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2009.02.12
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カテゴリ: びしびし本格推理
御手洗潔の登場しない「名探偵・御手洗潔シリーズ」という長編を読んだ。

○ストーリー
御手洗潔が日本から去り,彼の活躍を著作にて発表していた石岡和己のところに,女性読者が相談に来る。自分の業のお祓いをするため,と依頼され,石岡は彼女と2人で旅行に出る。行き着いた先は,岡山県の小さな村だったが,そこには龍臥亭と呼ばれる瀟洒な旅館があった。2人が到着したその日に,旅館で殺人事件が生じ,その後それは連続殺人事件となる。村に伝わる暗い伝説の正体とは?そして石岡は御手洗の手を借りずに事件を解決できるのか?

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この頃,ミステリーブームが再発し,”新本格ミステリー”が大きな潮流となったことが,作品の端々にうかがえる。作品世界の中でも,「御手洗潔シリーズ」はそこそこ読まれており,石岡も若い女性読者と接する機会が増えている様子だ。

そうした安心感が背景にあるのかも知れないが,デビュー作「占星術殺人事件」以来,島田荘司が避けてきたと感じられる和風で土俗的な空間で作品が展開される。これまでの「御手洗潔シリーズ」は,ジャズやバイクなど現代的なモチーフが散りばめられていたし,この作品に先立つ数作では舞台まで海外という状況だった。

ハリウッドから一気に日本の村へと舞台が変わったが,これはある意味島田荘司の自信の表れだと感じられた。

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作品のタイトルでもある龍臥亭(りゅうがてい)という旅館は,龍と琴をモチーフにした古い温泉旅館という設定だ。上巻を読み終えた段階では,この旅館の造りそのものはトリックとはなっていないように思えるが,それを度外視しても,建物をまるまるあるモチーフで造ってしまうというイマジネーションに驚かせられる。



石岡が朝霧の中で龍臥亭の全体を把握するシーンなどは,風景の描写の素晴らしさもあり,上巻のクライマックスの1つだと思う。

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ミステリーの部分は,連続殺人事件の渦中にある状態なので,主人公の石岡も読者も,全く謎の海に放り込まれていて,先が見えない状態だ。地方の警察と言うことで,全体的にゆるいカンジという設定だが,ここいらはちょっと不自然かも知れない。

島田荘司の読者に若い女性が増えたことの影響で,登場する女性の会話や態度がひじょうに現代的になっている。それをスッと理解して身に付け,作品に反映するのも島田荘司らしい才覚だ。

まだまだ先が見えない状態で,少し作風の違いに戸惑っているが,先が楽しみだ。











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Last updated  2009.02.14 16:54:09
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