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May 28, 2009
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カテゴリ: 教授はつらいよ

 まあ、あまり世間では知られていないかも知れませんが、最近の大学は教員免許取得のための専門学校かっ?!ってな状況ですよ。

 まずね、1年生の時に「基礎実習」ってのがあって、附属校で授業参観やらグループ討議なんかをやるのがある。2年生では養護学校や老人ホームなどでの研修が2回あり、3年でいよいよ「主免実習」、4年で「副免実習」があって、その後さらに「応用実習」ってのがある。専攻によってはさらに「導入実習」ってのも今年からやることになりました。

 これだけだっていい加減うんざりするのに、これに加えて今度、文部科学省のアホどもは、「教育実践演習」という授業を新たに導入しろと言ってきた。これは4年生の後期、教員になる人のための総まとめとして設けられたもので、ものすごく縛りのきつい演習なのであります。

 で、もちろんこういう実習にはすべて引率として教員が張り付いているので、夏休みだろうが何だろうが、学生に付き合ってあちこち出向かなくてはならないわけ。

 で、これにプラスして、今度は現職の教員の人たちが10年毎に行うことが義務付けられた「免許更新」のための授業も、今年の夏から開講しなくてはならない・・・。

 10年くらい前までは、教育実習なんて4年生の時に一回やれば良かったんですけどねえ。いつの間にやら、こんなに業務が増えてしまった・・・。ほんと、大学の先生なんて、この種の雑用を果たすのに疲れ果てて、研究なんかなーんも出来ませんよ。


 昔は・・・昔ったってたかが10年ちょい前の話ですけど、その頃は良かった。大学の先生は暇だったんですな。夏休みなんて、ほんとにまるまる2か月、研究だけに打ち込めた。

 で、あんまり暇なんで、うちの大学では専攻・専門を問わず、若手の助教授・講師・助手が集まって、勉強会なんか開いたりしたもんですよ。名づけて「一升瓶の会」。この勉強会では毎月1回会合を開き、順番を決めて毎回一人が自分の専門に関する研究発表をするわけ。雰囲気は気楽ですが、研究発表の後はかなり厳しいコメントやら、質問やら、批判やらが飛び出して、発表者は針の筵に座らせられるような気分を味わったものです。

 ちなみに何で「一升瓶の会」かというと、会合の後、会場に持ち込まれた一升瓶を空になるまで飲み明かしたから。当時、その会は酒豪ぞろいでしたから、ほんとに一升瓶を空にしたもんですわ。もちろん、年末には忘年会をやりましたし。これもまた実に盛大な酒盛りでしたっけ。



 うちの大学でも、かつて専門を通り越して若手研究者が勉強会を開いていた時代があったなんて、今から思うと夢のような話です。ワタクシの手元に、当時の一升瓶の会の忘年会の様子を写した記念写真が一枚残っていますが、いかにも若手研究者の集まりらしい、生き生きとして、野心に満ちた、いい顔つきの先生方の笑顔・笑顔・笑顔が溢れている。

 で、その写真が見事にセピア色に色褪せていましてねえ・・・。そこがまたなんとも寂しいと言うか、何と言うか・・・。


 今は「教育の質の保証」ということがうるさく言われる時代でありまして、先に言いましたように、教育実習ひとつとっても、あれだけのことをやることになってしまった。おかげで、今や大学教員に暇な時間なんかまったく無くなってしまった。

 しかし、本当はね、実習なんて一回やれば十分。先生方には「あんまり暇だから勉強会でもやろうか」という気にさせるほど自由な時間を与えた方が、よほどいい研究ができ、それだからこそ、よほどいい教育ができるんですよ。その方が教員にとっても、学生にとっても遙かにいいことなのに・・・。

 文部科学省のアホどもが大学をこんなにしてしまう前、活気のあった我が大学の、若手の勉強会、「一升瓶の会」のことをふと思い出し、隔世の感に打たれている今日の私なのでありました、とさ。





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Last updated  May 29, 2009 02:53:15 AM
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「一升瓶の会」  
藍毘尼 さん
>いかにも若手研究者の集まりらしい、生き生きとして、野心に満ちた、いい顔つきの先生方の笑顔・笑顔・笑顔が溢れている。

これですよね♪大事な要素って!!

「教育実践演習」をやるとしたら、私なら大学の先生がぴたっと張り付いての実習じゃなく、学生が一人でまる一日、中学校の先生の一日なるものを体験すればいいんじゃないかな?と思います。

朝、7時に出勤して職員会議に出て、午前の授業に出て、昼食を一緒に食べて、午後の授業に出て、放課後の部活に参加して、その後また一日のまとめ、明日の準備と、、、夜10時まで全部体験させてみたら、公立中学校の先生の姿がよくわかっていいんじゃないんでしょうか?
「何、この雑用の多さは?やってられんわ」というのを実体験させるのです(笑)

教育は「教育の質の保証」「教育の質の保証」と、連呼しても、親が学校まかせなだけでは、賢い子は育たない訳で、これは「家庭教育の質の保証」も同じように家庭で実践しないとね~!

あんまり、教育者ばかり、教育者予備軍ばかりをがんじがらめに締め付けていくのはよくないと思いますね!! (May 29, 2009 06:16:13 AM)

Re:懐かしき「一升瓶の会」(05/28)  
釈迦楽さん;
誰が言った言葉かは忘れてしまいましたが、One who can, does. Who cannot, teaches.という言葉が有りますね。
取り様によれば、上は教職に対する蔑視の雰囲気がある。
中央官庁の役人は試験エリートだった連中ですね。そういう連中は、上記の感覚で教師候補者や教師、教師の教師にまで「量」を求める事になるのでしょう。

(自分と較べて)小人は閑居して不善を為す。だから教師たるもの忙しくさせておくに限る。
そういうことなのでしょうね。

アメリカでは論文の発表の「量」が研究者の業績評価になる。今の特に自然科学は巨大化、専門化、細分化が進んでしまったので、狭い分野で「精励する」事が求められる。日本もそういう風潮に汚染されています。成果主義は往々にして本質や根本を歪めます。これでは学問や研究の分野までスケール至上主義になって、とても大学者や哲人は出ませんね。そうなると、国は滅びるな。

文科省はいらないでしょう。
その代わり「質の保証」を目指すなら、いっそ「政治省」を作りましょう。そして政治家に対して「基礎実習」から始めて最後に「政治実践実習」までやらせる。監督官は初等・中等教育の先生だな。だって、多分「嘘をついてはいけません。」、「約束は守りましょう。」、「独り占めはいけません。」などという事を教えることになるだろうから。
(May 29, 2009 12:08:00 PM)

Re:「一升瓶の会」(05/28)  
釈迦楽  さん
藍毘尼さん

ま、ニワトリが先か、卵が先か、という話になるんですが、大学は学生を小学生のように扱い、学生は学生で、小学生のように、先生がつきっきりでないと何もしない、という昨今の状況があり、その悪循環で、とにかくやたらに学生の面倒をみなくてはならない世の中になってしまいました。

 それが「大学の学生に対するサービス」ということだと、勘違いしているんですな。

 昔は大学ってのは、学生を大人扱いし、よくも悪くも放任していたものですが、今はそれが許されない時代なんですね・・・。 (May 29, 2009 11:44:45 PM)

Re[1]:懐かしき「一升瓶の会」(05/28)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

 アメリカはアメリカで、Publish or perish. の伝統があり、大学の先生は業績稼ぎで大変のようですが、その点、古き良き日本の大学はのどかなところで、そののどかなところがよかった、と思うんですよね。

 結局、研究が好きな人が大学に残っているのだから、暇なら研究するんですよ、あれこれ上から言わなくたって。

 もう今は忙しくて忙しくて忙しくて忙しくて、ほとんど死にそうです。こんなんじゃ、腰を据えた研究なんてできませんよ・・・。 (May 29, 2009 11:52:35 PM)

Re[2]:懐かしき「一升瓶の会」(05/28)  
釈迦楽さん
> もう今は忙しくて忙しくて忙しくて忙しくて、ほとんど死にそうです。こんなんじゃ、腰を据えた研究なんてできませんよ・・・。
-----
釈迦楽さん、前文の訂正です。
One who cannot, administers.が正しいですね。
「忙」とは「心を亡くす」の意。
拝察するに(少なくともブログからですが)、釈迦楽さんは忙中閑を求めるに長けていらっしゃるご様子。
これに「頑張って」という声援も妙なものですが、でも頑張って文科省のアホどもにに負けないで下さい。
それと、ご研究の成果でヤツガレ如き素人にも面白そうなものがあれば、差し支えない範囲でお教えいただければとも。

(May 30, 2009 12:08:42 AM)

Re[3]:懐かしき「一升瓶の会」(05/28)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

そうですね、私の本のタイトルをここでは書けませんので、いずれメールででもお知らせしましょう。 (June 1, 2009 10:40:03 AM)

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