2004.12.08
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彼女は中学校に上がる時に転校して行った。
春美ちゃんのお母さんがお別れ会にクラスの数名を招待してくれて
わたしもその中の一人だった。

お別れ会の時に春美ちゃんのお母さんが随分泣いていたのを今でも覚えている。
わたしは春美ちゃんより泣いているお母さんを少し不思議な気持ちで見ていた。

小学校の卒業式の日 当時わたしの小学校では中学校の制服を着て
卒業式に出るのが普通だった。
その日春美ちゃんは卒業生二百数十名中でたった一人チョゴリを着て出席。
初めて春美ちゃんがわたし達と同じ境遇ではない事に気付いた瞬間だった。
春美ちゃんは在日と呼ばれる人だった。
お母さんは日本人でお父さんは北朝鮮の人。国籍は北朝鮮。
朝鮮学校に進級する為の転校とか。

卒業式の後に担任の先生が言った。
「春美ちゃんは卒業すると北朝鮮に帰らなければいけません。
北朝鮮と言う国は国交が無いので二度と皆さんと会うことは出来ません。」と。

わたしは「二度と会えない等と言う事を先生が言ってもいいのか・・・
誰にも未来なんて分からないのに・・」そう思いながら先生の話を聞いていた。
国交が無いという事の意味が分かっていなかった。

春美ちゃんはたった一人チョゴリを着て卒業式に出たのに
その姿はとても誇らしく見えた。
その誇らしい姿もまた不思議に映ったのを記憶している。

後になって春美ちゃんのお母さんの涙のわけを知った。
お母さん自信も二度と会えないかも知れない・・・と言う悲しい現実が待っているのだと。

春美ちゃんは新しい住所の書いた紙をわたしにくれた。
彼女の名前は「金森春美」そこに書いてあった名前は忘れもしない「李 春美(リ チュンミ)」。
わたしがたった一度書いた手紙は彼女の手に渡ったのだろうか。
彼女の住所を無くしてから30年以上の歳月が流れた。

拉致問題が表面化してから いっそう彼女の事を思い出すようになった。






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最終更新日  2004.12.09 07:44:11
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