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2017.07.26
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恩田陸の近未来小説を読んだ。

〇ストーリー

21世紀に甚大な原発事故が起き,日本の国土の2割が立入制限の汚染地域になってしまう。広大なエリアを維持管理するのは,人型のロボットたち〈ウルトラ・エイト〉だった。だが突然,国税庁から財護徳子という調査員が派遣される。ロボットたちはいつもの計画を変更し,彼女の調査に協力し,汚染地域に生息する生ける屍たちに接触を試みる。その一方で,エリアの一部に謎の施設が建設されており,彼らは大きな事件に巻き込まれていく。そして?

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週刊朝日に連載されていただけあって,どちらかと言えば左翼的,あるいはパヨク的な思想が見え隠れする作品だ。萩尾望都の最近の作品もそうなのだけれど,福島の原発事故から3年ほど経ち,事故の被害が落ち着きを見せたという報道が流れ出してから,それを否定するような作品が発表されるようになった気がする。

ただ,反対するのは簡単だが,それが現実的な解決に結び付くわけではない。

この作品もある事件をロボットと協力者たちが阻止しつつも,その経済効果を無視し,ひょっとしたら汚染地域の復興を阻害したかも知れない,という可能性についてはあいまいなまま終わっている。

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この作品を読む前は,ロボットは〈ジェイムソン型〉で,ピクサー映画の『ウォーリー』のような状況をイメージしていた。それでも全体的に寂しさや,孤独感を表現することは可能なはずだ。



ラジオ体操をして,指差し喚呼をするロボットたちは人間に教えられたルーティンを繰り返しているということで悲哀で処理できるが,彼らの前に侵入者として登場する国税庁の女性職員・財護が繰り返す,アニメ的な天然ギャグの言動は共感できる部分が皆無だ。

彼女が指摘する『太陽にほえろ!』以外の昭和レトロテイストは,恩田陸と1才違いの僕は完全に理解できるが,別に面白くなかった。ネタが分からない世代にとっては,分からない,面白くないのダブルパンチだ。

そうした世代の人が読むと,この作品への評価はキツイと思う。僕でさえ,ちょろちょろするマンガ的な女性職員にはイライラさせられた。

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唐突なゾンビの登場には困惑した。放射能汚染地域を語るにはひじょうに失礼な展開だと思うし,ニート・フリーターを体現するには合っていないと思った。

ゾンビの中に平然と入って行こうとする女性キャラの設定は,マンガ的だけでは説明できない寒さだった。

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少し作品世界を掘り下げるけれど,そこでの大きな問題は,汚染を除去して人間が生活可能なように復興させるか,それとも汚染地域としての存在意義をベースにビジネスを成立させるか,ということだ。

ロボットたちは,生ける屍からも徴税しようとする国税庁に驚きつつ,一方で汚染地域を利用して新規産業を興そうとする政府の動きも阻害しようとする。

けれども,彼らの除染作業はまだ数パーセントしか進捗していないらしい。果たして汚染が除去できた時点で,人間は生き残っているのか?

情報リークスで,新規産業はつぶそうとしているようだが,じゃあ彼らに解決策はあるのか?ロボットが主人公ということもあり,どこのどのレベル視点での物語なのかがあまりハッキリしない。



もっとこちらで成功するしかない,とした縛りのある人物設定の方が,物語をきちんと動かしたのではないだろうか?

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この作品は,恐ろしいことに帯ではなく,表紙に「直木賞受賞後長編第一作」とプリントされている。そんな下劣なことが出来たのは当然,朝日新聞出版だ。

直木賞受賞作品「蜜蜂と遠雷」の読者は呼び込みたい,けれども全く異なる作風にどうしよう?ということを会議で延々と議論して,採用された方策がこれなんだと思う。

なるほど,日本はディストピアに向かっているワケだ。

















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Last updated  2017.07.26 22:03:55
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