できたことになる。
かみさんは、やおら「それでは頂きます」と笑顔で返事を返し、見事商談は成立した。

私の生家は下駄の卸と小売店を営んでいた。店舗と住まいを兼ねていたので、子供の頃、ときおりお店の手伝いをしなければならなかった。
手伝うことは別にイヤなことではなかったが、値引きは厳禁だったので、お客さんから「値段をまけてくれ」と言われると、それを上手に断ることができなくて、逃げ出したい思いをしたものである。

なぜなら、多少の掛け値はあっても、限りなく卸値に近い値段をそのまま小売値に設定し、自分の店の値札は九州一円のどの店にも真似できない「正札」であると云う自負をもって商いをしていたからである。

のちに三越の前身である「越後屋」が江戸時代に「現金掛け値なし」の正札販売を始めた元祖であることを知ったが、親父がこの商法に学んで真似たのかどうかは確かめる機会もないままに他界してしまった。
しかし値札の裏には、必ずその仕入原価が符丁で記入してあったので、どれくらいの掛け値がついているかということは、私にも理解できた。
その符丁は「天地のおんじひにて」と云う言葉を当ててあった。左から123456789である。
だから裏に「天ん」と書いてあれば、この商品の仕入れ値は\150だったということになる。欲得ずくではなく「天地の御慈悲にて」商いをさせて頂いていると云う親父の感謝の気持ちを彷彿とさせる符丁であった。


それとも、かみさんほどに値切る勇気がないことを、あれこれご託を並べて言い訳しているにすぎないのだろうか。どちらかと云えばこちらの方が正解なのかも知れない。





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Last updated  2010.04.13 21:49:46
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