不破雷導

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Apr 10, 2005
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テーマ: 小説(12)
カテゴリ: 小説
 子猫がいました。
 夜の路を、ヨチヨチ歩きで、渡っていました。
 そんなに広くはない路だけど、子猫にとっては遠い向こう側です。
 ヨチヨチヨチと、路の真ん中まで来ました。

 自転車に乗ったおじさんが来ました。
 子猫に気が付いて、微笑んでいます。
 子猫を見ながら、子猫の横を、通り過ぎて行きました。
 でも、子猫にとっては、自転車は大きな怪物です。
 子猫はびっくりして、立ち止まってしまいました。

 肢を曲げて、その場にうずくまってしまいました。

 自転車に乗ったおばさんが来ました。
 おばさんは、地面の方を見ていません。
 遠くの方を見て、自転車をこいでます。
 そこに子猫がうずくまっていることに、気が付きません。
 おばさんの自転車は、どんどん子猫の方に走って行きます。
 あぶない!
 そう思った瞬間、おばさんの自転車は、子猫のしっぽの先をかすめて、
 走って行きました。
 よかった。
 子猫は無事でした。

 子猫は轢かれてしまっていたでしょう。
 子猫が、自転車の重さに耐えられるのかどうかはわかりません。
 でも、もし、おばさんの自転車に轢かれていたら、
 ただではすまなかったでしょう。

 子猫はうずくまったままです。

 また、さっきのようなおばさんの自転車が来るかも知れません。
 このままでは、とても危険です。
 僕は少し引き返しました。
 近付くと、子猫はニャアニャア鳴いていました。
 お母さん猫を呼んでいるのでしょうか。
 でも、お母さん猫は、見当たりません。
 僕は、子猫の首の後ろをつかもうとしました。
 急に、子猫は仰向けになって、ギャアギャア鳴きます。
 大丈夫だよ。
 僕はそう言って、子猫の首の後ろをつかんで、
 路の脇の安全な場所へ運んでやりました。

 子猫はうずくまったままです。
 ニャアニャア鳴いています。
 でも僕は、二度とは振り返りませんでした。


(2000年11月)





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Last updated  Apr 10, 2005 08:39:47 AM
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