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2006.12.06
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カテゴリ: びしびし本格推理
竹本健治のディープな魅力が全開の作品だ。

○ストーリー
山の手にあるアパートは,かつて産婦人科の病院だった。建物は古く,壁はゆがみ,虫が湧き,水が漏れる。ひっそりと暮らす住人たちも,この建物に影響されるかのように,徐々に変わった行動を取り始める。そしてついに血が流された・・・

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「闇の中の赤い馬」で竹本健治を知り,「閉じ箱」から読み始めた僕は,「囲碁殺人事件」の明るいジュブナイル・ミステリーのような作風に驚いた。それから3作目となるこの作品で,あまりの重苦しい暗さに逆に驚いた。

戦前か,戦後すぐのような風景とアパートの住人たちは,あたかも江戸川乱歩の世界から抜け出してきたようだ。それぞれ過去があり,すこしずつ変わったところがある。東京が舞台のはずだが,濃厚な方言,そこそこの暮らしぶりのはずなのに木賃アパートに住んでいるなど,どう考えても時代がかった設定だ。

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作品は,住人や関係者たちの日常や夢などを,短い文章で連ねることで始まる。あまりにも視点が変わるので,最初は短編集かと思ってしまったが,すぐに複数の主人公の視点で書かれた長編であることが判る。

ミステリーの要素はきちんとあるのだけど,それよりも狂気をテーマにした小説だ。ただし作品の題名も表紙も,それを明示しているので,怒り出す人はいないと思う。



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もうそろそろ「匣の中の失楽」を読まなければならないんだろうと思う。







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Last updated  2006.12.09 20:55:43
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