さくら咲く

さくら咲く

お葬式



ノートを持って休憩室へ行き、子供への手紙を書きました。

妊娠してから今まで、子供から沢山の幸せを貰いました。

そのことについて、「今は感謝の気持ちで一杯だよ」

と書きました。

そして、最後には

「さようなら」

と書きました。

ボロボロと涙が出てきて、自分の書いている字も読めませんでした。


**************


朝8時半、私は2ヶ月ぶりに洋服を着て、

少しファンデーションを塗って、

旦那が迎えに来てくれるのを待ちました。

少し遅れて旦那が来ました。

旦那は昨夜はずっと子供と一緒にいて

寝ていなかったみたいで、ぼうっとした様子でした。

車椅子に乗せてもらい、病院を出ました。

2ヶ月ぶりの外の世界でした。

タクシーを捕まえて、家に向かう間に見た外の風景に驚かされました。

外の世界はこんなに色があるんだ。

病院の白い世界にいたので、そとの世界の色の迫力にびっくりしました。

そして、そんなに驚くほど、

自分が長い間入院していたことを思い知らされ、

一体何のために入院していたのだろうと、

悲しくなり、涙が出ました。

家につき、リビングに入ると、

沢山の花に囲まれて、白い、小さな棺があるのを見ました。

その棺を見て号泣していました。

遠くから来てくれていた親族に、挨拶することも出来ませんでした。

***********

お葬式は簡単なものでした。

みんなで子供を抱いてあげて、子供との最後のひと時を過ごしました。

途中、奥の部屋で旦那と子供と3人にしてもらいました。

そこで、私は朝書いた手紙を読んであげました。

そして棺に子供を戻してあげて、思い出の品を入れ、お花を添えました。

最後に棺が閉じられ、火葬場へ運ばれました。


**************

火葬場で、最後に子供の棺とお別れした瞬間、

頭の中で何かプツリと切れた気がしました。

私はこのまま正気でいられるだろうかと思いました。

泣いていると葬儀屋の男の人が近づいてきました。

「あちらも幼いお子さんを亡くしたようです」

見ると幼い子の写真を持って火葬に来ている人たちがいました。

不思議と少し冷静な気持ちになりました。

葬儀屋さんが慰めようとしてくれていることが有難く感じました。

火葬が終わり、小さな骨壷に入った子供を抱いて、

旦那と病院へ戻りました。

ずっと病院まで骨壷を離さず抱いていましたが、

お義父さんに病院へ置くのはまずいと言われたので、

旦那が家に持ち帰りました。

**************

病院のベッドでまた一人になりました。

色々考え、ぼんやりと過ごしました。

早く家に帰りたい。

もう、看護師さんや周りに気を使うのに疲れました。

両親は実家へ来ることを勧めてくれました。

でも実家へ行くことは、私にとって入院生活の延長線でした。

私が心安らぐ相手は旦那しかいませんでした。

早く帰って、「旦那と静かに過ごしたい」

それしか考えられませんでした。

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: