前話


    -2-

 夜が明けた。
 鳥のさえずりが聞こえてくる。
 カレノは身を起こしベッドから降りる。
「さて、今日も一日がんばりますか」
 そう言うと身だしなみを正して部屋から出た。


「あのーそこを何とか」
「だめだといったらだめだ」
 宿屋の一階には二人しかいなかった。
 カレノと店主の二人だ。
今、カレノは宿屋の店主と交渉していた。
 交渉内容はもう一日ただで泊めてくれないか。というものだった。
 カレノが食い下がっていると店のドアが開いた。
「おーい。人手が足らんぞー」
 ユガワさんだった。
「人手不足だー。町を直すための人手のことか」
「そうなんだ一人でも多く人手がほしい。旦那、手伝ってくれねぇかい」
「俺は手伝わない」
きっぱりと言い切った。
「だがよぉ」
 何かを言おうとする店主。
「だが?」
 聞き返すユガワさん。
「こいつが手伝う」
カレノを指差して言った。
「えっ、わたしですか」
 そして驚くカレノ。
「手伝えばもう一泊泊めてやるぞ」
 それを聞いたカレノは大きな声で言った。
「喜んでやらせて頂きます」

「兄ちゃん、よくがんばってくれたな。助かったぞ」
 ユガワさんにカレノは思いっきり背中をたたかれた。
 カレノは汗をだらだら流していた。
「はい、がんばらせて、もらいま、した・・・げふっ」
 少し息を切らしていた。
「おいおい大丈夫かい、今日はこれで終わりだ。さあ戻るぞ」
 ユガワさんがみんなに聞こえるように言った。
「これで、きょうも、泊まれる」
 そう言ったカレノはまだ息が切れていた。


次回

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: