ラスタ・パスタのレレ日記

2006年01月11日
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ぼくは、ただのウクレレ弾きですから、Pop Musicほどにクラシックは聴いていないのですが、

イツァーク・パールマンは、昔から知っていることと、ヴァイオリンとウクレレは同じ4弦楽器なので、興味がある、というへんな理由で行ってきました。


(参考CD)当日の演奏曲ではありませんが。
【音楽CD】モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ...
【音楽CD】モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ...


クラシック・ファンにはよく知られていることかもしれませんが、

ポーランドから移住してきたユダヤ系の両親のもと、イスラエルで1945年に生まれた今年61歳になるヴァイオリニスト。

3歳からヴァイオリンをはじめるけれども、4歳の時に小児麻痺にかかって、両足が不自由になってしまいした。

イスラエルからアメリカに舞台を移し、NYのジュリアード音楽院に学びます。その時の推薦人はアイザック・スターン。

クラシックの世界でさまざまな賞を受賞し、有力なオーケストラと共演して、世界でもトップのヴァイオリニストとなっていますが、



また、ニューヨーク・フィルやシカゴ交響楽団などで指揮者として指揮棒をふってもいます。

ぼくもNYに住んでいた時に、彼のコンサートに行った記憶がありますが、残念ながらどのオーケストラと何を演奏したか覚えていません(当時は、NYで聴くことの出来るあらゆる種類の音楽を聴きまくっていたのですが、記録をとっていないのです)

さて、彼のヴァイオリン演奏は、ヴァイオリンの魅力を徹底的に追及し、音程は完全にコントロールされ、美しく繊細で豊かな音色を奏でることで、
天才的ともいえるべき評価を得ています。

私が行ったリサイタルのプログラムは、

第1部
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第40番 変ロ長調 K. 454
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第一番 イ長調 Op.13

第2部:
ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ ト長調 Op.100
クライスラー:名曲集(ステージで曲目を発表)



クラシックの熱心なファンには、非常に恐縮な話なのですが、ぼくはクラシックのコンサート、リサイタルに行くと、たいていの場合、後半の演奏のほうがいい演奏だった、と思うことが多いのです。

これは、ひとつには私自身の問題として、仕事からコンサート・ホールにかけつけて、すぐに始まってしまう第1部というのは、

まだ、頭の中に、仕事やらいろんな雑念が入っていて、頭や気持ちを即座に切り替えて、演奏に急には入り込んでいけないことが多いからです。

いわば、わたしが音楽に集中していくためのウォーミングアップの時間になっていちゃうのです。

演奏者には大変、失礼なことなのですが、1日ゆくり過ごして、コンサート会場に出向く、ということはなかなか出来ないものですから。



ただし、ぼくはクラシックのコンサートで後半のほうがいつも楽しめて充実していると感じることが多い理由はそれだけではないように感じています。

それは、演奏者自身も、第1部で、お客さんや会場の雰囲気になれていくプロセスでもあり、

他のお客さんも多かれ少なかれ、私と同じような状況じゃないか、と思うからです。

もちろん、熱心なクラシック・ファンは最初から、演奏の一音一音を聞き逃すまいと、集中されている方も多いのでしょうけれども。

音楽の好きな友人が、前に語っていてくれたことがあります。

いいコンサート、いいライヴに出会えるのは、
1.演奏者(アーティスト)
2.観客(われわれ自身とまわりのお客さんも)
3.会場(ホールの音響や雰囲気)

の3つがそろって、はじめていいコンサート、いいライブに出会える。
どのひとつがかけても成立していない。

という持論です。ぼくも、これは、かなりその場で消えていてしまう音楽、生の音楽のきわめて重要な核心をついているとも思います。

それで、第1部では、そのための環境作りが、演奏者と観客そう方が、おたがいに歩み寄っていく、というか入り込んでいく、というか、距離感が近くなる、一体感が強くなるように、無意識にしろ意識的にしろ、そう行動(または頭の中の活動)をしているのでは、ないかなx、と思うのです。

演奏者と観客、それから見えない会場の磁場みたいなものが会って、
雰囲気がほぐれてくるのが第2部。

そこで、私の場合は特に集中して聴く体勢になっていくからだと思っています。
もちろん、プログラムの第1部、2部に何の曲を持ってくるか、ということも大きな要素でしょう。

そういうわけで、私は、この日のリサイタルは、

第2部の
ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ ト長調 Op.100
が一番、いい演奏だったと思っていますし、実際、パールマンのヴァイオリンの音色に最も魅せられたのもこの瞬間です。

もちろん、ドヴォルザークの美しい旋律がいっぱい出てくる、というのも、私のような中途半端なクラシック・ファンには、楽しめた要因かもしれません。

彼のヴァイオリンは、きわめて完璧にコントロールされていて、美しく繊細で暖かく、文句のつけようがなく、

ちょっとPop Musicファンでもある私からすると、またまたクラシック・ファンには怒られてしまいそうですが、

もうちょっと、ラフであったり、ちょっ破綻しそうになるところとか、いやひやするところがあってもいいんじゃないか、とも思いました。

やっぱり、そうした聴き方は、邪道なのでしょうけれども。
一リスナーとしては、完璧すぎる、しかも冷たい音楽ではなく、人間味あふれる暖かい音楽を奏でてくれるのですから、もうそれだけで大満足なのですが、

弦楽器って、どこで生まれたのだろうか、とか、
インドや中央アジアか?
インドの音階は100を越す、とか、

どこかで生まれた弦楽器は、東に行って、ニ胡になり、
西に行ってヴァイオリンになった、
(両方とも弦を弓で弾きます。いわばこすれる音です。楽器のボディが共鳴して音を大きくします)

じゃあ、ギターやウクレレのような楽器、
指や爪で弾く弦楽器と、弓で弾く弦楽器は、どこで分かれたれたのだろう、とか、
そういう余分なことを考えてしまうからかもしれませんね。

やっぱり、私の聴き方は、パールマンを楽しむには、ちょっとひねくれすぎているかもしれません。

さて、小児麻痺で両脚が不自由な彼は、義足をして、杖を両手に1本ずつかかえて、ステージに登場し、また退場します。

むかしNYで観た時より、かなり太ったのではないかと思うのですが、
その巨体を、ゆっさゆっさゆらしながらステージに登場する彼が
(ヴァイオリンはピアノのロハン・デ・シルヴァが持ってきてくれます。)

ひとたび椅子にすわってヴァイオリンを演奏すると、
身体的な不自由さから解放・開放されて
一挙に自由に音楽を奏で、彼のヴァイオリンの音色が音符の分子となって、

ホール会場いっぱいに満ち溢れ、観客はそれに息をのんで聴き惚れ、
とてもすこやかな、やわらかな、やさしい気持ちでいっぱいになるから不思議です。

この幸福感こそが、彼の音楽の最大の魅力のような気がします。

実際にヴァイオリンを弾いていらっしゃる方からすると、とんでもない思い違いをしているかもしれませんが、

ウクレレ弾きである私は、そんなふうに彼の音楽を受け止め、心暖かくなって帰りました。

多くの観客も同じような幸福感を感じたのか、

「ブラボー!」という声があちこちから聞こえました。

最後に、クライスラーの名曲集で何を演奏したかを、ご紹介しておきます。

1. クライスラー編曲 ウェーバー:ラルゲット
2. クライスラー編曲 ヴィエニクスキー:カプリス
3. クライスラー作曲 ベートーヴェンの主題によるメロディ
4. クライスラー編曲 チャイコフスキー:ユーモレスク
5. クライスラー作曲 ジプシー
6. クライスラー作曲 中国の太鼓 作品3

まだ、
14日:愛知県芸術劇場コンサート・ホール
15日:ザ・シンフォニーホール
16日:サントリーホール
18日:サントリーホール

が残っていますので、クラシック・ファン、ヴァイオリン・ファンのかた、ぜひ出かけてみてください♪






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最終更新日  2006年03月15日 08時35分36秒 コメント(4) | コメントを書く
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