次回


     -3-

 暗い部屋の中に三人の人影があった。
見回り第二チームの面々だ。
 全員背もたれのない木製のイスに座っている
 光の源になるものは彼らが持っている懐中電灯だけだった。
「そろそろですかね」
 キミオウがそう言った瞬間、唯一この部屋に入るための天井のドアが開き、見当たらなかった残りの二人が入ってきた。
 地下室だった。
「準備できたぜ、みんな」
 そう言い入ってきた内の一人が奥の方―――他の三人のいる方―――へ歩いていく。
 もう一人は入り口近くに残った。
「後はこの起爆スイッチを外で押すだけか」
「じゃあ行きましょうか」
全員イスからばらばらに立ち上がった。
 そしてドアに向かおうとしたときだった。
「―――――ちょっと待ってくれませんか」
 入り口の近くに彼はいた。
 彼の横には出入り口近くに残っていた男が倒れていた。
「あ、あなたは・・・・」
「誰だてめぇ」
「この前町に来た旅人ですよ。確か名前は―――」
「カレノ・シンクって言います」
 カレノは微笑みながら言った。
何かを手に持っているようだが暗くて見えない。
「何でここを知ってい―――」
「そんなのどうだっていい。へっここで足止めしようってのか。四対一じゃ勝ち目ないと思うぜ」
「起爆スイッチがあればここでも爆弾を爆破できるしな」
「爆弾ってコレのことですか」
 カレノは手に持っていたものを床に置いた。
 それは彼らがセットしたはずの爆弾だった。
「なっ何でお前がそれを」
「あーそれはあなた方をつけて爆弾を回収させてもらったからです」
「何でお前はつけられてんだよ」
  が爆弾をセットしに行っていた男の胸倉掴んで言った。
「す、すいません。つい不注意で」
「馬鹿かお前は」
 そう言って投げ飛ばした。
「もういい、とにかくてめぇを生かして帰さなけりゃいいんだ」
 そう言いながらカレノの方を向き、バタフライナイフを取り出した。
 それに続き残りの二人―――キミオウ以外―――も出してきた。
「やはりお仕置きが必要なようですね」
 カレノはまだ笑っていた。が目が笑っていなかった。
「へっ、何言ってやがる」
「見えませんか。彼らと彼らの憎しみの炎が」
その一言で彼らの動きが止まった。
一人が口を開いた。
「っ―――――――」
 が言葉が出なかった。
 その場の全員―――カレノを除く―――が愕然とした表情をする。
そこには何もなかった。だが彼らには見えていた。
紅く、紅く燃え上がる炎と彼らが殺した町の人々が。
 体の皮膚が焼け焦げていて、腕がなかったり足がなかったり、頭がなかったり、胴体からしたがすべてない者までいた。
 そしてほとんどの亡霊に共通している箇所があった。
 顔が笑っていた。
 うれしくて笑っているのでもなく、苦笑でもない、普通の人間のできる表情ではなかった。
「な、なんだよこりゃ」
 彼らは亡霊に詰め寄られ一歩、また一歩と後退していった。
 顔は恐怖に歪んでいた。
 そのうち一人がなんとか亡霊の間をくぐり出入り口目指して走ってきた。
「さぁ、逃げなきゃ、逃げなきゃ」
カレノはそうつぶやきながら薄く笑っていた。
だが新たに目の前に出てきた亡霊に驚き、絶叫して倒れた。
 それはキミオウだった。
「でも、無理ですよ。彼らからは逃げられません」
 彼らはもう壁に背があたっていた。
 もう後ろはない。
「あなたたちの罪は重い」
「ごめ・・なさ・・・た、助け・・・」
 彼らは口々に謝罪の言葉を口にしたが息が苦しいのだろう。うまくしゃべれていない。
 彼らは汗をだらだらと流していた。
だがカレノは炎の熱さを感じていないようだった。
「謝罪しても罪は消えません。罪は償うしかないのですよ」
 やがて彼らは気を失った。


「ここです。ここでーす」
 カレノが頭の上で手を大きく振っていた。
 招かれたのは宿屋に避難していた町の男たちである。
 そして招いた先は例の地下室だった。
「本当だ地下室がある」
 そう言ってユガワさんが懐中電灯を持って中に入っていく。
 それに続いて数人が中に入っていった。
 しばらくするとユガワさんの声が聞こえてきた。
「おーおー本当に第二グループがおる。兄ちゃんお手柄だぞ」
 つい十数分前に“地下室を見つけて覗いてみたら爆弾が落ちていて、第二グループの人たちが倒れている”というカレノの報告により急いでみんなで駆けつけてきて今に至る。
「おーい、爆弾もあったぞー」
 後から入っていった男からの報告も入った。
「だけどどうしてこいつら倒れてるんだ」
 そして男たちの疑問の声が上がった。


次回

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: