素直な気持ち

素直な気持ち

キジムナー

キジムナーの伝承


一般に木の精霊といわれるキジムナーの伝承は、沖縄本島中南部のものが沖縄各地に広がったとされている。しかし、沖縄各地には古くから、キジムナーと類似の伝承があって、キジムナーとは異なる呼称があり、独自の話の伝承があった。だから、地域によって話がかなり異なっている部分もあり、特徴が見られる。
(参考文献:『南島文化への誘い』湧上敦夫、那覇出版社  『シマの見る夢』赤嶺政信、ボーダーインク)

1. 一般的話型
 本島中南部から本部半島にかけて伝承されているキジムナーの話型をよく伝えている例話をあげてみる。
 昔は大きなガジマルがキジムナーの住みかで、どこの家でも年を経た大きなガジマルがある所は、キジムナーの住みかだからガジマルに五寸釘を打って追い払っていた。
 ある漁師がキジムナーと親しくなり、夜に時々、キジムナーがやってきて、漁師に覆いかぶさるようになった。人を押さえつけ、ものも言わさず、動くこともさせなく、息苦しくさせたという。
 雌のキジムナーは男の人に覆いかぶさり、おっぱいを口にくわえさせ、雄のキジムナーは女の人に覆いかぶさり、睾丸を口にくわえさせたそうだ。
 夜、キジムナーと漁に行くと、豊漁になった。キジムナーは、獲った魚の左目を引き抜いて食べた。漁師が怖いものは何かと聞くと、キジムナーは屁(へ)と蛸(たこ)がいちばん怖いと答えた。キジムナーとの付き合いをやめたいと思った漁師が蛸をとってキジムナーに見せたら、怖がって逃げてしまった。

 大宜味村では、キジムナーが山から材木を村の家まで運ぶのを手伝ってくれるという話もある。これは、本島北部と八重山諸島にだけ伝えられる特殊な話型である。
 『琉球神道記』のなかに、国頭では舟板を山から切り出すときに次郎・五郎という小僕を使って曳かせるという記述があり、キジムナーの系譜に連なるとされる。

2. 各地のキジムナー呼称
本島北部:
アカカナジャー(伊平屋村)、アカブサー(伊是名村)、ブナガヤ・プルパカヤー(国頭村・大宜味村・東村)、
ヤンバサカー(名護市屋我地)、ポージマヤー(名護市羽地)、カムローグワー(名護市屋部地区安和)、
ツノーラー(名護市屋部地区旭川)、スノールキジムン(名護市名護地区)、
シェーマ・セーマ・カムラグワー・カムローグワー(本部町)、ガヤブヤー(金武町)
本島中部:
フカゾークークー・キジムン(与那城町平安座島)、ヤチバー(与那城町屋慶名)、
ウンサグワー・イッチョイグワー(津堅島)、
ケンケンジムナー(勝連町)、イッチョイグワー(勝連町平敷屋)、カーガリモー(中城村)
本島南部:
キジムナー(南風原町)、マージャ(玉城村)
久米島:
マア・キムナー(仲里)、カーカブロー(具志川)
宮古諸島:
マズムヌ(宮古島、多良間)、インガマヤラウ(伊良部町)
八重山諸島:
マア・マンダー・マージャッピ(石垣島)、マンジー・マンジャー(小浜島)、マーザ・カムラーマ(鳩間島)、
キディムナ・マディムナ(与那国島)

3. キジムナーの属性
壱 由来
人以前の居住者(粟国島)、木の精霊(本島)、溺死者(本島南部)、死者・子どもの死者(宮古八重山)
弐 住処
大木(本島)、洞窟・水中(粟国・慶良間)、墓(宮古諸島)
参 特徴
形態:
 小さい子どもの姿・赤ん坊に類似・おかっぱ頭で毛が赤い(本島)
 禿頭・頭に皿がある・猿に似た姿(本島周辺離島)
習性:
 魚取りがうまく海にいるときはキジムナー火を燃やす・海老や蟹などにお灸をする(本島)
生態:
 お産をする・性別がある・子どもと大人がいる(本島周辺離島)
嫌いなもの:
 蛸・鶏・屁
好物:
 魚の目玉・ヒトデ

 久高島のキジムナーの特徴をあげてみる。
(『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』:比嘉康雄、集英社新書)
髪が赤く下半身がない。男女がいて子どもを産む。アコウの木またはその下が住居。
人間のことばを話し、聞くことができる。赤土のおにぎりと魚を火で炊いて食べる。
漁りが得意で両手の親指に火をともす。
普段は無害だが人が物をとったり悪口を言ったり、生活の場を荒らしたりすると怒り、幼稚なやり方で仕返しをする。
神よりも人間に近い存在。

4. 人間との関係
特定の人にしか見えない。
人と親しくなると、毎晩一緒に魚取りし、止めようとはしない。
住処を焼かれると、移住して、人に報復する。
いたずらをされると、どこまでも追いかけて仇をとる。
親しくなった家は裕福になるが、追い払った家は貧乏になる。
人と結婚することもあり、不思議な宝を持つ。
人を殺したり、さらったり、溺死させるときもある。
人の飼う牛や馬を殺したり、おどろかせたりする。
眠っている人を襲って動けないようにする。
火をもらいに行ったり、鍋を借りに行ったりする。

 小野重朗氏の「河童の系譜」という論文によると、キジムナー、ケンムン、ヤマンタロウ、河童、座敷ワラシは、いずれも系譜的に繋がるもので、それらの原型になったのは山の神であるという。

付録: キジムナーの詩
『きじむなあ物語』船越義彰より
「自己紹介」
その丈
三尺を超えることなし
その体重
ときには磐石のごとく
また 空気のごとく
測定するに すべなく
髪 あくまで赤く
西の海の茜のごとし
顔 あくまで赤く
幼童のごとく 愛らし
歳月はあれども
その一生
優に人間暦の世紀を重ねて
なお余りあり
巨樹老木に棲み
黄昏時より
夜明けまでの天地を
わがものとして翔びまわる われを
人間は
木の精なりという
さなり
 風と土と木と
 まぼろしの
 不思議なる融合をとげたるもの
 きじむなあ なり
 古き遠き日
 人間の
 自然へのおそれと
 素朴な祈りと
 生活のなかのユーモアが
 純粋なりし頃の
 残像のひとひら
きじむなあ なり
いまなお
この シマのなかに
生きつづけて いると
自らは 確信しおる
たしかなる
まぼろしなり

(*^ー^)ノ☆。・:*:.・★,。・:*:.・☆ ☆彡(*^ー^)ノ☆。・:*:.・★,。・:*:.・☆


ベロベロバ~






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