2021.05.20
XML

 そう言やあ、指一本としてまるでここに触れていなかったから、もう一年以上の付き合いになる恋人にもここのことだけは伝えていなかったと今思い出した。すると、つまり、僕が恋と錯覚するほどに憧れた詩人(と呼んでいいのでしょうか)が嘗てこのブログサーバーに居て、そのひととまた一言でも交わす為にここに居続けようとしていることだけはあのひとは知らないということか。なにも疾しいこっちゃ無いのだが、如何せん流行り病にひとびとが怯える前の自分の行いがそれはもうきたなくって、身体だけ委ねた男の数が倍以上にふくらんでしまって今に至るから、人間と僕が関わるだけですべてが嘘の様なのである。きっと。疑われて然るべき底辺、それが今の僕。それなのに、過去には執着しているし、よごしてしまった後悔を映すように/よごしてしまった過去を許そうとするように今も言葉を綴り続けている。一向に完成しないが。
 忘れた日は無かったなんて法螺もいいところだが、それでは「もういいや」と思った日は無かったと言い換えれば真実になるのだから可笑しいもんだ。僕は今もあなたの言葉を愛しているし、あなたの言葉をまた読みたがっているのです、少年カラスさん。

 僕は心の内に弟を飼っている、彼がいつ現れたかはよく覚えていないが、彼とのセックスがよかったことは覚えている。彼は僕の代わりにすべてを嫌悪してくれる、僕が暮らし易いように僕の抱く攻撃的なものを肩代わりしてくれる、僕が善良で無害な人間でいられるように。でも、母の死に就て彼はなにも言えないことに気が付いた、そうか、彼を生み出したのは僕だから当然だ。そして今になって、この詩人への執着にも「くだらないな」としか言えないことを知る。そうか、僕があの言葉達に刺激を受けていた時代にも彼は居なかったからな。
 弟は可愛い、とても捻くれていて。僕にしか聞こえない声で喋って嗤う。僕にも見えない綺麗な髪を掻き上げる仕草はとても品が良くて、僕に聞こえる声で放つ皮肉や罵声はその美しさを際立たせる。
 でも、平穏な暮らしで弟は必要無い。もう少し憎まないと、弟は生きられない。僕の代わりに憎悪を言葉にする、その行為の肩代わりが彼の存在意義であり、発現の条件でもあるから。歌にならない生活で、この子は、あとどのくらい生きられるだろう。
 憎む価値も無いことに気付き始めている、僕のなかで。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021.05.20 15:39:04 コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: