真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2024年07月20日
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今回の旅路では、その島根半島の東端にある美保関港の港湾近郊に鎮座する「美保神社」(松江市美保関町)に参拝する機会があった。その参拝時に当社を撮影した画像が下である。

そして、出雲地域全体の地図から見た「美保神社」の鎮座する場所は、末尾に掲載した地図の右上となっている。

当社は何度か参拝しているのだが、今回の”久しぶりの参拝”は快晴にも恵まれ、清々しい一時であった。



さて「美保神社」の祭神は、「美保津姫命(ミホツヒメ)」と「事代主神(コトシロヌシ)」の二柱となっている。ところが、”出雲国風土記”や”出雲口伝”等を参照すると、当社の祭神(上記)に関しては、その複雑な歴史的背景を考えさせられてしまうのであった。

以上のことを含めた様々な経緯があり、当社を参拝する境内において、私の心中には「御穂須須美命(ミホススミ)」が浮かんでいた。

それはおそらく、今年の元旦に起きた「能登半島地震」の震源地域に、この「ミホススミ」を主祭神として祀る「須須神社 奥宮」が鎮座しており、今回の地震の影響で倒壊に近い社殿の惨状を画像で見たからであろうと、今はそのように感じることもできる。

実は「美保神社」の参拝から約二週間後に、上記の能登半島は最東北端にある”山伏山”の山頂に鎮座する「須須神社 奥宮」(石川県珠洲市狼煙町)を参拝することになるのだが、もちろんこのことは「美保神社」への参拝時には全く考えていなかった。

ちなみに、古代出雲の歴史に詳しい”出雲国風土記”は、上記の「ミホススミ」を当社の祭神としており、当地の地名「美保」は祭神名に由来すると書かれている。



一般的には「大国主」と「沼川姫(ヌナカワヒメ)」との間に生まれた”御子”となっているのだが、 ”出雲口伝”では〔東出雲王国〕の第八代 少名彦(副王)の「八重波津身(ヤエハツミ)= 事代主(コトシロヌシ)」と越国の「ヌナカワヒメ」との間に生まれた ”御子”ということである。 ​​

実は「事代主( コトシロヌシ) 」を祀る「美保神社」は、全国に約3,400社ある「恵比須(エビス)」を祭神として祀る神社の〔総本宮〕とされている。

そこで、なぜ「事代主」が「恵比須」なのかといえば・・・一般に「恵比須・大黒」と言われるが、そもそもは出雲大社の「大国主」の神名にある「大国」が「だいこく」と読めることから、”七福神”の一人である〈大黒〉と呼ばれるようになり、それに対して釣り好きだった「事代主」は、”七福神”の一人で…蝦(エビ)で鯛(タイ)を釣る…〈恵比須〉と呼ばれるようになったということである。


さらに”出雲口伝”によれば、古代の出雲王国において”ある時期”に、〔西出雲王国〕の第八代 大名持(オオナモチ/主王)である「大国主(オオクニヌシ)」と、〔東出雲王国〕の第八代 少名彦(スクナヒコ/副王)の「事代主(コトシロヌシ)」の、東と西の出雲王国全体を治めていた(上記の)「二人の王」が、古代出雲の風習では”有り得ない謀略”により同時期に暗殺される事件が起きたという伝承がある。

これによって、副王「コトシロヌシ」の別の后である「活玉依姫(イクタマヨリヒメ)」とその子供達は、島根の出雲国から故郷の摂津国三島(大阪府高槻市)に帰り、そこで成長した息子の「奇日方(クシヒカタ)」が大和に新王国を造ることを決意。そうして大和盆地の南部に移住して”国造り”を始め、大和の「三輪山」を神体山とする「大神(おおみわ)神社」の初代祭祀者となった子供の「 蹈韛五十鈴媛( タタライスズヒメ)」は、当社に父親の「コトシロヌシ」を「大物主(おおものぬし)大神」として祀ったのであった。


故に”
出雲口伝”によると、大和国一之宮 「大神神社」の主祭神「大物主大神」とは、〔東出雲王国〕第八代 少名彦(副王)の「事代主(コトシロヌシ)」になるのである。


ところで、この「美保神社」の”大社造の左右二殿連棟”という特殊な形式の本殿は、「美保造」または「比翼大社造」といわれ、〔国の重要文化財〕に指定されている。確かに「大社造」ではあるのだが、他に類を見ない社殿の「造(つくり)」である。


一般に社殿の屋根に乗る「千木」については、「縦削ぎ」の方に”男神”を祀り、 「横削ぎ」の方に”女神”を祀るとされているが、本来は”出雲系の社”が 「縦削ぎ」であり、”渡来系物部族の社”が「横削ぎ」であったとのことだ。

​伝承によると、「美保神社」に
「縦削ぎ」と「横削ぎ」の社が併存しているのは、先住出雲族と渡来系の九州・物部族が、永い恩讐の果てにその確執を乗り越えて、”仲良く泰平を築こう”との思いを込めて、出雲王族の子孫が建立したからだということである。


特に今回の参拝においては、「美保神社」の境外末社で「タケミナカタ」を祀る「客社」や、「ミホススミ」と縁の深い「幸魂神社」を参拝することができたのは有意義であった。



さて上の画像は、鳥居の神額に書かれた社名が読み取りにくいのだが、鳥居前から随神門を経て神殿の方向へ真っすぐに向かう「朝山神社」(出雲市朝山町)の参道を撮影したものである。



次に上の画像は、参道を構成する一区画の内側に計八枚の石畳を敷き詰め、このパターンを連続的に並べ参道を形成する造形に心を惹かれて撮影したものである。

古代出雲族は「八」を吉数としたことから、これを一人一人の参拝者が有り難く踏み締めて歩くための参道として具現化したであろう”設計者の心情”が読み取れて、そこはかとない感動を覚えたのであった。



上の画像に映る由緒にあるように、祭神の神名は「眞玉著玉之邑日女命」(マタマツクタマノムラヒメ)とある。

私としては今回の初参拝で、はじめて知った神名であったが、かつて自分が”綿棒で立体を作る行為”を「玉造(たまつくり)」と表現したり、ペンネームを「matama」としたことがあったので、私的には絶妙な”馴染み”を感じる神名であった。

また、加えて当祭神は、「神魂命」(カミムスヒノミコト)の娘神とされ、大己貴命(オオムナチノミコト)の妻ということである。



当社に参拝することになった動機は、出雲の「神在月」といえば旧暦十月の”一ヶ月の祭事期間”を意味し、「出雲大社」では毎年の旧暦十月十一日から一週間の祭事が始まるわけだが、普通に考えても”あってしかるべき”と思われる「神在月」の初日である十月一日からの祭事について、これに関する情報が何故か得られなかったことや、この件について調べてみる機会を逸してきたこともあった。

それが今回の出雲行脚の過程で、この「朝山神社」の
『神在祭』における祭事が、旧暦十月一日から始まることを知る運びとなり、出雲地域に移住して間もない知人を誘い、当社への初めての参拝となった。



そこで以下、「朝山神社」での祭事を含む『神在祭』の日程等について、知り得たことを記しておこう。


・・・全国の神社から出雲に集った”八百万の神々”は、まず十月一日から十日まで「朝山神社」に滞在され、ついで十一日から十七日までは「出雲大社」に滞在され、それから十八日から二十五日までは「佐太神社」に滞在され、最終日の二十六日に「
万九千 (まんくせん)神社」において諸神事を終了し、最後の「 神等去出 (カラサデ)祭」を斎行した夕刻に、それぞれ全国各地の神社へ向ってお立ちになる。・・・

この『神在祭』における旧暦十月一日から十日までの祭事は、現在でも「朝山神社」において厳然と斎行されているとのことである。(上の画像は「朝山神社」の拝殿を撮影したもの)




次に上の画像は、当社拝殿の出入口にある扉の上方を撮影したもので、そこに映っている”神額”の右側や扉の両脇に確認できる当社の”神紋”は、「百合の葉紋」ということである。

とても珍しい御紋ということだが、確かにこの御紋を見るのは私も初めてであり、まるで脳裏に焼き付くかのように印象に残った。





当社神殿の左横から少し上り坂の道を進むと、展望所へ誘う看板があったので登ってみると、その高台に素晴らしい展望が待ち受けていた。



この景色を見ていると、当日記の冒頭に掲載した画像の、「八雲山」山頂から撮影した” 島根半島の東部方面から 日本海に突き出た半島の東端(地蔵埼)”の画像と重なってきて、神妙な心地になるのであった。


当社の参拝を終えて、同行した出雲の知人を車に乗せて走っていると、知人から…「ベシカパイシス」ってご存知ですか?…との問い掛けがあり、私もすぐに当社の”神紋”がキッカケだと分かったので、…一般に〔二つの円〕を接合した”平面図形”として描かれたものが多いけれど、かつて〔二つの立体〕を組み合わせた”立体構造”として作ったことがありますよ。…と答えて、知人のご自宅に到着後に”以下の関連記事”を知人のSNSに電送し、早速ご自宅の玄関先にあるテーブルで「綿棒工作」が始まるのであった。

そんな経緯で、私なりの発想による”スケルトン立体”の「ベシカパイシス」を、現地で制作・披露する運びとなったことに、ある種の必然性を感じていたのであった。

※関連記事・・・​ ベシカパイシス・・・



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最終更新日  2024年07月23日 06時58分01秒


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