QBスニーク

総コレステロール

『正常値』

○総コレステロール[mg/dl]:130~230


【総コレステロール】

 総コレステロールは,高脂血症を調べる指標である.近年,わが国においても,若年層を中心に増加傾向がみられる.高脂血症そのものは,なんら症状をみないが,総コレステロールの増加は,動脈硬化をひきおこし,さらに促進させる重要な要因であり,特に冠状動脈(心臓に血液を送っている動脈)の動脈硬化に起因する虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の重大な危険因子となっている.
 コレステロールには,血中で脂肪酸とエステル結合をした「エステル・コレステロール」(70%)と,脂肪酸と結合しない「遊離コレステロール」(30%)があり,あわせて「総コレステロール」という.
 血中のコレステロールは,約60%が肝臓などで合成されたもので,残り40%が食物などから摂取されたものである.食物中のコレステロールは,カイロマイクロン(トリグリセライド84%,コレステロール7%,リン脂質7%,蛋白質2%)の形でリンパ管を通り,血中を運搬される.このカイロマイクロンは,リポ蛋白リパーゼの作用でトリグリセライドが奪われ,カイロマイクロンレムナントやLDL(低比重リポ蛋白)となって肝臓に取り込まれる.
 肝臓で合成されたコレステロールは,VLDL(超低比重リポ蛋白)として血中に放出される.VLDLは,リポ蛋白リパーゼによりIDL(中間型比重リポ蛋白),さらにLDL(低比重リポ蛋白)となって組織へ供給される.
 コレステロールは,細胞膜の構成成分,胆汁酸の成分,ステロイドホルモンの材料として利用され,また,血管壁の維持強化に重要な役割を果たしている.
 動脈硬化は,動脈血管壁(内膜下)に,大量のリポ蛋白(主としてLDL)が蓄積されたものである.
 総コレステロールは,年齢,性差,あるいは食事内容などの要因によって変動がみられる.例えば,乳児では70mg/dlと低い値を示しているが,加齢とともに増加し,男性では40~50歳代が最も高く,それ以降は減少する.女性では閉経後に高くなり,60歳代でピークを示し,以降漸減する.
 また,一回の食事による影響はほとんどないが,持続的に高脂肪・高カロリーの食生活を続けていると,コレステロールは上昇する.


【総コレステロールの上昇をもたらす要因】

 ①原発性(原因不明)のもの
 はっきりとした病因がなく,個人の遺伝的素因に基づいて発生する場合である.食生活(高脂肪,高カロリー食)も一つの誘因と考えられる.軽~中等度(300mg/dl)の上昇をみることが多い.大半の“高コレステロール血症”は,この原発性である.高コレステロール血症は,高血圧と並んで,脳卒中や心筋梗塞の原因となる血管の動脈硬化を促進する大きな危険因子であることが明らかにされている.
 厚生省の統計では,コレステロールと血管合併症には明らかな相関がみられ,心疾患では,300mg/dlになると,200mg/dl以下群に比べて,約3倍となる.心筋梗塞の多いアメリカの調査(MRFIT/1982年)においても,総コレステロール値200mg/dlでの虚血性心疾患発生率を1.0とすると,150mg/dlでは0.7,250mg/dlおよび300mg/dlでは,それぞれ2.0,4.0になるという.
 したがって,コレステロールの値は,200mg/dl以下に抑えることを目標として治療をすべきである.そのためにはカロリー制限を中心とした食事療法,さらには薬物療法も考慮されることになる.
 総コレステロールを下げる食事内容とは,(1)全体の摂取エネルギーに対する脂肪エネルギーの比率を下げること(30%以下が望ましい).(2)食物中のコレステロール量を下げること(下表参照).(3)摂取脂肪のなかで,飽和脂肪酸を少なく,不飽和脂肪酸を多くとるようにすること(飽和脂肪酸とは,牛肉,バター,チーズなどに多く含まれ,不飽和脂肪酸は,植物油,豆製品に多い),などである.

表 総コレステロール含量の多い食品[mg/100gr]
卵類
卵黄
1163
全卵
373
うずら卵
645
さけのすじこ
407
たらこ
270
かずのこ
255
魚介類
うなぎ
176
しらす干し
285
塩辛
360
からすみ
420
わかさぎ
290
やりいか
391
ししゃも
243
しじみ
497
かき
380
あわび
284
いせえび
218
さくらえび
384
乳製品
バター
290
マヨネーズ
375
カステラ
199
バウムクーヘン
228
肉類
鶏レバー
321
豚レバー
467
牛レバー
280

 ②家族性(遺伝性)のもの
 遺伝性の高コレステロール血症である.家族歴がある.ときには1000mg/dl以上にもおよぶ高値をみるケースがある.
 ③続発性(二次性)のもの
 何らかの病気の続発症(合併症)としてコレステロールが上昇する場合で,イ)糖尿病,ロ)甲状腺機能低下症,ハ)ネフローゼ症候群,ニ)閉塞性黄疸,ホ)多発性骨髄腫,ヘ)薬剤(サイアザイド剤,経口避妊薬,向精神薬,副腎皮質ホルモンなど),などがその誘因となっている.


【総コレステロール低下の原因】

 一方,総コレステロール低下の原因としても,家族性(遺伝性)や続発性(二次性)のものがある.続発性(二次性)の誘因となる疾患には,イ)重症肝疾患(肝硬変,劇症肝炎など),ロ)甲状腺機能亢進症,ハ)吸収不良症候群,ニ)栄養失調・癌末期,などがある.
[2002.10.27更新]
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