水彩画紀行  スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

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水彩画人 俊介

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カテゴリ: 絵日記三昧




如月と言う語感には冷ややかで、

睦月ほどのにぎやかさもなく、

弥生のような春の気配もない感じが伴う。

どっちつかずの、とまどいの月。

そんな感覚にぴったりの句がある。


  如月の 人の華燭の 銀のさじ


華燭の宴に招かれて、

華やかな宴の雰囲気にとけこめずにいる

ひややかな気持ち。

高価な銀のさじの冷たい感覚が如月にぴったり。

創った人の名を思い出せないけど、

こんな美しい冷ややかな句を作る女性は、

とても鋭敏な豊かな感性で日々を生きているのだろう。

ところで、先月、苗場に初めて行った。

スキー場は、やや無理に作ったよう。

変化に富みすぎて

滑りやすいところが少なかったけど。

ドラゴンドラと言う長いゴンドラに乗っていった山頂の

景色はとても素晴らしかった。

素晴らしいはず。

いつも登っていた苗場山頂への美しい登山ルートの

美しい紅葉樹林を根こそぎ、なぎ倒して作ったスキー場。

いつの間に誰が、こんな自然破壊を許したのだろうか。

ぶなやくぬぎの自然林を徹底的に破壊尽くしたスキー場だった。

和田小屋を囲むうっそうとした紅葉の樹林が影も形もなくなくなっていた。


そして、さびしく、かつ美しい雪の壁があった。


苗場の宿は破壊の犯人、西武系列のホテルを嫌い、

昔は大名が泊まった浅貝の旅籠屋、「本陣」

実は、日本に帰って心底古来の日本を感じる小説が読みたくなっていた。

「山からの絵本」という素晴らしい画文集の名作をなした辻まこと氏は

お父さんだったアナーキストの先鋭的理論家辻じゅん氏と巴里にいたとき、

ふたりで中里介山の「大菩薩峠」を読みふけったと言う。

私も、いま全く同じような心境にある。

今、たそがれ清兵衛が話題になっているけど、

藤沢周平の名作は10年前にほとんど読んでいた。

藤沢周平の小説の落ちはいつもほっと心に灯が灯る。

とてもあたたかく優しい。

オーヘンリーの短編集ににている。


森鴎外の高瀬舟のように非情な突き放した眼ではない。

今は、もっと過酷な、あるシリーズを読み漁っている。

このシリーズの短編の落ちは、藤沢周平の対極にある。

つい信じて巻き込まれた主人公が味わうのは、皮肉な悲哀に満ちた結果である。

「渡世人は、あまり表情を動かさなかった。

その切れ長の眼は沈みきったいた。

その虚無的な翳りが、笑いを知らないような凄みを漂わせていた。

その渡世人は唇は引き締まっていた。唇の左端には

五寸ほどの長い楊枝がくわえられていた。

渡世人が息をもらすと木枯しのような風の音が鳴った。」

孤独な渡世人、木枯し紋次郎も、ここにわらじを脱いだことのだろうか。

上州新田郡三日月村には、いまも紋次郎という名の墓があるそう。

この雪の露天風呂で知り合った叔父さんが、見てきたと話していた。

むかし、そんな風に孤独な影を背負って旅していた

束縛が嫌いな無頼な人も多数いたのだろう。

そんなして旅できるなら、無頼無宿の旅をしてみたい気がする。

その頃の旅は、今以上に人情が厚く、

かつ一方では今以上に非情であったのだろう。

そんな事を考えながら入る宿の露天風呂も良かった。

まさしく雪の露天風呂。


白い雪のたっぷりと積もった庭を見ながら、

ゆっくりと湯に浸かっていると

心底、大和の国にいることを身体の髄から感じた。


   ひさしより 大往生の しずり雪


もう湯殿の灯が消える頃だった。

「不必要に分厚く節穴のない」板壁の向こうで

しずかに湯浴みする音が聞こえた。


    灯を消して 湯浴みするかや 雪女





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Last updated  2004/05/01 04:38:35 AM
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Re:雪の露天風呂 後編(1/31)  
さくら さん
そうそう。自転車で飛鳥の道を走ったのは、大分昔の事。でも若かったから、一生懸命こぎました。石舞台目指して!途中にも沢山の古墳群があった。
飛鳥はいいですねえ。久しく思い出さなかった。
いついってもいいところはいいものです。
そしていろいろな事、思い出させてくれるのも。
名前は忘れましたが大津皇子の御陵につながる、日本で最初の古道は、今ではトラックが走る街道になっていましたが。あそこあたりは、ゆっくりと歩きたいものです。夕日を見ながらね・・・・・・
今日も暖かい日でした。妹のさくらより (2004/02/01 11:30:51 PM)

Re:雪の露天風呂 後編(1/31)  
msk222  さん
>素晴らしいはず。
いつも登っていた苗場山頂への美しい登山ルートを
つの間にか徹底的に破壊してスキー場だった。

このような現象は日本全国にありますね。
箱根も素晴らしいし、中央アルプスの宝剣で見る初日の出は富士山の先端から上ってきて、神々しささえ感じます。
我々にとっては、それらの光景も断崖絶壁に架けたロープウェーを利用するから見られる景色です。もし、ロープウェーがなかったら一生見ずに終えることでしょう。
感謝するとともに、自分の眼がだんだんどん欲にいじ汚くなっているのではないかと思うこともあります。
一生のうちに一度だけ、見たいものをみて死ぬという贅沢があってもいいのではないかと…。
それにしても、雪の中の露天風呂、いいなー。またムクムクとどん欲がもたげてきた。懲りない性格です。


(2004/02/02 02:08:37 PM)

Re:Re:雪の露天風呂 後編(1/31)  
さくらさん
>自転車で飛鳥の道を走ったのは、大分昔の事。

明日香も西武線の高麗もたたずまいが似ているのに気づいた。
外敵から一望のもとに見つけられない起伏の多い丘陵、
背景に逃げ込む山を背にしている。
新羅、百済時代に争いの絶えなかった古代の渡来人の知恵。
天皇の祖先がいるという韓国加那王朝の里も同じたたづまいとか。
だから新緑の頃は起伏のある丘陵が緑でおおわれて美しい。 (2004/02/03 03:07:37 AM)

Re:雪の露天風呂 後編(1/31)  
初めまして。
カーク船長さんのところで知り寄せていただきました。
とっても素晴らしい絵に感嘆しております。

まだ少ししか読ませていただいておりませんので、日記のリンクをさせていただき、時間をかけて拝見させていただきます。

これからもよろしくお願い申し上げます。 (2004/02/04 12:52:29 PM)

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